平成29年5月

きものよきもの

4月29日から5月7日までの9日間にわたって、東京日本橋にあるコレド室町という会場にて『東京キモノショー』という着物のイベントを仕掛けました。
仕掛けました、と言ったのは、このイベントの主催団体で活動しているからです。

このイベントは、着物を共に楽しもうとする思いと、きものの楽しみを生みだそうとする渦をコラボさせたような内容になっています。
ですから、実行委員会のみんなと、私たちらしい新たなる発信は何があるだろうかとずいぶん話し合いました。

その結果、この『新たな魅力を生み出す』ということを突き詰めると、昔の着方や昔の流行りにぶち当たるということが、明確に分かりました。

たとえばそれはどういうことかと言えば、昔は当たり前だった黒羽織、絶滅したかのように見ることは無くなってますよね。
ですが、あれは本当に便利なアイテムなので、また流行ったらいいなぁと思い、黒羽織のコーナーを設けることにしたのです。

ところで、私が黒羽織をよく着るのはお通夜です。
お店で接客もするので朝からずっと黒っぽい姿にはなりたくないわけですが、「今日はお通夜に行かなければ…」という日には地味目で赤みのない小紋か紬などを着ているのです。
その上にロング活動着などを着て、帯はきちんと喪用の九寸をする場合と、簡易に黒っぽい半幅にすることもありますが、そうすればまるで普段と変わらない格好でお店に出ることが出来るのです。
これは非常に便利で、かなり前からそのようにしていたら、なんだか最近ちらほらと黒羽織を着ている人を見かけるようになったのです。
一般の方は、私一人…と思うとなんとなく遠慮しちゃうのかもしれませんが、私は商売ですから!
とにかくまずは自分が示すことが大切だと実感した出来事でした。

そしてアレコレの細野編集長はおしゃれ刺繍紋を縫い取った黒羽織をちょっとした節目の時に着用していました。
ああ、こういう着方もいいなぁ~と思い、私は友禅作家さんに染め抜きで龍を入れてもらいお祝い用にしています。

それらを黒羽織コーナーとしてコーディネートし展示しますが、このような意識で展示するコーナーがもっともっとあるのです。
私にとっても、自分の職歴の整理にもなり、今後の指針も作れたようで、とても有意義なイベントになりました。

ところで、昔はお目出度い時には絵羽柄の黒紋付だったなぁ~、と懐かしく思い起こされますが、最近東京では、普段着の上に羽織り物として羽織っている方をお見掛けします。

やはり着物もファッションなんだなぁと実感する一コマです。