平成24年3月

きものよきもの

初め、満点スリップを作ったときには、この商品のみのつもりでおりました。まさかそれにうそつき衿やうそつき袖が加わるなんて夢にも思っていませんでした。
しかも、それらでは留まらず次々に新しいアイテムが加わっていくなんて…
まぁ、頼まれればつくる、頼まれなくても思い立てばつくるを繰り返してきたわけで誰のせいでもないのですが。笑

ところで今日、狭いお店にたくさんの生地反物が運び込まれました。
約二千メーターのエアレットです。
大手の生地の仕入れには最低ロットというものがあって、それが何千単位が普通なのです。

しかも震災の影響で生地を置いて下さる倉庫がなくなってしまいてんやわんやなのです。
ついでに言えば、普通生地の仕入れは前金です。
振込を確認してからの発送となります。
確かに今の時代、そうでもしないとやっていけないのでしょうね~、仕方ないです。

そう言えばあの震災の後
  
「あ…、商品を作らなければ!」

と思いたち、生地問屋に電話を入れました。
銀行も被災しお金も動かせないというのに…。

ところが問屋の社長は事情を察して即座に『生地はすぐに送るから!お金は後でいいよ、これまでの付き合いだもの。』と言ってくれました。

本当に有難いことでした。

また、七緒さんでは5月発売の別冊お買い物七緒に掲載予定があった商品を予定通り掲載しましょう!と言ってくれました。

間に合わずご迷惑をかけるといけないから、とお話すると、上がるのを待っていただくインフォメーションをするからと、通販としては有り得ない措置をして下さるお申し出、しかも当社の製品で得た利益を気仙沼に還元してくださるというお話までいただき、本当に号泣ものでした。

またとある大手チェーンの呉服屋さんでは
「こんな時には資金でしょう。してあげられるのは仕入れることしかないからね。発注を出した分、前金で払うから。」とおっしゃってくださいました。
普通では考えられないことです。

また、お客様からはたくさんのメッセージや支援物資まで頂戴いたしました。
そして、『お買い物をすることで支援しますね!』と仰って下さる方のなんと多いこと…
思い起こせばあの時私達は、こんな思いやりの輪の中に囲まれていたのです。

震災は本当に大変な出来事でしたが、有事だからこそ巡り会うご縁もたくさん頂き、有難いとしか言いようのない毎日を過ごしています。
あれから一年、まだまだ整理のつかないことだらけですが、お陰様で毎日をいきいきと過ごしております。

お陰様で、私達は大丈夫です!

本当に、本当に、この一年、ありがとうございました。
そしてこれからも、着物を楽しんでいただくために誠心誠意邁進していきます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

たかはし 一同