投稿

,

衿元の着くずれを起こす本当の原因

衿元がプカプカ浮くことは、きものの着付けのお悩みとして現場でもよく耳にします。 衿元をピタッと着付けたはずなのに、着ているうちに衿元が浮いたり、ヨレヨレしてきたり、上半身全体が緩んでくるという経験があるのではないでしょうか。 今回は、なぜ衿がプカプカ浮いてしまうのかを解説していきます。 衿元が浮く原因は胸元以外にある 暑さ対策や衿の汚れ防止のためには、衿がやや浮いている方が良いこともあります。衿がぎゅっと入っていると暑いですし、衿がすぐ汚れやすいのです。 もし、意識して衿元をピタッと着付けたり、浮かして着付けたりができるのであれば、衿元が浮くことがお悩みになっていないと思います。 衿元が浮いている場合、実際には上半身全体が緩んでしまっている状態です。衣紋が被ってきたり、布が前に入ってきたり、それだけでも緩んでしまいます。 着付けるたびに衿元が着くずれる場合、改善するには補整が大事なポイントです。 衿元の着くずれが起こる場合は胸元に補整を入れる、と聞いたことがあるかもしれません。 実は、衿元が浮く原因は胸元ではなく、お腹や腰肉、帯下に来る部分にあります。 たとえば、帯下のお腹まわりがキレイに整っていても、立ち座りした時など、お腹が少しぽこんと出たりしませんか。その下腹によって帯が押し上げられていると思います。 これは中年以降になって、体型が変化してきたときに気づいたことでした。なぜか帯が浮いてきて、気づくたびに帯を引き下げていたからです。以前は着くずれなかったのに、補整が悪いのか、何が悪いのかを考えたところ、お腹のお肉に押されて帯が動くことに思い当たりました。 同じような現象を大きい帯板をつけた場合に、経験された方もいらっしゃるかもしれません。 大きな帯板をつけると、帯板が骨盤にぶつかって痛かったり、帯板ごとお肉にぶつかって帯が上に上がってしまうことがあります。腰肉や、お腹のお肉に傾斜があるために、帯が上に滑りあがってしまうのです。 すると、生地が押されて、上半身全部が動いてしまいます。そして、上半身が緩んで衿元が浮いてしまいます。 つまり衿元を浮かす原因は、立ち座りによって腰まわりやお腹まわりのお肉が帯を動かすことで上半身全体がゆるみ、衿がゆるむと考えています。 衿元が浮かないようにする一番の方法は? 胸元の谷が埋まっておらず、衿が滑って入っていく場合や、きものの中に襦袢が潜ってしまい、衿のV字の重なりが狭くなって着くずれる場合、身巾が足りず生地が引っ張られる場合など、衿元の着くずれに対して胸元の補整が必要な場合もあります。 しかし、衿元が着くずれる一番の原因は、お腹まわりだと考えます。思い当たる方はぜひ、ご自身の体でも検証してみてください。 体はすべて滑り台なので、その滑り台に捕まらない着付けをしていくことが、衿元プカプカをなくす一番効果的な方法ではないかと思います。 そのためには、腰まわりやお腹まわりを裾よけや補整肌着などでキュッと締めて、お腹の緩みを引き締めるようにします。できるだけ傾斜を無くすようにすると帯が上に滑るのを防げると思います。 ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。 女将の実体験も交えた解説はこちらの動画をご覧ください。 【きものの衿元の一番のお悩みを解説!衿元崩れる原因はココ⁉】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」 更新情報はInstagramで発信していく予定です。 Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…