カタツムリのごとく【5分間スピーチ】

社員の5分間スピーチ

5分間スピーチとは?

スピーチ者 佐藤(愛)

今日の話から、約20年近く前の自分の新入社員時代を思い出しました。

「なんで、できないの?」

今、同じことを言われたとしても昔ほど感情は動きませんが、当時、この言葉を言われるのがすごくきつかったです。

ある大手IT企業のシステムエンジニアとして就職しましたが、それまでIT分野のことを学んできたわけでもない私にとって常に未知の分野。
3ヶ月の新人研修後配属された部署では、わからないことがわからない状態で日々過ごしていました。

当時の上司は、社内で彼女を知らない人はもぐりと言われるぐらい厳しいと思われていた方でした。私自身、上司に叱られるたび、自分の出来なさ加減が悔しいのと情けないのとで、職場にも関わらず涙ぐんでいると、「また泣かされたのか?」と他部署の幹部社員から心配されたものでした。

1年後ぐらいになってからは、この上司の下で良かったと思えるようになったものの、最初は本当にきつかったです。
強い口調で言われるため萎縮し、きちんと考えられないから口から出る言葉は相手が望むような内容にはなっておらず、さらにそのことで責め立てられる。

後にコーチングを学んだ時、問題を解決に導いていくためのコミュニケーションにおいて、質問する内容が大事であることを学びました。

「なんで?」という言葉には原因を問う意味もありますが、相手を責める感情が乗りがちなので、相手を萎縮させてしまい本来引き出したい内容にすぐにたどり着けない場合も多いことを知りました。

知識や経験などの差があることにより、油断していると「なんで、できないの?」と思ってしまうことがあります。
そんな時に気をつけるのは、本当に望んでいることに意識を向けること。

できない理由を知りたいわけではなく、どうすればできるようになるのか?を相手が考えられる状態になること、そして、できるようになるための一歩を自ら踏み出すことです。

先日、「PRESIDENT Online」の記事である中学校が紹介されていました。
子どもの教育現場でのお話でしたが、「なんで、できないの?」の代わりになる良い事例があったため共有いたします。

ある内閣府の調査から、諸外国に比べて日本人の自己肯定感は低いと言われています。
世界9か国の若者が対象の「18歳意識調査」において、「自分で国や社会を変えられると思う」という質問に「そう思う」と答えた日本の若者は18.3%だったそうです。
それは9か国中、日本が最下位です。

しかし、同じ質問をこの中学校の3年生に質問したところ、50.5%もの生徒が「そう思う」と答えたんだそうです。この違いは大きいですよね。

この中学校では、問題が起きるたびに繰り返し使ってきた三つの質問があるそうです。

まず一つ目の質問は「どうしたの?」です。
この質問をすることにより、お互いに現状を把握することができます。
たとえ、その回答がどんなに勝手な理由でも叱ったりしないそうです。

二つ目は「じゃあ、この後、君はどうしたいの?」です。
ほとんどの生徒は、最初はこの質問に答えられないそうですが、これまで問われることがなかったのであれば、当然ですよね。

三つ目に「何か手伝えることはある?」と尋ねるそうです。
最初のうちは解決策を先生側から提案し、最終的にどのように行動するかは生徒に任せるようにしていたそうです。

このようにして、自分で決めるという経験を積み重ねるうちに、子供たちの自己肯定感はどんどん上がっていったそうです。その証拠の一つが、自分で国や社会を変えられると思うと答えた生徒が多かったということです。

私には子どもはいませんし、きっとこの先も自分で産むという選択肢は無いかもしれませんが、これまで育てていただいた分、学ばせて成長させていただけた分を、誰かを育てる、サポートするという時に、相手を尊重しその学びを奪うことなくサポートできたらと想いました。

参考記事:「宿題なし・定期テストなし」勉強しろと言わないのに生徒が勝手に勉強する公立中学校の”魔法の質問”3つ


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