楽な着付けで衿浮きが直せる。日常きもののおはしょり術
「日常きもの」で優先すべきこと
着付けって、最初は習った通りにいつも同じやりかたをしてしまいますが、実は正解はひとつではないんです。普段着の「日常きもの」と礼装などの「しきたりきもの」で違うもの。
自分がそのときなにを優先するか、で変わるものなのです。
ほぼ毎日きもので過ごす女将の普段の着付けは、日常きものですから、礼装や撮影とは違ってキレイさを最優先するのではなく
楽である
早く着られる
1日中着ていても着崩れたように見えない、手直しできる
というようなことを優先している着付けです。
一日着ていると一番気になるのが衿元の崩れではないでしょうか。動いているし、手を伸ばしたり立ったり座ったりしているとどうしても衿元は動いてしまいます。動かないために紐や伊達締めで高い位置でぎゅうぎゅう締め付けておいては、楽に過ごせませんよね。
動いても、直せる着方をしておくのが実は重要なんです。
いわゆる「衿浮き」を直すために、大きなポイントになるものは「おはしょり」の処理なのです。今回はその2つのポイントについてご紹介します。
おはしょりが長い場合
おはしょりが長くてもう少し短くしたいという時や、ナナメになっているからと持ち上げて紐をかけるやり方は、仕上がりが大変きれいです。ですが、これをしてしまうと、「おはしょりを引いて衿元のゆるみを直す」ということができなくなります。なので
1.腰紐を2つに分けて、位置を高くすることでおはしょりを短くする(このとき左側の布を紐の間にひき入れると、おはしょりもまっすぐになる)
2.腰紐より高い位置に少し広い幅の紐、もしくはゴムベルトなどをして長さを調整する
逆におはしょりが短い場合は、なるべく下のほうに腰紐を結ぶか、着丈を少し諦めるかどちらかとなります。
下前のおはしょりの処理
上前の衿は、右脇のおはしょりを引けば緩んでも直りますが、下前の衿は引きにくいもの。そもそも見えないからつかみにくいし、おはしょりを一重にしてすっきりさせるため、下前の衿を上に持ち上げるやりかたをしている方が多いのではないでしょうか?
それはそれでよいのですが、ちょっと違うやり方を試してみてください。
下前の衿を引いて直すために、衿がひけるように上にあげないで、下まで下げて途中でコーリンベルトをして、右脇に向かって上におりあげていきます。
そうすると、下前の衿を引くためのとっかかりが左脇に残るのです。
そして、右脇は整う程度に下げるため、下前のおはしょりは放物線を描くような形になり、ぽっこりが気になるお腹の部分は一重で、でも下前の衿は引けるという裏技です。
これはなかなか説明しづらいのですが、できると、なるほどなと思いますし、右脇のおはしょりの部分、モシャモシャ、となっていたものもすっきり解決しますので、ぜひ動画を参考にトライしていただきたいやり方です。
これで衿元を引いて緩みを直せるので、一日中着て動く日常きものにはおすすめの方法です。
【ちょっとマニアック!日常きものに便利なおはしょり術】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
こちらは、女将の「てほどき七緒 十人十色の『補整』術」(プレジデント社)のP70にも、「衿浮きお直し技」として紹介しているものです。
動画とあわせてご覧になっていただけるとよりご納得いただけるかと思います。
書籍といえば、この2月に女将の4冊目の本「きものの不安をスッキリ解決!」(河出書房新社)が発売となりました。(記事下リンクあり)
こちらには礼装などの「しきたりきもの」と普段着としての「日常きもの」について、いろんな疑問への髙橋和江の答えが詰まっています。日常きものは、楽にたのしくかんたんに。しきたりきものについても知識を持っておけば、いろんな不安はなくなるはず。いままで、ここまで着物のしきたりに触れながら、「日常きもの」について深く掘り下げた本はあまりなかったのではないでしょうか。
もちろんいろんな考えかたがありますから、答えはひとつではありませんが、着物に対するひとつの考え方として参考にしていただけると思います。よろしかったらぜひ!こちらもお手に取っていただければ幸いです。
日常着物をもっと楽に、たのしく、かんたんに。ズボラ女将の日常着物術、これからもお楽しみに!
紹介した商品
高橋和江さんの十人十色の「補整」術
¥1,760(税込)
きものの不安をスッキリ解決!
¥1,815(税込)
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Instagramをご登録されている方は、ぜひ「たかはしきもの工房…
夏の着物は透けるもの?透け感を味方に涼しげな着姿に
夏着物は女優気分で着こなして
夏の着物は、透け感が醍醐味。夏の着物を手にとると、手の形が透けて見えるものが多いのではないでしょうか。
袷の時期と違って、裏地もありません。そう。薄くて軽くて、透け感があるのが夏の着物なのです。
一言で夏着物といっても、素材は様々。絽、紗、麻、綿麻、絹麻、夏紬、縮……。綿もありますし、セオアルファなどの新素材もありますね。
特に透けるものは、意外かもしれませんが濃い色の着物です。柄物は少しごまかされたりもしますが、濃い無地の着物は、下に着ているものがばっちり透けることも多いので、特に気を配りたいもの。逆に淡い色で全体に模様があるものなどは透けにくいです。
ただし、これは下に白い襦袢や肌着を着た場合の話です。透け感を弱めたければ濃い色の襦袢を着るというワザもあります。
でも、この透け感こそが、見る人に涼しさを感じてもらえるポイントと言えるかもしれません。
体感が涼しいかといわれると、夏はなにを着ても暑いわけですが、思ったほど夏着物は暑くないとも言えます。直射日光から肌を守ってくれますし、エアコンのきいた室内では冷えないですし、意外と快適な衣類なのです。
そしてなんといってもお洒落ですよね。決して暑い暑いと扇子をパタパタしたりしてはなりません。涼しい風情を演じきる、女優になるのです。当然、注目も集まります。そんなとき、見えてはいけないものが見えない様に、今回は夏着物の透けポイントとその対策をお話いたしますね。
ここが透けます!4つのポイントと対策
<胸元>
まず、一番目立つのは胸元です。
襦袢の衿が透けて見えるのです。なのであまりテキトーに半衿とかつけてるとバレバレになっちゃいます。特に、色のある半衿をつけたときは要注意です。
<お尻>
前は、上前と下前が重なって、2枚の布地がありますから足の形が透けることはまずありません。が、後ろ姿は居敷当がついていなかったりすると足の形が透けて見えることも。襦袢か着物に、居敷当は欲しいところです。
<背中>
衣紋を抜くのに重宝な衣紋抜き。愛用している方も多いのではないでしょうか。でも、透ける着物だと、この衣紋抜きが結構透けて見えてしまいます。襦袢の内側につけるという裏技もありますのでお試しを。
<腕>
襦袢を着ていればそんなこともないのですが、うそつき衿を使い、袖をちゃんとつけないと、腕の形がにょっきり透けて見えてしまいます。フォーマルで透け感の強い着物は、筒袖ではなく角袖をつけたいもの。
要はですね、襦袢をきちんと着れば透け恐るるに足らず、なわけです。
けれども、襦袢を着ないでうそつき衿で少しでも涼しく着れないか、ここでまたたかはしきもの工房としては、考えるわけです。
まず、胸元ですが、半衿の透けは襦袢でもうそつき衿でも同じです。多少左胸が襦袢は生地が一枚被る分やや透けが薄いぐらいでしょうか。
お尻については居敷当がしっかりついていれば、ステテコだけでも座りっぱなしでなければ、まあまあいけます。
背中の、肌着の内側にえもん抜きを留めてしまうと、目立ちにくいです。この裏技については最後にご紹介する動画で詳しく説明しています! あとは、衣紋抜きがお尻に透けて見えちゃうときには、お太鼓のタレに隠れるくらいに折りあげて隠すことを忘れないで。
お袖は普段着物だったら、筒袖でもよいのではないでしょうか?
実は、角袖と筒袖では、暑さが全然違うんですよ。着用シーンで、どちらにするか選んでくださいね。
帯も透けてる!?スケルトンな帯板で解決
あとは忘れがちなのですが、実は帯板も白やピンクだと、透け感の強い羅などの帯のときは透けて見えちゃうんです。そんなときは、透明な帯板を使ってください。えっ、そんなのあるの? とおっしゃるあなた。実はあるんです! たかはしオリジナルのべっぴん帯板…
どの程度なら許せますか?夏のえもん抜き
2010年6月29日

今日は小千谷縮を着てみました(o^^o)
さらっとしていて涼しくて夏には最高です~!
こういう時は満点スリップは着ません、だって麻の着物は自分で簡単に洗えますから~。
汗なんて怖くありませんね!
ただし、帯は正絹ですから満点腰すっきりパッドは欠かせません。
浴衣の時でも帯に正絹を使う場合には断然満点すっきりパッドです。…
きれいでしょ?
2008年10月14日
こちら、うちのスタッフ。
着付け教室の助手に入ってもらったときの肩のあたりが、あまりに美しかったので思わずパチリ♥️
どうです~美しいでしょう(*^^*)
体にぴったりあった衿付けの塩梅に思わずうっとり。
着物は直線で出来ている、と思っている方が多いけどとんでもない。
微妙なさじ加減が大変重要なのであります。
とってもデリケートなので一口には言えませんが、特に衿もと…
後ろ姿に思うこと
2008年9月7日
昨日今日とお茶の講習会と同門会という表千家の会の総会があった。
まあ、たくさんの参加者の皆様の着物姿を見るだけでも壮観!!
着物屋としてはホッともし、嬉しくもなる(^^)
それはさておき、1年に一度の総会では功労者表彰などもあり、舞台にずらりと着物姿の方が並んだ。
気になるのは、そのコーディネイトもだけどなんと言っても着付け。
特に後ろ向きになって表彰状を受け取るときに…
すずろベルトでおはしょりまっすぐ
2008年3月24日
現在、私は腰ひもを1本しか使っておりません! (^^)!
で、これには「着物の身丈がちょうどいい」という条件があるのですが、滑らない特殊ラバー付きの『すずろベルト』で止めているだけ。
でも、写真のように当然お端折りが斜めになるのが困ったところ
……なのでこの斜めをすずろベルトの中に 突っ込む…