平成27年9月

きものよきもの

先月のかわら版で、着物の世界にずっと死に絶えていた『普段着』というジャンルが生まれたという話を書きました。
それについて今月もお話したいと思います。

着物の世界は日常着が洋服に取って代わった時から冠婚葬祭用の衣装という位置づけか、またはお茶時の着物を含めたしゃれ着の部分のみになってしまってました。
だから私は、少しは残っていた綿着物やウールと言った素材の着物が、あっという間に市場から無くなっていく様を、その時代の流れをつぶさに見ていたのです。そして、

たしなみとして一通りの着物は持っていなくちゃ恥ずかしいよね~

という時期もあっという間に過ぎ、呉服産業の氷河期に突入していったのです。

あれから30年(どこかで聞いたようなフレーズですね。あっちは40年か、笑)
昨今の着物愛好者は、当たり前に普段着を楽しんでいます。
特に当店のお客様は、そういう着物の楽しみ方をしている方が非常に多いです。
また、とても嬉しいことにどんどん増えてきました。

これは明らかに、お客様の先導でそうなっていて、今、それについていけない業界は右往左往しています。
後ろからお客様を追いかけている、とでも言いますか。
望まれるものを聞いてそれを作ってなんとか間に合わせている感じです。お客様、すごい!

でもその傍ら、新しい感覚で別ジャンルから飛び込んでくる新参者が面白いものづくりをしています。
とっても新鮮!これはやはり固定観念があると出来ないことなんだろうなぁ~とつくづく思います。

呉服屋さんでも成功しているお店には急に着物を売り始めてるって方もいます。
これもプチびっくりです。
だって専門的な知識がないと着物は売れないと思い込んでいたのですから。
いやいやまいったって感じです、本当にきょろきょろ見ていないと置いてかれるぞ!
と胆に銘じ、つとめてきょろきょろしている今日この頃です。
 
普段に着物を楽しもうとするとメンテナンスの手軽さは絶対にお座なりに出来ませんが、これを軽減するという当店の発想は時代にあっていたんだという確信のもと、これからも喜んでいただけるメーカーでありたいと願っています。
顕在ニーズを超えた潜在ニーズを呼び起こせるようなものづくりをがんばります!