名古屋帯を締めた後の簡単な直し方
名古屋帯を締めた後、形が決まらなくて簡単に直したいとか、外出先で帯を直したいと思ったことありませんか。
たとえば、
・思っていたよりタレが長くなってしまった
・お太鼓の大きさがいつもよりもブカブカして大きすぎる
・ドアノブに引っかけてお太鼓が崩れてしまった
など、帯を締めた後で直したいということがあるのではないでしょうか。
今回は、外出先で帯を直したいと思ったときにも、慌てずに簡単に帯を直す方法をお伝えします。
名古屋帯のタレが短いときの対処
名古屋帯のお太鼓結びは、お太鼓が一重なので、袋帯よりも頭を使わなくてもイメージが湧きやすいと思います。
お太鼓の中の手先の下に輪っかがあります。この輪っかが帯の余分ですが、タレを引っ張ると落ちてくるだけになります。
まず、お太鼓の真ん中を下からつかみます。
できれば親指は帯締めのあたりまで到達するぐらいキュッと深く握り込みます。もう片方の手で、タレの真ん中をつかんで、クーっと下に引き下ろします。
お太鼓の中で輪っかになっている部分が落ちて短くなっていくだけなので、いくらでも引き下ろすことができます。長さに余裕がないと、これ以上下ろせないというのはもちろんあります。
タレの真ん中でちょうどいいくらいの長さにしたら、お太鼓を整えてタレの長さを確認します。必ず左右両方を確認します。
一方は長さが出ているけど、もう一方は出ていないということがあるためです。
たとえば、左側の長さが短かった場合、真ん中より左側寄りを握って、タレを引っ張って左側の長さを調整します。
タレの長さが左右で揃っているのがいいとも限らなくて、ちょっと曲がっているのも味わいだったりします。タレの真ん中が長くて両端が短いのも、お尻に沿うような感じも素敵だと思います。
単純にタレをまっすぐにするなら、タレの長さを調整するときは、かならず左右から見て調整するのがいいと思います。
名古屋帯のタレが長いときの対処
まずお太鼓の中にある手先をプルンと外側に折るのがおすすめです。プルンと折るとお太鼓の中の輪っかが見えるようになるので、その輪っかに指を入れるとお太鼓側か体側かが手で確認できると思います。
体側の一枚を引っ張ると、タレが上がってきます。
左右両方でタレの長さを調整します。
もしうまく上がらない場合は、帯締めがしっかり入りすぎている可能性があるので、心持ち帯締めをちょっとだけ緩めます。帯締めに緩みがあると帯が動きやすくなるので、簡単に調整しやすくなります。
タレの長さを調整すると、一緒にお太鼓まで上がってきてしまうのが心配なときは、クリップでお太鼓の下線と手先を一緒に挟むと便利です。
たとえば、お太鼓が上がってしまっても押さえて引き下ろすことができますし、お太鼓の下線が変わったり、一緒につられて中に入ってお太鼓自体が小さくなるという心配はないと思います。
名古屋帯のお太鼓が小さすぎたときの対処
お太鼓の中に余分が入っているわけなので、お太鼓の内側に親指を入れて人差し指で挟んで、内側から外に向かってクリンと返すように引っ張ってくると、お太鼓の大きさを調整することができます。
手先を戻してお太鼓の大きさを確認し、お太鼓の下線の角がブワーンと浮いていると緩慢な感じがするので、お太鼓の下線にあたるくらい手先も下げてあげます。
帯締めが上の方だけ押さえているような状態になるので、帯締めもタレの真ん中くらいになるように下げて、必要であれば帯締めを締めなおします。
後ろ側の帯締めの位置は下げておきながら、帯前の帯締めは帯の真ん中あたりになるように上げておきます。
帯前で帯締めの位置が低すぎると、帯締めが落ちている感じだったり、疲れた印象になったりしますが、帯締めの位置が真ん中に上がっているとスッキリとした印象になります。後ろ側の帯締めはちょうど手先の真ん中付近を締めるようになるといいのかなと思います。
名古屋帯のお太鼓が大きすぎたときの対処
お太鼓の中の手先をめくって倒すと中に輪っかがあります。輪っかの外側の一枚をつかんで引っ張るとお太鼓が上がってくるわけです。
もし、どこまでお太鼓を上げたらいいのか心配な場合は、クリップを使います。
お太鼓を上げたい位置でお太鼓の下線をクリップで留めます。
お太鼓の中の輪っかに指を引っかけて、外側を意識してカツンと止まるまで持ち上げます。
クリップで持ち上げた余分が奥に入って、余分だけがお太鼓の中に入っていくので、きちっとお太鼓の下線が合うわけです。
一番は、仮ひもを入れてお太鼓を作り直すのがいいですが、外出先で気づいたときはそうもいかないですよね。
たとえば、お手洗いに行ったときに「あらら」と気づいたり。そういう時にできる対処法です。
お太鼓の中の手先の下に輪っかがあって、輪っかを上げればタレ先もお太鼓も全部上がってくるわけです。二枚を一気に持ち上げた後、お太鼓を下ろしてからタレ先を引き出すのが一番簡単です。
一気に上げるのが心配な場合は、お太鼓の大きさを決めたらクリップで留めておき、お太鼓の中の輪っかで大きさを調整するようにするといいかなと思います。
タレ先の両端を引っ張ると、タレの真ん中が上がっていて両端が下がっているような形になるので、お好みにもよりますが、今の感覚だとあまりかっこよくないかと。
タレ先を調整するときは、先に真ん中を引っ張るとまっすぐもしくは真ん中が下がって両端がふわっと上がるような感じになって、端っこの雰囲気が優しい印象になると思います。
一発でお太鼓の形を決められたら一番いいのですが、帯締めが緩かったり、ドアノブなどに引っかけてしまったりして、後からお太鼓を直すときは、慌てなくて済むようにこれを知っておくとよいと思います。
自分できちんと結んだときも、手先をペロンとひっくり返して、この輪っかを調整すればいいんだなと考えておいて、直す癖をつけるためにも、練習のときにご確認いただけたらと思います。
外出先での帯直しで、きものでお出かけのハードルが下がりそうな女将による動画はこちらをご覧ください。
【名古屋帯の簡単手直し!締めた後のカンタンな帯の直し方「名古屋帯編」】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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