平成28年10月

きものよきもの

先月、「きものサローネ」というきもののファンイベントがお江戸東京は日本橋で行われました。
これは呉服業界がこぞって、いかに着物を楽しんでもらえるのかと知恵を出し合い開催しているもので、今年で4回目を迎えました。

これは日本橋が『着物のまち 日本橋』を発信したいという目的のために、着物のイベントには目抜き通りのビルを格安でお借りできる期間があって特別待遇を受けられることで始まったイベントなのです。

はじめはコレド室町のイベントスペースのみをお借りしていたものが、今ではお隣のユイトというビルの5階6階もお借りしています。
コレドのほうはファッションショーや100体コーデなど見て楽しむ会場づくりになっているのに対し、ユイトの方はマルシェと題して小売店さんはもちろんのこと、メーカーさんやネット販売だけのお店などが直接出店する会場で、まるで着物の朝市みたいな雰囲気でたくさん軒を連ねているのです。
だから着物好きが多い東京では湧くように着物美人が集まります。
年齢も様々、着物姿もほんとに様々です。
品物といい仕事といいお見事な着物でぴしっと決めている方から、木綿(九月でしたが浴衣も多かった)などをゆるりと纏っているいる方、またはコスプレよろしく着方といい、取り合わせといい、ものすごく大胆な方までいらして、初めていらした方は目を丸くしてたり。笑

業界の中には、こんなものは着物じゃない!恥ずかしい、汚い、汚らわしい!と眉間にしわの方もまだまだいらっしゃいますが、いったい誰がこんな風に着物をファッションとして楽しむ時代が来ると想像していたことでしょう。

私は着物を着てほしくて、ずっとそのことだけを考え続け、肌着製造に至ったわけですが、その私でさえ(あえてこう言います 笑)全く想像できなかった光景です。
30年前にはまた木綿やウールが売れるなんて考えてもみませんでした。

だから私は、どんなにびっくりするような着姿の方を見ても眉間にしわは寄りません。
だって嬉しくてたまらないのです。
着物を着たいをいう気持ちを体現してくれているのです、こんなにうれしいことはないのです。
だってその日を夢見てきたのですから。
しかも、私の手から生み出された商品が、着物を着たいと願う方たちにお求めいただけるようになってきたのですから。

何をとがめる必要があるのでしょう。
着物は文化なのだ、確かにそうかもしれませんが、でも着るものです。
日常のものから遠ざければ、その文化もすたれていくことになるのです。
季節の決まり事もしかりです。
どんどん固定観念を打ち破って、でもその傍ら、自分なりの美学を持てたら、こんなにいいことはありませんね。