平成31年1月

きものよきもの

新年 あけましておめでとうございます。
昨年は本当にお世話になりました。
今年もご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

日常着からきものが消え去って以来、今は空前のきものブームであると私は思っています。
きものを買う人口は減っているかもしれませんが、着る人口は確実に増えてきています。
特に人口密集地においては顕著です。
田舎では、きものを着てお出かけすることに抵抗があるという方がまだまだ多いですが、それでも着付け教室に生徒さんが途切れることはなく、当社肌着も地方でも売れるようになってきました。
肌着にお金をかけようということはつまり、着たい!という願いの表れですから。本当にうれしい限りです。

さて、年頭に当たって皆様にお得な情報を一つお伝えします。
最近、きもののお直しのことをよく聞かれます。
お譲り物を上手に着るためには品物の良し悪しや寸法のことなど、様々な知識が必要です。
お好みに合わないものはどうしたらいいの?というご相談も時折あります。

そうなんですよね。
頂けるのは嬉しいけれど、全く好きではないきものをもらった場合困りますよね。
私も母の譲り物をよく着ますが紬系などはよくこなれていて本当に着やすいのです。
それでも好みがまるで違うので嫌いな柄が多いのも事実です。
そういう時、私は目引きといって色をかけるということをします。
つまり濃い色目をかぶせて元の柄を沈めてしまうのです。
これは洗張りに一万円ほど足せば出来るので、とてもリーズナブルにお気に入りの一枚が手に入りますよ。

よく洗張りは仕立て代がかかるからもったいないとおっしゃる方がいらっしゃいます、だから丸洗いがいいと。
でも、たくさんのメンテナンスを手掛けてきた私は洗張り派です。
水は浄化してくれる優れものです。
洗張りすると糸も染料も本当に喜びます。
吸い込んだ長年の塵や汚れを気持ちよく吐き出し、ほどほどにこなれて体なじみは格段によくなります。
二十年に一回くらいは洗張りをし、八掛を染め替え仕立て直すことはきものを長持ちさせる最善の方法です。
また、寸法も見直すいいチャンスです。丸洗いは袖口や裾の汚れがたまったり、なんとなくヨレッとした時には有効ですが、洗張りほどの効果はありません。。

「洗っておけば安心」とクリーニングに出す方が非常に多いように思うのですが、それはあまり意味のないことです。
「リサイクルで五千円で買ったのに、洗張りなどのお金かけるのはもったいない!」これもそうかなぁと思います。
安く買ったからこそ、そこでひと手間かけて、ものすごく着やすいきものする方がずっとお得だと思うのですが。

是非もう一歩、きものを着るということに踏み込んでみてください。
主体的に考えることが出来れば、もっともっときものは楽しいものになりますから。