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考・職人技 仕立て職人さんの想像力

和裁

こういう仕事をしているとさまざまな職人さんと出会う。

いつも思う。一流の職人さん、頭が良いのは当然だが、あと優れているのが想像力と愛情だ。

今の子供達想像力がないないとよく言われるが、そうすると職人さんなんて現れなくなっちゃうのかな~。
ただでさえ職人を育てる土壌のないこの国だもの、ますますいなくなっちゃうってことだろう。

みごとな仕立て職人さんがうちにはいる。

生地を地のしする時点で生地の癖を関知し、裏に使う生地との相性まで針を通す前に判断してしまう。

「そんなこと私だって出来るもん!」とお思いの仕立屋さん、確かにあなたもすばらしい。でもこの先が大事。
生地をさわりながらどんな人がこの着物を纏うのか想像している。寸法と着物の趣味という数少ない情報の中からそれをイメージ出来るのだ。
ここがすごい!

えっ、なんでそれがわかるのかって?

だって電話があるのだ、想像できないと。
「これ着る人ってどんな人?」

解る限りの説明をする。そうしないとストンと腑に落ちないまま仕事をすることになる。それは困る。仕事を多いに楽しんでもらわなきゃいけないから。

こういうおせっかい、世話好きおばさん的な首のつっこみ方は愛情が深くないと出来ない愛の行為だ、と私は思うのだけど。

少なくとも、自分が作り出した何物かを誰かが喜んでくれる、ということに生き甲斐を感じていることは確か。

神様から祝福される存在になればいいのか~。

※写真はイメージです