
うそつき襦袢と長襦袢、どちらを選ぶ?
きものを楽しむ上で、きものを汗などから守ったり、きれいに着こなしたりと襦袢は大切な役割を果たしています。襦袢には「うそつき襦袢」と「長襦袢」の二種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
今回は「うそつき襦袢」と「本襦袢」それぞれ、何を軸に考えたらいいのかを整理してお伝えします。
長襦袢の魅力とは?
きちんと「長襦袢」を着ると気持ちもシャンとします。その「長襦袢」のメリットは、着ごこちの良さと上質感です。
とろりとした絹に包まれる着ごこちの良さは、きものならではの醍醐味のひとつです。また、きものからチラッと見えたときの色や柄の効き方などのおしゃれを楽しむことができるのも「長襦袢」の大きな魅力です。
さらに、「暖かさ」もポイントです。重ね着をすることで、寒い季節にぴったりのアイテムです。
一方で「長襦袢」のデメリットは、反物から誂えるので経済的な負担があります。また、半衿を長襦袢に縫い付ける必要がある点と、重ねて着る分、暑さを感じやすい点が難点だと思います。
最近は温暖化の影響で、急激に暑くなることも増えてきたので、そういう時に「長襦袢」を着ていると、暑さを感じる点がデメリットです。
うそつき襦袢のメリット・デメリット
「うそつき襦袢」のメリットは、半衿を縫い付ける必要がないため手軽です。
たかはしでは、うそつき衿の土台だけの商品も販売していますが、あらかじめ半衿をミシンで縫い付けたうそつき衿も販売しています。
販売当初は、うそつき衿を何本も買わないだろうから、あまり売れないのではと思っていました。でも実際は、意外と人気で、複数本買うお客様が多いです。
たとえば、最初は半衿を都度、縫い付けていたという場合でも、だんだん面倒になって日常的に使う半衿はミシンで縫い付けてしまうということがあるようです。うそつき衿はそのまま洗濯機に入れて洗うこともできますから手軽ですね。
参考までに「うそつき襦袢」や「うそつき衿」の「うそつき」という名前は100年も前からあります。
きものが日常のことなので、半衿を付けなおしたり、暑さの点や、洗濯を楽にできる様にしたり、洗濯後にアイロンがけをしないで済むようにしたりなど、簡易に済ませられるような襦袢が出てきたのだと思います。
しきたりきもの、礼装が”きもの様”になった時代に、必ずきものと「長襦袢」をピタッと合わせて着なければいけませんという販売方法が主流だったときには、長襦袢は必須でした。
日常きものでは当たり前に簡易なものが100年以上前から利用されていたので、そういう意味では「うそつき襦袢」は昔あったものを復活させたような感じですね。
「うそつき襦袢」の最大の魅力は半衿の縫い付けが最小限で済むことです。
たかはしの「うそつき衿」は衿だけで付けることができます。肌着の上に衿だけつけているので、Tシャツの上につけることもできます。重ねて着なくていいので、温暖化が進むこの頃では、身軽で涼しいことがメリットです。
「うそつき襦袢」のデメリットは、「長襦袢」の素敵さを味わえないことです。また、「長襦袢」の場合は纏うことで自然に気持ちがシャキッとしますが、「うそつき襦袢」の場合には自分で気持ちを作り込んでいくような感覚が必要かもしれません。
あなたの理想の襦袢を選ぶなら?
どちらを選ぶのか、選ぶ基準は、用途や季節、そして自身のライフスタイルに合わせて選ぶとよいと思います。
日常的にきものを楽しむなら、「うそつき襦袢」はとても便利です。一方で、特別な日の礼装には、「長襦袢」も素敵です。
たとえば、「長襦袢」をお使いの場合でも、「うそつき衿」を一本持っていると、「うそつき袖」が十枚あれば襦袢を十枚持っているのと同じような見え方にもなります。お財布にも優しいおしゃれの楽しみ方もできます。
「うそつき襦袢」と「長襦袢」、それぞれの特徴を理解することで、着るときの気持ち、自身の好み、きものに合わせて、自分が一番心地よい襦袢を選んでみてください。
女将による解説はこちらの動画をぜひご覧ください。
【あなたの理想の襦袢を探しましょう!うそつき襦袢と長襦袢、どっちがいいの?】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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