平成26年6月

きものよきもの

季節の決まりごと、ものすごく難しくなっています。
以前は暑かろうが寒かろうが暦通りにしなくちゃいけないものとの常識がありました。
でも、あまりに世の中が暑くなってきたここ十年ほどは専門家の方も専門雑誌も、夏物や単衣の時期を広げる方向です。

だって暑いんですもん!

で、私のおすすめは断然『麻着物』です。
有名なのは小千谷ですが、着物に親しんで日の浅い方にとっては麻はあこがれ、綿の浴衣とかのほうが気軽でいいわ~と思いがちでしょう。
ところが、日常着物の中で綿よりウールより扱いやすく、しかも丈夫なのが麻着物なのです。
私はここ数年、浴衣ではなく麻着物ばかり作っています。

ということで、今月は麻着物についてご紹介します。

まず麻着物の何が魅力かと言うと、筆頭にあげるのは「涼しさ」です。
アパレルのものでもお分かりのように繊維の硬さが抜群の通気性を生み、それはそれは涼しいです。

さらに洗濯は、洗濯ネットに入れて洗濯機に放り込むだけ、しかも速乾性に優れているので、夜に洗濯して翌日にまた着られるという便利さ。
しかも!アイロンいらずなのです。
厳密に言えば小千谷に代表される一般的な麻着物は楊柳加工が施されているのでアイロンは厳禁なのです。
洗濯ネットから出したら、洗濯で付いた畳みジワを手のしで伸ばし着物ハンガーで形を整え干すだけです。
汗にまみれる夏、まめに洗濯できる麻は最高です。

ひとつご注意願いたいのはお仕立てをする前に『水通し』をしてほしいということです。
麻着物は仕上げの時点で5%から多いもので8%ほど縮みます。
ですから仕立てる前に縮めてしまうのが得策、自分で洗うということをお求めの時にお店側にお話し下さい。
自分で洗うことを前提にしないと、せっかく水通しをしてもまた伸ばされてしまう危険性もありですから。
価格は三万台から、良いものでも十万くらい、上布は別格ですからまずはリーズナブルなものでお試しください。
やめられなくなりますけどね。笑