
ズボラさん向け!しつけ糸の簡単な取り方
しつけ糸はどうしてついているの?
新しい着物を購入したとき、「しつけ糸」がついていますよね。
しつけ糸は、取ってから着るもの。
どうせとってしまうのに、なぜついているのでしょうか?
着物は仕立て上がってから、寝押しや座り押しなど体の重みで優しく折り目をつけていくものなのです。これもSDGsの考え方とも通じるかと思うのですが、アイロンやコテでしっかりと折り目をつけてしまうと、仕立て直すときに折り目が消えなかったりします。
また、アイロンなどできちっとプレスしすぎてしまうと、生地もふっくら感がなくなり、ペラペラな印象になってしまうことも。つぶれすぎず、ふわっと絶妙にしかも取れない折り目を仕上げるためにしつけが必要なのです。
しつけがあることで、着物がずれることなく折り目がつきキレイに仕上がるというわけです。
意外と重要な役目がある「しつけ」。
なくてもいいんじゃない?とおっしゃらず、これがあるから着物がキレイに仕上がっているんだな〜と思ってあげてくださいね。
女将流:しつけ糸の取り方
袷の場合ですが、袖と裾にしつけがかかっています。
しつけは、地域やお店、仕立師さんよってかける場所が違うことも。衿にかけることもあります。
袖のしつけの取り方
袖の部分はたいがい袖口をぐるりと囲んで、1本の糸でしつけされています。
たかはしきもの工房の場合は、玉結びを外に出して外しやすいようにしています。以前は玉結びが見えないようにする=袷の内側にすることが美しいとされていたのですが、それだと糸の端がどこにあるかわからず、取りにくいということで、このようにしてあります。
糸の端が見えないようにされている場合はハサミで切ってください。
袖口の付け根のところに糸の端があります。この玉結びのところ(糸の端)を持って、静かにひけなくなるまで引っ張ります。
引けなくなったところで、指で抑えてプチッと糸を手で切ります。
ハサミを使わないので布を傷つける心配もありません。
あとは、おなじようにするか、指で糸を引き抜いていけばとれます。
袖口の付け根のところは、かがってある場合もあります。たかはしでは、そこがかがってあるとしつけをとりにくい、ということで今はかがってありませんので、とても取りやすくなっています。
袖の丸みの部分も、かがってあることが多いです。たかはしでも、この丸みをキレイに抑えるため、この部分はかがってあります。
無理に引っ張らないで、かがってある部分の手前で糸を一旦切って、そっと引き抜けばかがってある部分もするっと取れますのでお試しを。
あとは、袖の袂の部分の玉結びをひっぱれば、するっと糸が抜けて袖のしつけ取り完了です。
端のしつけが見えないように止めてあったり、返し針をしたりしてある場合には、無理をして引きちぎるより、ハサミで糸を切ってとったほうが、布を痛めないかと思います。
裾のしつけの取り方
裾も同様にしつけ糸をとっていきます。
襟先の下のところに糸の端がありますから、玉結びを持って糸をひっぱり、ひけなくなったところで指で抑えて、糸を切っていきます。
中に玉結びをしてあって糸の端が見えないときは、最初もハサミで切ってくださいね。
裾は衽(おくみ)の角などかえし針をしてある場合もありますので、そういう場合は袖と同じように一旦そこで押さえて糸を切り、無理に引っ張ったりしないでください。
反対側の衽の角まできたら、あとは逆に襟先の玉結びを探してそれを引けばしつけ糸がするっと抜けます。
これでしつけ糸取りが完了です。
いろんなやり方があると思いますが、ズボラさん向きのしつけ糸の取り方のご紹介でした。
ぜひぜひ実際にしつけ糸を取っているところ、女将の動画をご覧くださいね!
【しつけ糸のいろは&取り方】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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うそつき袖とうそつき衿の収納方法
今回は、収納のお話です。
しかも、うそつき袖とうそつき衿という、たかはしきもの工房のうそつきご愛用者『たかラー』さんにお役立ちな収納です。
着物や帯はいろんな収納方法をご存知かと思いますが、今回もマニアックなお話をお届けいたします。
うそつき袖はスカートハンガーで!
まず、うそつき袖。
たかはしきもの工房のものに限らず、うそつき袖をお使いの方も多いと思います。
箪笥の中に、畳んで入れると折ジワが気になったり、広げて入れると場所も取るし取り出しにくい……。何げに収納しづらいアイテムです。
毎日うそつき衿と袖の女将が編み出した、選びやすくてさっと取り出せてシワにもならない収納方法がスカートハンガーを使う方法です。
スカートハンガーは、4連とか5連になっているものだとたくさん収納できて省スペースに。止めるピンチがやわらかいものが、生地を痛めません。
袖山を上にして、マジックテープがある側をピンチで止めると、マジックテープが他のものにひっかかったりしづらくなるのでおすすめです。
女将は、作り付けの収納の盆にひっかけて扉を閉めていますが、普通の桐箪笥の扉の裏側だとスペースが足りないかもしれません。
クローゼットなど、日に焼けないところにかけておきましょう。
一連は袷用、もう一連は単衣用などとして、使い分けをすると便利です。
完全にシーズンオフになったら、お手入れするものはお手入れして、全て重ねて三つ折りにして箪笥やクリアケースに収納します。
全部重ねてまとめておくことで、出したり移動したりするのがしやすく、しわくちゃになりにくいのです。
うそつき衿はぱたぱた畳みでコンパクトに
うそつき衿は、たかはしきもの工房独自の形をしています。
衿に、えもん抜きとベルトがついているのですが、衿を左右3つにたたんで、それを芯にしてくるくるとえもん抜きを巻いていくと、とてもコンパクトにたためます。
1)最初に衿の部分を畳みます。片側を三等分して真ん中に重ねていきます。
両側たたんで、長方形に整えます。この時、衿は同じ太さではないので、基準は自分の気持ち良いように揃えてください(下図参考)
2)それを芯にして、くるくるとえもん抜きを巻いていきます。ベルトもたたんで内側に巻き込みます。
3)できあがり! ばらけず、扱いやすいサイズにたためました!!
箪笥にもしまいやすいですね。
半衿もあまり汚れなかったようなときには、衿芯を入れたままハンガーにかけておいてもう一度使うというのも、楽でいいですよ!
前日に衿芯を入れて用意しておくのも、当日の朝楽でよいものです。
うそつき衿の畳み方は、ぜひ開発者の女将の動画をご覧ください。
【うそつき袖・衿の収納術】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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汗が気になるシーズン!汗っかきさんにおススメのきもの
汗ジミは『黄色』
立夏を過ぎ、汗ばむ陽気の日が増えてきましたね。今回は汗でお悩みの皆様に「汗をかかないようにするのは不可能だけど、汗対策はできる」というお話をしたいと思います。
そもそも汗をかいて、その汗染みを放置するとどんな風になるのでしょうか。
汗がついたすぐは、濡れただけで乾いたときには、うっすらと輪染みになるかくちゃくちゃ、と縮んだような感じになるかと思います。
それが時間が経つと、黄ばんでいくのです。
洋服などでも、ワイシャツの衿などで同じような現象を経験したことがある方はいるのではないでしょうか。
クリーニングの溶剤と汗が反応して黄ばむということもありますし、そのまま放置していても酸化で黄ばんでいってしまいます。
特に汗汚れの縁の部分に、成分が溜まりやすいのか強く黄ばみが出ます。
汗の汚れは「黄色」なんです。
まずはきものに汗を移さない、ということが大切。
これは、汗を移さない工夫をした肌着などを着ることによってできる対策です。
汗をきものに移してしまうと普通の丸洗いでは落ちません。汗は水溶性の汚れなので、丸洗い=ドライクリーニングの溶剤では落ちないのです。絹であっても、水で落とさなければなりません。
別に「汗抜き」という工程をプラスするため、汗が移ってしまったきもののお手入れ代は高くなってしまいます。
対策その1:汗うつりの防止
汚れを目立たせたくない、お手入れ代も安くしたいという場合は、まずは汗うつりの防止。肌着の段階で汗を止めるのは有効です。
宣伝になりますが、たかはしきもの工房の肌着は汗対策をしっかり考えて作っております。
こうした肌着を着ることで、着物への汗うつりを防ぐと、汗ジミをつける危険を減らすことができます。
対策その2:汗は水溶性。洗える着物を選ぶ
あとは麻や綿麻をはじめとした「洗えるきもの」を選ぶということです。
最近はセオアルファのように、ポリエステルだけど暑くないものもでてきています。水で洗えば汗は落ちますから、これは一番有効な手かもしれません。
対策その3:絹ものは汗じみができにくい素材を選ぶ
でもやはり絹の素材が着たいということでしたら、まずは素材でいうと紗、縮などは汗染みになりにくい傾向があります。絡み織で布目が開いていて、通気性がよいものなどは汗染みがつきにくいのではないでしょうか。
すごく汗をかいた日には、きものをハンガーにかけて、霧吹きでまわりに水を吹き湿度の高い空間を作ります。きものに直接かけないのがポイント。
その湿度が高い状態になったとき、湿度がきものを通って蒸発するため、多少汗の成分もつれて出ていくということです。お手入れの「汗抜き」も同じ考え方で、蒸気を通すことで、汗が蒸気と一緒に飛ぶということなのです。
夏きものは、輪ジミになったり目立つ状態になっていなくても汗はかいていますので、丸洗いに出すときは汗抜きをするのがおすすめです。
目立たないものにすれば、この回数を減らすことができます。
一方、絹ものの絽や竪絽などの柔らかものは、汗染みが目立ちやすい。汗による収縮も起きやすいです。ガード加工をしていても、汗汚れは防ぎきれません。その場合はどうしたらいいでしょうか?
対策その4:汗じみができにくい色を選ぶ
汗は「黄色」い汚れであるということで、汚れてしまっても黄色が目立たないような色の着物を選ぶ、という方法もありです。
まずは黄色みが入っているような色。茶色やベージュのような色は黄色い汚れが目立ちにくいといえます。
逆に淡い爽やかな青などは、黄色い汚れと相性が悪く、汗ジミも目立ちますし、くすんだ濁った色になりやすいです。
夏には着たい素敵な色ですけれど、そういう特徴はあります。
長く着て楽しみたければ、色の選択も一つ視野にいれるといいと思います。黒っぽくて汚れが目立ちにくい色を選ぶのももありでしょう。
黄色みの入った、渋めの色、汚れが目立たない色であれば汗汚れによる変色もあまり気にせずに着ることができます。明度が低めの、暗い色がおすすめです。
あまり夏着物に選ばれる色ではないかもしれませんが、結構かっこいいですよ。仏事もいけます。
また、そういったきものは変色してしまったら染め替えすればまた違う雰囲気になって楽しめます。汗抜きや丸洗いのお手入れの回数を減らして、ある程度の年数着たら染め替えてしまえばいいという考え方です。
私は汗っかきだから
夏の着物は……と敬遠されている方も、
汗の特性を知って、汗をかく季節のきものを楽しんでくださいね!
具体的な色の例などは女将の動画をご覧くださいね!
【汗っかきさん集まれ!汗っかきさんおススメきもの】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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お尻のショーツラインが気にならなくなる!おすすめ肌着2選
切りっぱなしOKの無縫製タイプのショーツがおすすめ!
和装のとき、ショーツラインが気になることはありませんか? お尻のところにショーツが食い込むためにできるラインが響いてしまう。
ラインが見えてもそれはそれでいい、ということもあるかもしれませんが、お悩みの方は結構多いのではないでしょうか。
お尻の形も、年齢とともに下がってきて変わってくるものですし、なるべくならやはり目立たないほうがよいのでは‥‥と考えた女将がいろいろな下着を買っては着てみた結果の、おすすめをご紹介したいと思います。
あげおろしが楽なのは、帯に潜らないローライズタイプですが、年配の方などはローライズに違和感があるとおっしゃることが多いです。
お尻のラインと、お腹のところに食い込みがあるとこの違和感に繋がるのですね。
なので結論から言うと、おすすめはお尻の部分もお腹の部分もゴムがなく切りっぱなしの「グンゼ…

お悩み別胸元補整その1:胸の脇のはみだしお肉はどうするの?
アームホールからはみ出す脇肉はどうしたらいい?
着物を着る時の補整のお悩みは、胸元に関するお悩みだと思うのですが、胸のお悩みといっても十人十色。胸の補整を考え続けているたかはしきもの工房ならではの、マニアックかつピンポイントなお悩みについてブログでもシリーズで掘り下げていきたいと思います。
第一弾として『アームホールからはみ出す脇肉はどうしたらいいの?』というお話をさえていただきます。
バストが大きい、小さいに関わらず、鎖骨の下から脇にかけて肉付きがよいという場合がありますよね。そうするとどうしてもサイドラインがもったりしたかんじになり、肩がいかつい印象を与えてしまいがちです。
この脇肉は一体どうしたらいいのでしょうか?
たかはしでは、脇肉は中央に寄せる! をお勧めしています。
どんなお胸の方でも、おすすめしているのは「寄せてあげる」胸元の補整。胸を平にする、つぶすという補整がこれまでは一般的に言われる胸元補整でした。それを「寄せてあげる」と言い出したころには、疑問の目で見られたものです。
でも、つぶして平らにするより、寄せて上げたほうが体に厚みは出ますがそれが高い位置になりますので、若々しいハツラツとしたかんじが出ます。
ただ、着姿においてはお好みがあるのでつぶすほうが好きという方もいらっしゃると思います。どちらを選ばれるかはご自分がよいなと思う方でいいと思いますが、選択肢のひとつとして、ぜひスッキリ見えする「寄せて上げる」補整も入れていただきたいのです。
例として、アンダーバスト98センチ、トップバスト113センチ、アンダーとトップの差が15センチのモデルさんの着姿を見てください。
肩から脇にかけて肉付きがよいタイプのモデルさんの左がさらしで平らにした場合、右がPut…

締め心地のいい帯は帯芯次第 帯芯を選んで仕立てよう<後編>
帯芯の違いで、着物生活のストレスが減る
前回帯芯についてお話しましたが、YouTubeでもコメントをたくさんいただきました。
帯を作る時に呉服屋さんで帯芯を選ぶことはできるのでしょうか?というご質問をいただきましたが、おっしゃる通りで、ほとんどの場合がお任せで、帯芯について聞かれることはなかったのではないでしょうか。
でも、だからこそ帯芯の違いで締め心地の差が出ること、自分はこの帯芯を使ってほしいが、そういうことはできるのか?と聞いていただくことなど、お客様からのお声が呉服屋にとっても勉強になるのではないかと思うのです。
もし、これから帯を仕立てる方や、今持っている帯の締め心地がどうかなと思っている方などがいらっしゃったら、ぜひ帯芯についても考えてみていただきたいと思います。
日常的にちょこちょこ着る場合には、ちょっとした使いにくさなどの我慢の積み重ねというものは、着るのが嫌になってしまう要因にもなりますし、そういったことを解決したいと常に考えています。
着やすいということは、ストレスなく着物をたのしめるということ。
帯も、ぜひそのように帯芯を選ぶ仕立てをしていただいて自分好みのストレスのない締め心地で使ってほしいということで、帯芯の販売や仕立てを始めることになりました。
今回は具体的にこんな帯地には帯芯、というお話をさせていただきたいと思います。
名古屋帯と袋帯の帯芯の使い分け
九寸名古屋帯の場合
名古屋帯用には双糸という、二本の糸を撚り合わせてあるしっかりとした厚手の帯芯をおすすめしております。
糸を撚り合わせることで強度が2.5〜3倍になると言われており、しっかりとした帯芯になります。
九寸名古屋は袋帯ほど張りのある生地のものは少ないので、双糸の帯芯で張りをもたせるとよいのです。
縮緬の染め帯など、着物と同じような張り感のない帯地には 厚手の「竹」という二十番手の双糸が普通ですが、女将的には特選(最厚地)を選びます。
なぜならしょっちゅう着る人は、帯芯がこなれて柔らかくなっていくのが早いから。このあたりは好みもありますので、自分の感覚を大事にしてください。
ほどよい厚みの帯地には、少し張り感のある厚手の「竹」を選びます。
張り感の強い帯地には芯は入れないという選択肢もありますが、こなれていくと柔らかくなりすぎるので薄手の「梅」を選びます。
帯芯を入れても入れなくてもあまり差は出ないのですが確実に支えになりますので、入れたほうがおすすめです。
もしくは、袋帯用の単糸のやわらかい帯芯「月」でもいいし、絹芯という選択肢も出てきます。
名古屋帯に袋帯用の帯芯を使っても問題はありません。お好みでよいのです。
絹芯は張りはまったくありません。絹芯を入れると高級に扱ったような気持ちになるのですが、張りをもたせたいときには向きません。
でもとても軽いし、張りの強い帯地には向いています。なんでも絹芯がいいいうことではないので、帯地の張りによって使い分けてください。
袋帯の場合
着物よりも軽いような、柔らかい染め袋帯の場合は、袋帯用の帯芯では柔らかすぎると思います。
その場合は名古屋帯用の厚手「竹」か特選でも。
張りはあるけれど地厚さはなく、少し透けても見えるくらいの袋帯には、名古屋帯用の薄手「梅」でもよいかと思います。
張り感がしっかりしている袋帯は、芯を入れないという選択もありだと思います。
それでも薄い帯芯を入れると、少しふっくらとしますので立派な感じにもなりますし、お好みです。
いずれにしても袋帯には厚手を入れると重厚感が増しますので、そのあたりのバランスを見るのもありかと思います。
自分の好きな帯の固さの好みを把握しよう
もし普段している帯で締めやすいなと感じているものがあったら、それが自分の好み。
触って「これくらいだな」ということをわかっていると、購入するときにも「これくらいだ」と判断できるようになります。
今までは「おまかせで」と、頼む方も受ける側も済ませてきてしまっていたこの「帯芯」問題ですが、日常着物においては、ちょっとの着心地向上が大きな差を生むのです。
細かいことですが、意識を向けていただくと、着物生活の快適さがぐんとアップしますよ。
三河帯芯
三河帯芯
¥2,200(税込)〜
マニアックトークを炸裂させている女将の動画も、ぜひご覧くださいね!
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