
もうこわくない!?きものの着くずれの考え方
頑張って時間をかけて自分で着付けたのに、着くずれちゃった…(泣)
もう、着くずれしないように着られたら良いのに!と考えたことありませんか?
実は、たかはしにも着くずれに関するお問い合わせをよくいただきます。
たとえば、着くずれしないための紐や伊達締め、えもん抜きなど、選び方や使い方なども含めてよく聞かれます。
そこで今回は、きものの着くずれについてお伝えしていきます。
普段の着付けの時に意識することで、着くずれのストレスがかなり解消しますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
そもそも着くずれとはどんなもの?
まず、どういうものを着くずれと言うのか、整理してみます。
着くずれの種類は二通りあります。
ひとつは、着付けがよくなくて着くずれる場合です。
たとえば、特にたくさん動かなくても、呼吸したり歩いているだけで、帯が落ちてしまうとか、下が開いてきてしまうとか、衿がカパカパとゆるんでしまうとか。このような状態を着くずれと言っていると思います。
もうひとつは、日常的な動きで着くずれる場合です。
たとえば、腕を上に上げて胸元がたるんだり、風であおられたり、間違って裾を踏んでしまったり、立ち座りで帯が動いたりなど。動いたことによって生じるゆるみなども、着くずれといっていますよね。
では、どのようにすれば着くずれのストレスを減らすことができるのでしょうか。
着くずれしにくい布の力を活かした着付け
着付けがよくなくて着くずれてしまう一番の重要な原因は、きものをふわっと体に巻いて、紐でギュッと体にくっつけようとしているような着付けです。
なぜなら、紐が動くことで全部の布が動いていくため、着くずれに繋がってしまいます。
たとえば、着くずれで一番目立つのはえもんの崩れです。衿元が開き過ぎてしまうと、色っぽさを通り過ぎて、ちょっとだらしない印象になってしまいますよね。
きものをふわっと体に巻いて紐でキュッと締めた着付けでは、紐が動けば布全体が動くことになるので、えもんもゆるみ着くずれに繋がります。
着くずれしにくい着付けとは、布の縦糸と横糸の糸の力を信じて、糸の力を体に当てるイメージで着付けます。点で押さえるのではなく、布の面積を体にあてるイメージできものを体にまとわせるように着ることです。布の面積で摩擦力がはたらくので、体の動きに布の動きがマッチして着くずれを防ぐことができます。
体を筒に置き換えて考えるとわかりやすいと思います。
筒に布をふわっと巻いてキュッと紐で縛った場合、紐が動くと布全体が動きます。しかし、布を筒にピタッと沿うように巻くと、摩擦力で布が動きにくくなります。
動きでの着くずれは直せれば問題なし
布の力だけで体にまとうように意識して着付けをしても、動けば布にゆるみが生じることもあります。
たとえゆるんだとしても、布を引くことで直すことができれば、着くずれにはならないですよね。布を引くのも、点で引くのではなく、面で引くことによって、布全体の力で体を支えているイメージになります。
たとえば、衿元の布がゆるんできても、えもんがきっちりとめてあれば、布を引けばゆるみは帯の中に入っていきます。
着くずれた時に、どこの布を引けばどこが直るのかを、きちんと頭で理解できていれば、すぐに直すことができます。逆に、どこを引けばどこが直るのかがわからないと、あっちこっち触ることになります。
きものの布は全部繋がっているので、自分で着付ける時に、どこにどう力をかけて着るのか、布を面積で動かすとどこにどう影響するのかがわかってくると、着くずれてもすぐに直すことができるようになります。
気持ちよく着て、着くずれにくいきもの生活を楽しめると良いですよね。
女将による着くずれの考え方についての動画はこちらをご覧ください。
【きものの着崩れを考える!皆さんが思う「着崩れ」とは?】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
また、具体的な方法は、これまでの女将の次の動画を参考にしてみてください。
【超マニアック! 「えもん」と「くり越し」は関係ない!】
【うそつき衿を、自分サイズにカスタマイズ!】
【ちょっとマニアック!日常きものに便利なおはしょり術】
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
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なぜかきものの背中心が左にズレる原因
きものの着付けのとき、どのようにして背中心(上半身)を合わせていますか?
着付けを習った先生や、着付けを参考にした動画によってもその方法は様々かと思いますが、ズレると目立つのが背中心。
たかはしでは、以前の動画で背中心のズレを解消する方法をお伝えしました。
▼詳しい方法はこちらの動画をご覧ください。
【ちょっとマニアック!背中心のズレを解決!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
背中心がズレるとき、ほとんどの人が左肩側にズレるので、最初から右肩側に少しずらしておけば、最終的には真ん中になるという方法が、かなり有効ではないかと考えています。
そもそも、背中心がズレるとき、なぜ左側にズレるのでしょうか。その原因を根拠はないけど自信たっぷりな女将の推理とともに、お伝えしていきます。
原因その1:コーリンベルトのゴムの強さ
原因のひとつとして、コーリンベルトのゴムの強さが左右で非対称になってしまう場合が考えられます。
たとえば、両側を一緒に留めた後、ベルトを後ろで交差させて前で留めるタイプのコーリン「和装じめ」の場合、左右均等に力がかかるのでズレの原因にはなりにくいでしょう。
しかし、片側ずつ留めるタイプのコーリンベルトは、均等にならない場合が考えられます。
下前(左手側)を留めてからベルトを引っ張って後ろを通して上前(右手側)を留めると、先に留めた下前が引っ張られそうなのですが、なぜか左肩側にずれてしまいます。
そのため、ゴムの強さが上前(右手側)に影響するならば、ゴムで徐々に引っ張られる可能性も考えられます。それを防ぐために、コーリンベルトを留めた後、コーリンベルトのゴムと背中の間に指を入れて、左右に2、3回滑らせることで均一に当たるようになるかもしれません。
ただ、ゴムの強さが左右非対称といっても、その違いは微々たるものだと思うので、大きな原因ではないように思えます。
原因その2:きっとコレ!体の左右の違い
ご自身の体の厚みを左右で比べたことはありますでしょうか。比べてみると、人の体の厚みは全然違うということを確認できると思います。
女将の推理によると、きっとコレが背中心ズレる問題に関係があるに違いないと。
女将自身、気をつけていないと背中心が左肩側にズレるそうですが、女将の体は右側が厚くて、左側が薄いとのこと。
※女将を左右から撮影した画像を重ねたもの
このような体の左右での違いは誰にでもあるもので、たとえば、骨盤の高さが左右で違ったり、肩の高さも左右で違っていたりしますし、片方の肩が前に入ってきたりします。
アスリートのように体のことをしっかり意識して考えている方以外は、普段の生活の中での動きの癖や習慣、仕事で片側だけよく使う場合など、体の厚みにも左右で違いが生じます。
ぜひ鏡などを使って、自分の体の左側から見た厚みと、右側から見た厚みをチェックしてみてください。おそらく左右で体の厚みが違うのではないでしょうか。
体の左右で違いが生じるのは、
体の内臓が左右非対称に配置している(ひとつだけの臓器もあるし、左右にある臓器も左右対称ではない)
利き手、利き足側の骨や筋肉がやや発達する
脂肪の付き方は体や骨盤のゆがみによって左右非対称になる
など、そもそも人の体は左右で差があることがわかります。
女将の利き手は右手のため、体の右側が左側に比べて厚みがあるのかもしれません。
背中心のズレは体の細い方へ生地が滑った結果
体の右側が左側に比べて厚みがある体を輪切りにして考えると、右側が厚くて左側が薄い形になります。
女将はこれまでも「体はすべて滑り台」とよく話しますが、生地は体の細いほうに滑っていきます。
この考え方に基づけば、体の左側が細いので、生地が左側に滑った結果、背中心が左肩側にズレたのではないかと推理できるというわけです。
また、体の厚みが薄いと相対的に使われる生地は少なくなるので、生地を引き込んだときの力が余計に働きやすくなるとも考えられます。
ただし、体の左右の厚さの違いを実際に測ったわけではありませんし、左右で使われる生地の違いがどのぐらいの摩擦力の違いを生んでいるのか測ったわけではないので、実際にどのぐらいの違いがあるのかはわかりません。
そのため、明確な数値を根拠とした答えではありませんが、左右対称に作られているきものを、左右非対称の体に巻いていくわけですから、背中心のズレが生じる一つの原因だと思えてきませんか。
背中心を体の真ん中(上半身)に調整したい場合、左側にズレやすいのなら、かけ衿を合わせるときに、上前を少し長く引いて着ると最終的に着上がったときに背中心が合うと思います。
ご自身の体の左右の違いも意識してみると、より心地よく体にそった着付けになっていくのではないでしょうか。
名探偵かずえによる根拠のない自信に満ちた推理はこちらの動画をご覧ください。
【科学的根拠はないが、きっとコレ! 女将探偵の推理 背中心がズレる原因】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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