平成26年7月

きものよきもの

実は今、本の校正をしております。
秋に着物のお手入れ本を出版するためです。なんとこんな私が…僭越ではありますが、という気持ちです。
だって着物の業界にはわんさかプロがおりますし、実際に着物に手をかけている職人さんたちもノウハウがぎゅぎゅっと詰まっているわけですから。
でも出版のお話を伺い、つらつら考えてみた時に『私だからこそ書ける所』というポイントがいくつか見つかったので、『僭越ながら』書かせていただくことにいたしました。
 
もともと当社は悉皆屋という着物のメンテナンスが専門のお店でした。
悉皆とはなんでもござれ、という意味です。
ものの本で読んだところによれば「悉皆屋」とはなんでもござれの中でも取次屋のことを言います。
(最近は染色補正師さんなどもこう呼ぶことが多いです)
つまり『お見立て』が仕事なのです。
数多くの職人さんとつながり、ケースバイケースである数多くの要望を適切に判断し、出来るだけリーズナブルに、しかも最大の効果があるようにお見立てするということでお代を頂戴するわけです。
考えてみれば、これは見えないものを信用で売る難しい商売です。

家業だからだけど、その難しさを知っていたなら絶対にやらなかっただろうなぁ…笑

三十年以上、この商売に携わってきた中で自分なりに疑問に思うこと、腹が立つこと、面倒なこと、いやなことをシラミをつぶすように一つ一つ解決してきました。
『当たり前』だったことを変えるのはとても大変でしたし、時間も相当かかりました。
でもその過程で生まれたのが満点スリップでしたし、私は今でもずっと自分の中に、業界人としてではない普通のお客さんの視点を持つことが出来ている気がします。
出来るだけの満足感を味わっていただきたい、そして着物を楽しんでいただきたい…、出版はその思いの詰まったものなのです。

あ、そうそう!どんな本を出すかというと、平たく言えば着物のお手入れ本です。
ものぐさな私が普段気をつけている事や、どうやらユニークらしいお手入れ方法をお話しするというものです。
この『ものぐさ』っていうところがミソです。
いかに簡単できれいにするか、しか考えていないのですから。笑