平成25年10月
先月のかわら版でパッケージを変えるという宣言をしてしまいました。
とんでもないことを言ってしまったものだと思いながらも、言ってしまったもの…の思いで歯を食いしばり、合間を見つけては打ち合わせやサンプルの検証などを行なっています。
言ってしまったもの…。
実はこれ、私の常套手段なのです。笑
とにかく怠け者、ルーズ極まりないこの性格をなんとか発奮させるためにはとても有効で、誰かに見られていると思うと渋々だろうがいやいやだろうがなんとかやり通すものなのです。
私が和装肌着のメーカーとして船出したときにもそうでした。
もとよりメーカーとして日本中に打って出るぞ!などの野望があったわけではありません。
様々な提案やお願いをしても、ちっとも動いてくれないメーカーに業を煮やしてのことでした。
最近でこそ、メーカーさんが直接ショップを持ったり、様々なイベントに出てくるようになって来ましたが、その頃はメーカーさんと直接お話する機会なんか全くありませんでした。
当然、問屋を介して交渉するのですが、熱意のある担当さんが何度もトライしてくださったのですがなんとも動かない。
それなら自分で作るしかないじゃない!と啖呵を切ってしまったのが始まりです。
バブルがはじけて以来、着物業界にとって氷河期が続いています。
それはそれは暗く苦しい時代が続いています。
それでもここ十年ほど前から顕著になってきた着物ブームに乗じて綿や麻、ウールなど庶民の味方であった安価で扱いやすい素材の着物がみるみる増えてきて、わりに気取らずに着物を楽しめる方が増えてきました。
それに比例するかのように当社の製品をご愛用くださる方も増えてきて、震災でダメージを負ったまま息絶えるかとも思えた細々とした屋台骨をなんとか支えていただくことに。
ああ、本当に有難いことです。
とにかく私は着物を着るということのハードルを下げたかったのです。
まずは着物を着るための費用を安価なものにしたかった、そのためにはせめてメンテナンス費用を無くしたかったのです。
次に半衿を付ける大変さと着付けに関わる大変さを半減させたかったのです。
また年々暑くなる気候に、着物でも暑い衣類と思われないような工夫が出来ないものか、というようなことをいつもいつも考えていました。
それはいまでも同じです。
でも違うのは、今は一人で考えているのじゃないということです。
今は心強いスタッフがいます。
そして何よりご意見を下さるお客様、要望をぶつけて下さるお客様がいます。
満点スリップを考えてからちょうど十年、氷河期からはまだまだ抜け出してはいませんが、今はいい時代になったとつくづく思うのです。
着物、楽しみましょうね。