平成26年10月

きものよきもの

もう十年も考え続けている商品が今月、やっと発売の運びとなりました。それはクローゼットでも使用できる『きもの用特許ハンガー 和えもん』です。

にわかに着物が都会を中心に流行りだしたあたりから、今までの着物ハンガーは住宅事情によっては使いにくいだろうなぁ…と漠然とながら考えておりました。
それがくっきりとした輪郭になったのは満点スリップを発売してから間もなくのことでした。
だって、都会のマンションやアパートでは鴨居もなければ両手を広げたような着物をかける壁面もないだろうことは想像に難くなかったからです。
それでもこんなに長いこと商品に出来なかったのはうちのスタッフたちが

「そうかなぁ、別に今のものでいいんじゃない?」

と、必要を感じてくれなかったからです。
そりゃ、あんたたちは大きな家に住んでるからね!とやりあう事で数年を費やし、そうこうするうちに震災です。
もうそれどころではなくなりました。

私はすぐに思ったことをぱっと口にし、なんでも素晴らしい事に思え、なんでもやりたくなるという、よく言えば天真爛漫タイプです。
悪く言えば脳みそが子供のままってことでしょうか。笑
それに引き替え、うちのスタッフはよく言えば冷静沈着、悪く言えば頭が固い!爆笑

神様はよくしたものです。
私のブレーキ役として彼女らがいるのだと胆に銘じ、必ずや彼女らに『それはいいね、やろう!』と言わせるために、私はない頭をひねるというのがパターンになっているのです。

私が常に心がけているのは頭を締め付けている固定観念という輪っかを出来るだけ取り去ることです。
そしてそれは、スタッフはもちろんのこと自分の輪っかだけでなく、みんなの輪っかも取り去りたい!という欲求に変わってきました。
ダメだ、ダメだ、そんなこと!という人ほど変えたい欲求が募るのです。

着物の世界はある意味輪っかだらけです。
伝統文化ということではない、あとからはめられた余計な輪っかをひとつでも取り去ることが出来たならと思案する毎日です。

ところで孫悟空の頭に乗っている金の輪っかですが「緊箍児」きんこじというのだそうです。
輪っかじゃかっこ悪いと思って調べたのですが、わかりにくいなぁとおもって止めました。笑