
おおらかさを求める
きものの業界には、長年変わらずにきた常識があります。
特に戦後、「ねばならない」を着方のルールや素材の格、道具の形へと落とし込み、商いとしてきた側面があります。
その時期、お客様も物欲に走った時代でもありました。それらの多くは、着る人の身体や暮らしよりも、損得勘定と権威に絡めとられていたと言えると思います。
きものが、非日常の、日常になる
きものを着ることは、現代では非日常です。
着る必要はないのに、わざわざする選択です。
手間もお金もかかる、それでも選ぶ人がいるのです。
私たちは、その選択に大きくて深い意味があると考えています。
そして、多くの人が求めているもののひとつに、「自分らしさ」があるのではないでしょうか。
自分は何者なのか。
自分はここにいていいのか。
そんなことを、ふと考える瞬間が、誰にでもあるのではないでしょうか。
ファストよし、効率よし、時短最高。
そんな価値観の時代が長く続いてきました。
その中で自分探しの旅は、実は味わいきれていないのではないかと。
日常の中にあって、ちょっと非日常のきものにわざわざ手間とお金をかけ、学び、そして、ただまとう。
ファストに対してのスローな行動の中に、丁寧な自己表現、自己実現があるのかもしれません。
それが現代においての、きものの魅力なのかもしれません。
それをはばむものに常識というやつがいます。
でも、今の常識は明日の非常識、これは鉄則です。価値観は刻々と変わるもの、決めつけていては結果、それは囲い込みに通じます。
今の非常識を楽しむ感覚と、自分で選び取るセンス。
それこそが、きものを広げていく力になる。
私たちは、そう信じています。
