平成24年5月

きものよきもの

今頃の季節は、一日の気温が読めず暑かったり寒かったり…体調を崩す方も多いですよね。

そう言えば草木の芽吹く頃に、精神的に不安定になる場合もよくあるようですし、五月病だって季節の影響がないとは言えませんね。
ところで、五月のうちでは袷を着ようか単衣にするか選択肢があります。
でも、六月になってしまえば、いくら寒い日でも袷は着られませんよね~。

暑い寒いの感じ方はそれぞれですが、私は着物で暮らすようになってからというもの、寒がりになってしまいました。
と、いう言い方は誤解を招くかもしれませんが、要はお洋服だと寒くて寒くて風邪をひいてしまうようになったのです。
考えてみれば、着物に使用されている生地の量を洋服でカバーしようとすれば、たとえユニクロのヒートテックを何枚も重ね着したって追いつかないのも当たり前かもしれません。

ところで皆さんは着物着用時の温度調節はどのようになさっていますか?

まず、寒い場合の私なりのちょい工夫をお話します。
基本的には中にたくさん着込むことはしません。

真冬の場合には長袖のインナーシャツを着ていますが、それ以外は半袖かタンクトップです。

中に着込まないのは、暑すぎるときに脱げないから。
つまり、調節可能な防寒対策をしているのです。

その結果、インナーカフスが必要になり、いつでも脱げて足先が暖かい足袋下ハイソックスが生まれたのです。

フリースのコートももちろんそのひとつです。
外に出れば寒いのは手元から肘まででそこはアームウォーマーが必須、また衿元にもマフラーなりショールが欲しいですね。
他には着物の着方をちょっと変えます。
大きくは衿元ですが締め気味に着用すると、それだけでとっても暖かいものです。

次に今からの季節、涼しく着るコツですが、汗を吸ってもらえるような工夫が以外と効果ありです。
正絹の場合には満点スリップの下に汗取り肌着を着ますし、場合によってはステテコも履きます。
時には満点肌着にステテコもありです。
綿や麻の時には綿楊柳の肌着がお気に入りです。
麻も涼しくていいですが、少し肌にあたる感じがするのであまり着ません。
そして肝心なのはやはり着方です。衿を抜き気味に着ること、帯を下げ気味に着て身八つを開けること、そして着丈をちょっと短く着ること、です。
浴衣などは裄寸法そのものを直します。
これはかなりの効果があるので、お店でもお客様のお仕立ての時にそうしています。

ここでひとつ提案ですが、今年は夏着物に挑戦してみませんか?
試してみれば、思うほど暑いものではありません。
意外な発見として、通り過ぎる風の爽快感や暑いときほどシャキっとすることの心地よい緊張感などがあります。

着物の効用は数々ありますが、体を暖めてくれることは本当に大きな効用だと思います。
でもその裏に『暑い』が付きまとっていることも事実です。
直射日光の下ではタンクトップでいるよりずっと涼しいこともありますが、汗もかかずに涼やかに、というわけにはいきません。
でも考えてみてください。
真夏にはどんな格好でも暑いですからね、笑。