「くり越しをしっかりとればえもんが抜ける」は大間違い
えもんを抜くのは「引く力」
今回はとってもマニアックなお話です。
着物を着ている方のお悩みで一番多いのが「えもんが抜けない」ということではないでしょうか?
ちゃんと抜いて着たはずなのに、いつの間にか詰まってしまう。
そんなとき、「くり越しを多めにとれば、えもんが抜ける」と言われたことはないでしょうか。
全く間違いとは言えないのですが、実はくり越しを多めにとる=えもんが抜けるということではないのです。
えもんが抜けない大きな原因はくり越しではありません。
くり越しってなに?
そもそもくり越しとはなんでしょうか?
着物は再生しやすいように、ハサミをいれる部分は最低限で済ませています。身頃は前身頃と後ろ身頃が繋がっていて、肩に縫い目はありません。
襟の部分は「衿肩あき」という切れ込みが入っています。「衿肩あき」は身頃をまっぷたつに折ったところに入っています。
これを肩の真ん中の線に持ってこないで、うしろにずらす分が「くり越し」なんです。
うしろにずらすと、当然裾は後ろが長くなります。なので、腰の部分で後ろにずらした分を摘んで縫って、前と後ろの裾の長さを合わせます。
なぜそんな面倒なことをするかというと、着物は解いてまた縫い直すことが前提だからです。前身頃と後ろ身頃を入れ替えたり、裏返したりすることができるよう、衿肩あきは真ん中にするのです。本当によく考えられている、もったいない文化の最たるものですね。
身丈が短いものなどに関しては、この摘んで縫う部分があるともったいないので最初からくり越しの分を勘案して、衿肩あきを後ろにずらして切ってしまうこともあります。東北では「切りくり越し」という言い方をしますが、それは本当に特殊な例で、通常は真ん中に切れ込みを入れて前後左右を同じにすることで、いろいろなくりまわしができるようにするのです。
そのずらした分「くり越し」はよく昔は5分(約2センチ弱)といいましたが、最近は7〜8分(約2.6〜3センチ)ぐらいが多いでしょうか。多い方は一寸(約3.8センチ)という方もいらっしゃいます。このくり越しをたくさんとるとえもんが抜けるという説ですが、そういうわけではないのです。
えもんが抜けない、えもんが詰まる原因は、生地の重さのバランスが違うからと考えられます。
きものを羽織っただけの状態で、ジャンプをしてみてください。それだけで、えもんは詰まって前に行きます。なぜでしょうか。答えは「きものは前のほうが生地の分量が多くて重いから」です。おくみもついているし、衿もついている。重い方にひっぱられるのが当然なのです。
なので、えもんを抜こうと思ったら、しっかりと引く力と摩擦力を使って前身頃の重さに負けないだけの力をかける意識をしなくてはだめなのです。
たかはしの幅の広いえもん抜きはそれを考えた形なのです。
えもんが綺麗に抜けている人は、紐で縛ってえもんを止めているわけではないのです。必ず後ろにきちんと「引く力」をかけているし、前も「持ち上げる」という方もいらっしゃいますよね。この「布にかける力」を意識して行うだけで、劇的に着付けは変わります。そして紐は「引く力を止めるために」あてているということを理解して欲しいのです。
くり越しはお好みです!
極端な話、くり越しをとらなくてもえもんは抜けます。
くり越しが少なめであれば肩線がうしろにぐっとずれます。肩線が肩のまんなかにあると、袖は袖山の線がまっすぐ張るため、裄が短く見えますし、肩が張って見えます。
肩線がうしろにずれると、袖山が立たずに裄が長めに見えますし、はんなりとしたラインになります。
そういう女将自身はくり越しを多めにとっています。
その理由はえもんを抜くと後ろのおはしょりのところのぶかぶかがほとんどなくなるからという理由です。でも肩線はあまり後ろにいかないので、はんなりしたラインは出ません。
はんなりとした見た目をとるか、おはしょりの処理の楽さをとるか。
どちらにするかということが、くり越しを決めるポイントとなってきます。
着物をお仕立てなさるときに、ぜひ参考にしていただければと思います。
えもんが抜けるのは、くり越しが多くとってあるからじゃない! 後ろ身頃にいかに下に引く力をかけるかなのです。
たかはしのえもん抜きやうそつき衿はその引く力を考えて作ってあるのです。こちらも一度お試しいただきたいアイテムです。宣伝になってしまいましたが、女将がこのくり越しについて熱く語っている動画はこちらです。
【超マニアック! 「えもん」と「くり越し」は関係ない!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
とてもマニアックなお話ですが、よろしかったらご覧ください!
日常着物をもっと楽に、たのしく、かんたんに。ズボラ女将の日常着物術、これからもお楽しみに!
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たかはし式…
マイサイズは自分で研究して自分で決める!
マイサイズのきもののメリット
きものも「マイサイズ」がよいですよ、とよく言われますけれど、きものは多少のサイズの差はなんとか着られてしまうもの。マイサイズにすると何がいいのでしょうか。
1)着やすい自分にあったサイズであれば、着付けも楽ですし、きれいに着られて着崩れもしにくいです。
仕立てるときにも迷いがなくなります。おはしょりの長さを調整しなくていいような寸法というのも一つの目安です。
2)コートや羽織、襦袢がきものに合わない、ということがない
マイサイズはこれです、という寸法がわかっていれば、コートや羽織、襦袢などを仕立てる時もそれに合わせて作れば、寸法がちぐはぐで着たらあわない、ということもなくなります。
毎回サイズを測って作るというのも、その時のコンディションやお店によって差が出てしまったりもするので要注意です。
一箇所におまかせという手もありますが、それよりも、自分の納得できるサイズを知っておいたほうがよいです。
マイサイズってどうやったらわかるの?
呉服屋さんでサイズを測ってもらったらそれがマイサイズ、ということでも実はないのです。呉服屋さん、仕立て屋さんによって測り方も違いますし、それが自分の着心地の好みにあっているかどうかというのは、着てみないとわかりません。
だいたいお誂えをするのにサイズを測ってもらったりすると、初心者だと短かったり足りなかったりしたら嫌だな、という気持ちが自分にも仕立てる側にもあって、少し大きくなりがちです。大は小を兼ねるとは言いますが、やはりちょっとオーバーサイズは着にくかったりするもの。
礼装などはそのまま受け継いだり、ずっと着るものだから少しくらい太っても大丈夫なように大きめに作られたりしているというようなことはあります。でも、実際に着て動くと、自分にピッタリサイズの着物は綺麗に着られるし着崩れないし、なにより楽です。
どうやったらマイサイズがわかるかというと、やはり実際着てみて確かめるのが一番。この着物、着やすいなという1枚があったら、それに合わせて作るのが確実です。
例えば最初から誂えるのはちょっとと思えば、リサイクルで買った着物でもいいですし何枚か着てみて自分の感覚を確かめていくとよいでしょう。プロや詳しい人に聞くのもよいのですが、その方のアドバイスが自分にとっての正解かどうかというのはわかりません。やはり自分で実際に着て、答えを探していくのがよいかと思います。
また、誰かと共有で着たいとか、自分の事情もあるでしょうから、そういうことも含めて「人任せではなく自分で研究してみて、自分で着てみて、自分で決める」のがマイサイズなのです。
押さえておきたいサイズ 「身丈・袖丈・裄」
家にある着物を測ってみましょう
着やすい着物や、ちょっとここが長いとか短いとかわかっている着物のサイズを測ってマイサイズを追求してみましょう。
着物のサイズを測るには、和裁でよく使う竹尺がよいのですが、今はお持ちでない方のほうが多いと思います。できれば巻き取り式などのやわらかいメジャーで測ってください。よくある金属製の硬くて湾曲した「コンベックススルール」を使うと、誤差が出てしまうことが多いので避けたほうがよいです。
着物を平らに置いて、ほどよく押さえて空気を抜いて、正しい寸法が測れるようにします。
最低限知っておきたいのは「身丈・袖丈・裄」です。実際に測るポイントをお伝えします。
身丈
まず、身丈には「肩身丈」と「背身丈」があります。肩身丈は肩から裾までまっすぐ測った寸法、背身丈は背縫いの長さなので衿の分、肩身丈より短くなります。
身丈といったとき、どちらのことか確認されるとよいでしょう。たかはしきもの工房では、肩身丈のことを「身丈」と言っています。
裄
裄は、背中心から、袖の先までの長さです。これも測り方はいろんなやり方がありますが、たかはしでは上の折り目の部分で測ります。そうすると背中心の縫い目より上の部分を測ることになりますが、背中心がのびてきていると思われる部分で測ります。
袖幅と肩幅は、裄の半分が目安ですが、今は腕が長い方も増えていますし、あまり肩幅を大きくとると胸のあたりがぶかぶかしてしまうので、袖幅を気持ち長めにとったほうがすっきりした仕立てになります。このあたりも、ご自分のよい寸法を探してくださいね。
袖丈
袖丈は、腕の付け根の縫い目のとことで測ります。この寸法は、中に合わせる襦袢や、羽織、コートとの兼ね合いになる大切な寸法なので、把握しておいてください。特にリサイクルや譲られたきものなどでは、まちまちになってしまいな寸法ですのでご注意ください。
動画でも、マイサイズや測り方について女将がご紹介していますので、よろしければご覧くださいませ。
【きものの寸法、なんでマイサイズだといいの?】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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更新情報はInstagramで発信していく予定です。
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くノ一シリーズ「麻子・夏子・涼子」ここが知りたいQ&A特集
お買い物レビュー星3つ以下の質問に女将が回答します
たかはしきもの工房の商品をネットショップでお買い物をしていただいたとき、皆様に貴重なご意見「レビュー」をたくさんお寄せいただいています。
よいというレビューは励みになりますし、ここがちょっと、というレビューは謙虚に受け止めてよりよい商品作りに活かせるよう努力しております。
でも時々星3つ以下の低評価レビューを拝見する中で、もしかしたら使い方をちょっと変えていただいたらいいかも、とか、別の商品のほうがご満足いただけたかも、などと思うケースもありますので、そんなレビューにお答えしてみたいと思います。
今回は特に使い方が難しいなと思われる、くノ一シリーズ三姉妹「麻子・夏子・涼子」についてです。
少しでもご参考になれば幸いです。
くノ一シリーズは『補整着』です。体に厚みを持たせるために麻綿が入れてあるシリーズとなります。
くノ一麻子の巻
<星3レビュー>
麻子という名前に期待しましたが、涼しくはありませんでした。着ていると体温が放射されず防水布の部分が暑いです。
ごわつきもかんじます。
それが気にならないひとには、確かに汗シミは防げると思うので良いです。
<女将より>
まずは、ご期待に添えなくて申し訳なかったです。
データ的には麻綿は衣服内の湿度を下げジメジメを防ぐのでその結果快適で涼しく感じるという学会発表があるのですが、体感は人それぞれなので、暑いと思われる方もいらっしゃると思います。
防水布の部分は汗を防ぐため通気性が下がるため、ここはどうしても暑くなってしまいます。着物を守るための機能ですので、たかはしではつけていますが、どちらを優先するかということになってしまうと思います。
楊柳のごわつきはお洗濯するとかなり柔らかくなりますし、慣れもあったりするのでこの後着ていただけてると嬉しいな〜と思います。
でも、ご自分の体感を優先でお考えくださいね。
<星3レビュー>
毎日着物生活の専業主婦です。153㎝42kg痩せ型巻き肩です。
他の方のレビューにもありましたがSサイズでは丈に不安があります。同時に補整用の胸パッド二種と腰ヒップ用T型メッシュパットを購入しました。
胸用は補整パット用ポケットに綺麗に収まりますが、腰用のT型パット用ポケットは差し込み式でウエスト部分には肌に直接ナイロンメッシュが当たります。網目模様がビッシリ付き、真っ赤に腫れ上がり痒みが2日ほど続きました。直接肌に触れないように完全にポケットに収まるように改良してほしいです。
腰ポケットの裾から4㎝ほど上のステッチはほどいた方がパットの収まりは良いです。
今は直接着用せずキャミソールを下に着るか、急遽購入した腰パットスキニーベルトにTパットを入れ使用しています。
再購入も検討していますが、改良を強く望みます。
<女将より>
まずはパットで赤く腫れてしまったとのこと、説明不足があり申し訳ないです! 実は麻子用の補整は一文字型で、T字型はそのままで麻子には使えないのです。
こういうレビューは本当にありがたく、参考にさせていただいております。お寄せくださりありがとうございます。
まず丈のことから言いますと、麻綿を入れる丈は検証を重ねて決定していますが、どうしてもSの丈では足りないということであればSTサイズをお勧めしています。細身で身長の高い方も増えているので、着丈の長いトールサイズを作っています。でも長すぎてもだめな場合もあるので、寸法を見ていただいてご検討ください。
麻子の後ろポケットに補整パッドを入れて使っていただく場合は、T字型はおっしゃる通りメッシュが直接肌にあたってしまうので、綿の生地を貼ってある一文字型と四角型を組み合わせて使っていただくようお勧めしていますが、T字型も布が貼ってあるとよいでしょうが、スキニー用として開発したので悩ましいところです。アドバイザーは、タオルやてぬぐいでT字型をくるんで使っているそうです。
いただいたご意見は、必ず検討してまいります。
くノ一夏子の巻
<星3レビュー>
涼しいことは間違いなしですが、サイズがあってなかったからか、胸のホールド感がなさ過ぎて失敗。Mにすればよかったと後悔しました。
<女将より>
そうなんです、夏子は胸の補整ですがホールド感はまったくない商品ですので、胸の大きい方、ホールド感を求める方にはPut…
残暑を乗り切る!夏の日常きもの涼感ましましアイテム
少しでも涼しく! おすすめアイテムのご紹介
厳しい残暑が続く中、夏の日常きものを少しでも涼しく着たいですよね。今回は通年きもので過ごす女将の、涼しさ対策をご紹介いたします。
<上半身インナー編>夏の涼しいトリオ、涼子・夏子・お袖ちゃん
まずは洗える着物の場合は汗をかいたら洗う!ということで、着る枚数を減らす。タンクトップ型和装ブラ「くノ一涼子」をつけてその上に直接浴衣を着てしまうという最終手段です。
これは涼しいは涼しいのですが、腕を上げると身八ツ口から脇の下や二の腕の内側が見えてしまうのが難点。自分からは見えない部分なのですが、斜め後ろの人からはびっくりするほど見えてしまうんです。
そこで、おすすめしたいのが知る人ぞ知る(?)便利アイテム「お袖ちゃん」です。
「お袖ちゃん」はボレロ型筒袖。これは言ってしまうと筒袖のついた肌着の短いもの(ボレロ)なのですが、肌着のお腹の部分がないだけでかなり涼しく感じます。
あとは夏は締め付けが緩い方が涼しく感じる方も多いと思います。ブラをしなくてもよい方は、「くノ一夏子」をブラジャーがわりにして、ゆるっと着るという方法もあります。夏子は補整着なので、胸元に麻綿のシートがあり胸の形を目立たせないという効果があります。締め付けはまったくないので、胸が大きい方や形が気になる方は自分がそれでよいかどうかというところで判断してください。
<下半身インナー編>ステテコ一択!といって過言でない
愛用されている方には、なーんだいまごろと言われそうですが、意外とステテコをはいたことがない方もいらっしゃいます。そういう女将も最初は女性がステテコ?と、固定観念でうーん、と思っていた時期もありました。でも、肌着屋として試したこともないのはどうなのか、とはいてみてその快適さに一度で虜になりました。
汗も吸ってくれますし、なにより自分の足の腿の熱を感じないということが涼しさにつながります。こればかりは、減らすよりは足したほうが涼しいのです。
ステテコに関しては固定観念ではかないというのは本当にもったいないと思います。ずっと愛用してきて、ステテコにすることでマイナスになることはほとんどないと感じます。
ただ、綿のステテコに綿の浴衣などを着ると、摩擦が大きくて裾さばきが悪くなるということはあります。たかはしきもの工房では、裾除けがわりになるように丈が長めの「綿テコ」「麻テコ」をおすすめしていますが、そういった場合は、他メーカーさんの短い丈のステテコをおすすめします。また、そんなに足の間に汗をかかないわという方は、裾よけをお使いください。
綿楊柳や麻の楊柳の涼しいステテコ、もしまだ未経験の方はぜひお試しください。
<足袋編>本麻の足袋は本当に涼しい
夏の足元は、本麻の足袋がおすすめです。これが本当に涼しいのです。はじめて麻足袋をはいたときは、風が抜けて足にあたる感じに驚いたという女将。綿の足袋では感じられないこの涼しさ、夏には欠かせないそうです。
ただ素材的に麻はどうしても綿よりももちが悪く、切れやすいというのはあります。なので、きちんとした麻足袋がおすすめ。リーズナブルなものは表地は麻でも裏地に綿を使っていたりするのでそれでは意味がないのです。生地のチェックもお忘れなく。女将はもちのよいゑびす足袋の「本麻足袋」を愛用しています。
値段もひとつの目安。3000円以下では本麻のものはないのではないでしょうか。安くはないけれど、とにかく爽やかな履き心地です。
<奥義!>保冷剤を補整パッドに仕込む
これは、防水効果のある「腰補整パッドスキニー」ならではの技ともいえますが、保冷剤を補整に使う!という裏技があります。
大きめの保冷剤(大きめのほうがもちがよい)を「アルミ蒸着シート」(クッション性のある銀色の保冷シート)にはさんで入れると、4~5時間保冷剤がもちます。
保冷シートにはさまないと、0.5~1時間程度ですから、かなり違います。かさばらないように、ボンドなどで接着して袋状にし、保冷剤を中にいれるようにすると便利です。
これを「腰スッキリパッドスキニー」にはさんでつかいます。保冷剤の分厚みがでますから、その分入れる補整の厚みは調整してください。
女将はちょっとでも涼しさを長もちさせるため、体から離すようにインナーメッシュの外側に保冷剤を入れておきます。こうすると、ほどよい涼しさが長もちするのです。
保冷剤は位置がずれやすいので、体にスキニーをつけてから、出っ張らないような位置に移動するのもポイントです。
宣伝になっちゃうといいつつやっぱり自社商品をしっかりお勧めしている女将の動画はこちらです(笑)。
【夏の日常きもの 涼しいアイテム&保冷剤テク紹介!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
日常着物をもっと楽に、たのしく、かんたんに。ズボラ女将の日常着物術、これからもお楽しみに!
紹介した商品
お袖ちゃん
¥5,170(税込)
綿テコ
¥7,700(税込)
麻テコ
¥11,000(税込)
【ゑびす足袋】白麻(涼しい本麻)【中型…
もう着くずれも怖くない!男女別着物の着くずれの直し方
着物は意外と着くずれない!でももし着くずれたときは?
着物を着た時、着くずれないように所作に気をつけるとか、動かないようにいっぱい紐を使う、とかいろいろ気にしている方も多いと思います。
でも。着物を着てずっと動かないでいるわけにもいきませんよね。動けばどんなに気をつけていても多少は着崩れるもの。でも、そんな時に直し方を知っていれば、恐れることはありません。
たかはしきもの工房では女将をはじめ、スタッフもアドバイザーも着物姿でばんばん働きます。走ります。段ボールも運びます。バッティングセンターにも行っちゃいます。
そんな風にがしゃがしゃ動くことは普通はないかとは思いますが、そんなに動けばやっぱり着物も動いてくずれてしまいますが、着たままで直すことができます。
今回は女性と男性、両方の着くずれの直し方をご紹介します!
今回は敢えて着くずれよう!ということでなんと大胆にラジオ体操を行った女将(女着物代表)とYoutubeのつっこみ担当でおなじみ齋藤(男着物代表)。
腕を大きく上げたり回したり、もっとぐちゃぐちゃになるかな?と思ったのですが、思ったほど大変なことにはなっていませんね。でも、手を上にあげることで、襦袢や着物の生地が帯の上にずり上がって上半身がぶかぶかになっています。そこを直して行く手順をご説明いたします。
女着物の着くずれの直し方
着くずれポイントとしては、上半身に生地がずりあがって、衿とえもんがぶかぶかになり、おはしょりも消えかけています。ひとつひとつ問題解決していきましょう。
まずは襦袢の襟元から直すため、一度着物をめくって襦袢の襟先を下前と上前それぞれひいて胸元を整え、背中に手をまわしてえもんを下に引きます。これで、襦袢の浮きは直ります。
次に着物の浮きを直すには、おはしょりを下に引きます。まず前のおはしょりを引いて整えます。
おはしょりの右手の輪に親指を入れてぐっと衿を引き、体のサイドのおはしょりも整えます。
最後に後ろのおはしょり(お太鼓だとたれの下になっています)をつかんで下にひいて出来上がり。もし帯の位置も上にあがっていたら、上からぐっと親指を入れて下に下ろすか。下線を持って下げてください。
男着物の着くずれの場合
男性の着物の場合も同じように上半身に生地がずり上がり、対丈なので裾も開きがちになってしまいます。
着物をめくって、襦袢の衿先(上前、下前)を斜め下に引き下ろして胸元の浮きを整えます。
次に着物の浮きは帯の下を持って、下前、上前の順にじわじわと引き下げます。
上前の衿は、真下に引いてしまうと裾が開いてしまうので、横に引きます。後ろ側にきゅっと引くと、裾も整います。
お腹の出っ張りがいい感じの人はずれませんが、痩せていると帯もずり上がりがち。骨盤の位置までしっかり指を入れて下げましょう。鼠蹊部のところまで下げるとかっこいいです!
いかがでしょうか。ポイントさえ押さえておけばたとえ着くずれたとしても、直せばよいので気が楽ですね。
着物をめくって襦袢を引き下げる動作は、さすがに人前ではちょっとなので、トイレに入ったときや、物陰で。それも含めて、堂々とでも恥じらいつつ(笑)お直しをしている動画はこちらです。
【男女別 着崩れた時の直し方】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
着物のハードルが下がること間違いなしです!
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うそつき襦袢で着るときの、衿と袖の選び方
うそつき袖は仕立て方と素材で使い分ける
うそつき袖の使い分け
前回は、季節によって肌着をどう着分けるかというお話でしたが、今回はそれにうそつき袖とうそつき衿をどう合わせて、うそつき襦袢として活用するかというお話です。
うそつき袖の種類は季節によって下記のように使い分けをします。
袷の時期:半無双、無双
単衣の時期:単衣、駒絽
夏きもの:駒絽、麻、絹麻
無双は、二重に仕立ててあるもので、暖かく、しっかりと重みもあります。正絹で礼装用にお作りしたりしています。
半無双は、見える部分だけを二重に仕立ててあるもので、使用する生地も少なく、無双に比べると軽やかです。リーズナブルで、使える期間も長いため、こちらをメインでお作りしています。素材は、正絹、ポリエステルで、柄のものもあります。
寒い時期には、「miecawaセット」という袖と裾除けのセット商品もあります。袖と裾の柄が揃うだけでなく、裾除けはガードル裾除けと同じ形ですので、腰も支えられてしゃきっとします。
単衣の時期には、単衣仕立ての袖、暑い日には駒絽もOKです。夏きものには、駒絽、麻、絹麻などを用います。
無双と違って、単衣は一枚仕立てなのですが、袖口の処理についてよく質問されることがあります。昔は撚り絎けにされていたりしましたが、現在は三つ折りか反物の耳のままになっているのが主流です。
耳のままになっているほうは、仕立てが楽でもあるし汚れにくいし洗いやすいという利点があります。三つ折りもしくは二つ折りで縫ってあるほうは、耳そのままだとよれやすいような素材も丈夫になりますし、丁寧な印象にもなりますね。
女将は耳派ですが、もし選べるような機会がありましたら、好みのほうを選ばれるとよいと思います。
季節の使い分けには、仕立て方、素材、そしてもうひとつ、色の濃淡もあります。淡い色は涼やかに感じますし、濃いこっくりした色目は暖かく感じます。
また、礼装とカジュアルという使い分けもありますね。
礼装用には淡い色、カジュアルは自由です。濃い色目はカジュアルな印象になりますね。淡い色でも、小紋のように模様が入ったりしていればカジュアルな印象に。
季節の移ろいにあわせて、素材や仕立てできものと同じように、使い分けてください。
うそつき衿の使い分け
うそつき衿の半衿は、季節によって使い分けをします。
袷の時期:塩瀬、ちりめん
単衣の時期:塩瀬、絽ちりめん
夏きもの:駒絽、小千谷麻絽
※レースは季節問わず
袷の時期、特に寒い時期にはふくれ織やちりめんのような凹凸のあるふっくらとした生地は暖かみもあり、おすすめです。
衿も、袖と同じように色でも使い分けるとよいでしょう。素材はともあれ、暖色系は暖かく、寒色系は涼やかに感じられます。
塩瀬は、きりっとした印象になりますので、礼装には塩瀬を使います。また凹凸がないので、袷の時期から単衣の時期まで長く使いやすい素材です。
単衣の時期には、塩瀬から、暑くなってきたら駒絽と変わっていきます。夏は駒絽、麻絽など。このあたりの季節、使い分けが不安だったら涼やかなレースの半衿を使うと、カジュアルにはなりますがレースは衣替えとは関係ありませんので、便利に使えます。
レースも様々な素材や色がありますから、その季節に似つかわしいものを選んでください。これは「涼しそうだな」とか「ちょっと暖かそう」などという感覚でよいと思います。
衿は顔に近くて目につきますし、首に触れますから、暖かく感じたり涼しく感じたり敏感な部分でもあります。ポリエステルは便利ですが、冬寒いときは正絹のほうがあたたかいですし、暑いときには麻など天然素材のほうが涼しいです。でも、お手入れが楽なのは断然ポリエステル。どちらをとるかというのは、ご自分でチョイスなさってくださいね。
きもののコーディネートと同様、インナー、襦袢としての「うそつき衿」「うそつき袖」の組み合わせは無限大。気温によって、また礼装とカジュアルなどシーンによって、使い分けを楽しんでください。
こちらの動画では、女将が自分のうそつき袖・衿コレクションを紹介しつつ、使い分けアドバイスをしておりますます! ぜひご覧ください。
【春夏秋冬 女将の衿と袖の合わせ方!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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