平成30年3月

きものよきもの

毎年この時期に、気仙沼市立病院付属看護専門学校の卒業予定者に向けての『茶の湯体験講座』を請け負います。
今年で5年目でしょうか、なんとかお弟子さんの協力のもと今回も無事終えました。 

なんて書きだすと、さも私が素晴らしいお茶の先生で依頼を受けているかのように聞こえるかもしれませんがそうではありません。
弱小で偉くも立派でもないから、ボランティアともいえる薄謝でもこいつならいいだろう的なことでお鉢が回ってきているのです。
教務主任が昔っからの親友でもあって、どうにも断れないってこともあるのですが。笑

さてその講座の中で必ずすることが3つあります。

練りきりという和菓子を食べさせること、
抹茶を味わってもらうこと、
そしておもてなしのお話をすることです。

まずは茶道がおもてなしの文化であることをお伝えし、私が『もてなす』とはどういうことと理解しているかと、看護師という職業を照らし合わせた話しをします。
なぜなら看護師ほど相手の気持ちを推しはかる必要のある仕事はないからです。

で、この時点で感じる不思議があります。
あちらこちらから集まっている生徒たちなのに必ず学年のカラーがあるのです。
本当に不思議、明確に色が変わるのですから。
たった一年、場合によっては誕生日も数日しか変わらない同士なのに、です。

ある人にその話をしたら、即答でこのように言われました。
『それはね、教育要綱が毎年変わるからだと思うよ。』と。
本当にそうだとすれば、方針って何より大事でおそろしいですね。

考えてみれば仕事においても確かにそうです。
方針のないまま、あるいは方針がぼんやりのまま進むことは論外!って、メーカーをしてる今だからこそわかります。
田舎の一店舗を経営するだけだったら気づかずに過ごしてしまったかもしれません。
明確化の『明確』の精度がまるで違うと感じます。
だからいつもひいひいぜいぜい言ってて、ぜんそくになりそうです。笑

でもそのスキルを上げていくことこそが、お客様に愛されるたかはしきもの工房になるのですからがんばりますっ!

ところで今年の生徒さんは非常にまっすぐな印象でした。
話し始めた途端、身を乗り出してくるのがわかりました。
目もキラキラしていました。おひざをついてふすまを開け閉めする動作のお稽古もしました。
みんな、とっても清々しい顔で楽しかったと言ってくれました。

お行儀の良いことは清々しいのです。
こういうことがわかると和のお稽古ごとにももう少しは生徒さんが集まるような気がしますが…。