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締め心地のいい帯は帯芯次第 帯芯を選んで仕立てよう<後編>

帯芯の違いで、着物生活のストレスが減る 前回帯芯についてお話しましたが、YouTubeでもコメントをたくさんいただきました。 帯を作る時に呉服屋さんで帯芯を選ぶことはできるのでしょうか?というご質問をいただきましたが、おっしゃる通りで、ほとんどの場合がお任せで、帯芯について聞かれることはなかったのではないでしょうか。 でも、だからこそ帯芯の違いで締め心地の差が出ること、自分はこの帯芯を使ってほしいが、そういうことはできるのか?と聞いていただくことなど、お客様からのお声が呉服屋にとっても勉強になるのではないかと思うのです。 もし、これから帯を仕立てる方や、今持っている帯の締め心地がどうかなと思っている方などがいらっしゃったら、ぜひ帯芯についても考えてみていただきたいと思います。 日常的にちょこちょこ着る場合には、ちょっとした使いにくさなどの我慢の積み重ねというものは、着るのが嫌になってしまう要因にもなりますし、そういったことを解決したいと常に考えています。 着やすいということは、ストレスなく着物をたのしめるということ。 帯も、ぜひそのように帯芯を選ぶ仕立てをしていただいて自分好みのストレスのない締め心地で使ってほしいということで、帯芯の販売や仕立てを始めることになりました。 今回は具体的にこんな帯地には帯芯、というお話をさせていただきたいと思います。 名古屋帯と袋帯の帯芯の使い分け 九寸名古屋帯の場合 名古屋帯用には双糸という、二本の糸を撚り合わせてあるしっかりとした厚手の帯芯をおすすめしております。 糸を撚り合わせることで強度が2.5〜3倍になると言われており、しっかりとした帯芯になります。 九寸名古屋は袋帯ほど張りのある生地のものは少ないので、双糸の帯芯で張りをもたせるとよいのです。 縮緬の染め帯など、着物と同じような張り感のない帯地には 厚手の「竹」という二十番手の双糸が普通ですが、女将的には特選(最厚地)を選びます。 なぜならしょっちゅう着る人は、帯芯がこなれて柔らかくなっていくのが早いから。このあたりは好みもありますので、自分の感覚を大事にしてください。 ほどよい厚みの帯地には、少し張り感のある厚手の「竹」を選びます。 張り感の強い帯地には芯は入れないという選択肢もありますが、こなれていくと柔らかくなりすぎるので薄手の「梅」を選びます。 帯芯を入れても入れなくてもあまり差は出ないのですが確実に支えになりますので、入れたほうがおすすめです。 もしくは、袋帯用の単糸のやわらかい帯芯「月」でもいいし、絹芯という選択肢も出てきます。 名古屋帯に袋帯用の帯芯を使っても問題はありません。お好みでよいのです。 絹芯は張りはまったくありません。絹芯を入れると高級に扱ったような気持ちになるのですが、張りをもたせたいときには向きません。 でもとても軽いし、張りの強い帯地には向いています。なんでも絹芯がいいいうことではないので、帯地の張りによって使い分けてください。 袋帯の場合 着物よりも軽いような、柔らかい染め袋帯の場合は、袋帯用の帯芯では柔らかすぎると思います。 その場合は名古屋帯用の厚手「竹」か特選でも。 張りはあるけれど地厚さはなく、少し透けても見えるくらいの袋帯には、名古屋帯用の薄手「梅」でもよいかと思います。 張り感がしっかりしている袋帯は、芯を入れないという選択もありだと思います。 それでも薄い帯芯を入れると、少しふっくらとしますので立派な感じにもなりますし、お好みです。 いずれにしても袋帯には厚手を入れると重厚感が増しますので、そのあたりのバランスを見るのもありかと思います。 自分の好きな帯の固さの好みを把握しよう もし普段している帯で締めやすいなと感じているものがあったら、それが自分の好み。 触って「これくらいだな」ということをわかっていると、購入するときにも「これくらいだ」と判断できるようになります。 今までは「おまかせで」と、頼む方も受ける側も済ませてきてしまっていたこの「帯芯」問題ですが、日常着物においては、ちょっとの着心地向上が大きな差を生むのです。 細かいことですが、意識を向けていただくと、着物生活の快適さがぐんとアップしますよ。 三河帯芯 三河帯芯 ¥2,200(税込)〜 マニアックトークを炸裂させている女将の動画も、ぜひご覧くださいね! …