平成25年7月

きものよきもの

夏は暑いものですが、着物は着たい!でも汗がしみるから絹はハードル高いよね…
だからまずは綿や麻から始めましょう!

私はこの道三十年ですが、浴衣以外の木綿の着物やウールなど、いわゆる日常着に分類される反物は一時期全滅状態でした。
問屋に行っても見かけることはなく、たまにウールの着物が欲しいなんて言われ探してみれば絹より高かったり…。
ああ、日常的に着物を着る人は本当に居なくなったんだなとつくづく思ったのが十五年ほど前でしょうか。

でもここ十年ほどはにわかに着物ブームが到来、絹物のメンテナンスが大変なこともあって木綿やウールが見直され、昔ながらの色柄だけでなく、今どきのものもどんどん販売されるようになりました。
そして着物を着てショッピングや食事などを楽しむ人口が増えるにつれ次に来たブームが麻着物です。

ここ二.三年の麻着物の売れ行きはそりゃ目を見張るものがあります。
どの問屋でも小千谷などのリーズナブルな麻着物は飛ぶようになくなると言います。

今年の五‐九着物でもまっ先に売れたのは新之助上布の大格子でした。
だって着てみればわかりますが、とにかく涼しいのです。
繊維の硬さから皮膚の弱い方には敬遠されがちですが、麻の蒸散性は天然素材の中では一番で、私は天然のエアレット(満点スリップの素材)と言っています。

着用感として吸湿性はとても重要で、よく取り上げられますが、併せて大切なのが蒸散性、つまり速乾性です。
たとえば綿。
これは吸湿性に大変優れているのは周知のことです。
でも速乾性はどうかと言えば、こちらは低いのです。
よく汗をかいた後にそれが治まると急にひやりとして風邪をひいたりしますよね、あれです。

麻や昨今のスポーツ用の生地は体が汗を出し、それが蒸発する過程で表面から熱を放出する原理に近い働きをしてくれるのです。
そしてそのしゃり感から肌への貼り付きがないのも大いに涼しさを感じさせてくれる優れものなのです。

さらに嬉しいのはメンテが楽で、ネット使用で洗濯機洗いが出来ること!
麻の楊柳は熱処理で後付してるのでアイロンは使えませんが(私は濡れてる状態でちょこっと使っちゃいますが(汗)普通はダメです)干す時に形成し、しっかり畳んで押しをかけるだけでいいのです。
要は植物の繊維ですしね、強いはずです。

麻はしわになるからイヤ!
という方もいらっしゃいますが、見方を変えれば味というものです。

今年浴衣を買おうと思っていらっしゃる方は是非一度、麻着物を試してみてください。
衿は広衿仕立てにすれば着物として、バチ衿ならば浴衣的に楽しめます。

オススメはうちのうそつき衿麻バージョン使用で広衿仕立てでしょうか。
涼し気な日傘があれば、ばっちりです!笑