平成25年8月

きものよきもの

着物を着てみようという始まりには、肌着や小物の重要性に気付かずにいるようです。
もっとも巷で販売されているビギナーズセットのようなモノは安価であるということのみ重要だと考えられているんだろうなと推察されます。
入口だから、まずは求めやすいものから入って、慣れてきたときに少しづつイイものを、と考えるのも同理ではありますが果たして着物の場合にはどうでしょう。

和装小物の安価なものはそのほとんどが中国産です。
中国産が悪いというわけではありませんが、問題はその規格です。
大量のロットと少しでも安い材料を掛け合せれば、やはり決まりきった規格の、使い勝手はあまり重要視されていない品物になることは想像出来ますよね。

私は初心者こそしっかりした小物を使うべきだと考えています。
例えば肌着です。
安価なものはどういうわけかパターンがよくありません。
つまり型紙の時点で体なじみのことをあまり考慮されていないものが多いのです。
腕回りがつる、えもんが抜けてない、身巾が狭い(これは昔の体型の規格のままか、生地を削っていると思われます)。
こうなると初心者の方はもう肌着を着た時点で着心地の悪さを自分の着方の悪さと勘違いしてしまうということも…。

腰ひもがナイロンだとズルズル滑って締まらないのは明らかに着崩れの原因になリますが、ビギナーズセットに入っているのは安価なナイロンが多いんですよね…
帯枕は最たるもので、固くて小さくて(特に巾のことですが)枕ひもの頼りないものが多いです。
この『枕ひも』が結び易くて安定感があり、しかも苦しくないものならどんなにいいでしょう。

最近、あちこちの売り場に立たせていただき、またネットでのお客様の声を拾うにつき、つくづく

「始めだからこそ、きちんとした和装小物が必要!」

と思います。
安物買いの銭失いとはよく言ったものです。
リーズナブルなものづくりはメーカーとしてとても重要な注意点ですが、当社ではそれに機能性や着心地の良さをすり替えないギリギリを目指すものづくりに精進していきます。

先日、当社のローライズステテコを愛用しているというお客様から

『最近ネットでもローライズステテコは随分出てきているけど、オタクのは品物がいいわよね。安価なものをいくつか買ったけど履き心地が違うのよね。スーピマなんかよりも良いもの~。ちょっとお高いと思ったけど、結局そういうことよね。』

と。

はい、そういうことです。国産の中でも一番高い綿楊柳を採用しました。それはやはり生地がいいから。
少し愛して長~く愛して、というかつてのサントリーウイスキーCMの名セリフを目指して頑張ります!