たかはし女将、きもの警察を語る
日常できものを着ていて、「もしきもの警察に出会ったら…」と思ったことはありますか?
一般的に「きもの警察」という言葉は、良くないイメージで受け取られていることが多いと思います。
たとえば、帯が曲がっている人がいたとき、「帯が曲がっているので、直しますか?」と聞いて、帯を直してあげた場合、人によってはこの状況も「きもの警察」と感じられることもあるのかもしれません。一方で、きもの警察をきもの警察するような状況もありますよね。
今回は、きもの警察とは誰のことだろうか?というのではなく、きものをもっと楽しむために、きもの警察について、本気で考えてみました。
結論、きもの警察も愛
きものを楽しむ上で、あれダメ、これダメという言い方をもうやめたいと思いますし、お互いにしたくないなと思っています。なぜなら、きものを着ているだけで嬉しいし、着てくれただけで嬉しいからです。
たとえそれがどんなことであっても、あらら?ということであっても、きものを着てくれていると嬉しいし、もし好きじゃない着方であったとしても、きものを身に纏っているだけでヨシ!って感じです。
これを土台として考えていくと、結論、きもの警察も愛です。
つまり、きもの警察と言われてしまうかもしれない人って、きものを良くしたい、きものをきれいに着ていてほしい、着方を間違っていたらあなたが恥をかくよと、思っているのだと思います。
結果として、取り締まるという表現になっているのは、知っている人が知らない人に教える体になるので、おのずとマウントを取ってしまうような感覚があって、それが言葉や態度にちょっと出てしまうのではないでしょうか。
震災後の気仙沼で、きもの警察と言われるような状況に遭遇したことがあります。地元で私のことを知ってくれている人もいたり、きもので歩く人が少ないために、「あの人は、たかはしの人」ということが、ある程度は知られていると思っていました。
ある講演会に参加したとき、時間ギリギリに行ったため、バタバタと走って会場に入って座る席を探していました。
すると、「ちょっと」と声をかけられ、後ろから両肩を掴まれて柱の陰に連れていかれました。「お太鼓が曲がっています。私、着付け講師ですから直しますね。」と耳元で囁かれ、帯を直してくれたのです。
急いで車から降りるとき、背中をこすって帯が滑ってしまったのでしょう。きもの警察と言われる場面に出会えた嬉しさをこらえつつ、「ありがとうございます」とお礼を伝え、その方とわかれました。
たぶん耳元で囁かれるのが怖いと感じる場合もあるかもしれません。声をかけてくれた方にしてみたら、もし大きい声で話しかけたら相手に恥をかかせてしまうと思ったでしょうし、1分1秒でも人の目に触れる前に帯を直してあげようという親切心だと思うのです。
知らない人から囁かれて帯を直されたという状況だけを聞くと、陰湿な感じにも受け取れるのかもしれません。もちろん、捉え方もあると思います。
ただ、きものについて言わなきゃいけない空気感が、しきたりきものに囚われていた時代にはあったと思っています。
拙著『きものの不安をスッキリ解決』にも書きましたが、戦後の昭和30年代~60年代あたりは、しきたりきものに則ってきものを格上げして、高額のきものを売って、着付け教室もバンバン儲かった時代がありました。着るものとしてのきものの価値から、違った路線に行ってしまい、日常的に着るものではなく、権威主義になっていた時代がありました。
権威主義に巻き込まれた着付け教室で教わった人たちも権威的に教わるので、権威的になるという図式があったように思います。個人の問題だからではなく、そのるつぼにドハマりした人たちが多かったですし、蔓延してしまったと思います。
自由にきものを楽しむようになって広がる楽しさ
今は非常に自由度が増して、自由にきものを楽しむようになってきて、本当にありがたいなと思います。
たとえば、若い方もインスタライブやYouTubeで発信していますし、初心者ですと言いながら発信している方もいるし、いろんな着合わせ方を提案する方も出てきて、人口の多い地域ではかなり自由度が増しています。
きものでどんなことをやっても、人からギョッとされるような目で見られませんし、驚いたような顔をされることはないでしょう。逆に素敵だねと言われることが増えたり、ここ5年ぐらいで相当変わったと感じています。それを拍手喝采して見ています。
そんな中で、しきたりきものを語る人が肩身が狭いという図式を感じることもあります。
しきたりきもの、日常きもの、どちらも素晴らしいですし、まさに二大巨頭だと思います。
たとえば、しきたりきものしか知らない方が、日常きものを覗いてみると幅が広がるでしょうし、日常きものしか知らない方が、しきたりきものを知ることによって新たな美意識が生まれたり、美学が磨けることがあると思います。このように、しきたりきもの、日常きもの、どちらもお互いにリスペクトの関係なのではないでしょうか。
誰もがお互いに奨励する意識になれば、きものがますます楽しくなりますよね。
そんな世界に行きたいですし、そうなれば良いなと思っている方も、実際に増えていると思います。
しきたりきものを語る方も必要ですし、自由度をどんどん広げていく日常きものもすごくいいと思います。その両方を知ることによっていろんな幅が生まれて、きもの自体やきものを愛する気持ちを軸にして、世界が広がっていくと思っています。
正しい・間違いではなく、どれを選ぶのかが大切
何が正しいか間違っているかをジャッジするのではなく、どれを選ぶのかということが大切です。これはきものに限らず、人のことも、物事も、すべてジャッジしないことだと思っています。
何かに対して、ただ嫌だと言い切ってしまうと、背中を向けたくなってしまいます。
私は好きじゃないけれど、ちょっと望まないけれど、選ばないけれども、それを好きだという人もいるのが当然だというところを、少し探ってみると、意識が凝り固まっていることに気づけたりすることもありますよね。
日々、自分の頭の輪っかに愕然とすることがあります。たかはしのスタッフも若い子が増えてきて、ハッとすることが結構あって、それは自分の許容範囲の狭さだなと反省しています。
許容範囲を広げながら、いろんなものを楽しもうと思ったら、きものはますます果てのない沼だと思います。
たかはしの商品が絶対いいわけではないことをわかっていますし、大嫌いという方がいてくれていいと思っています。選択肢を選ぶひとつの基準になれば、その中で選んでくださる方がいれば本当にありがたいです。もし、嫌だという方がいたら、その理由を聞くことで勉強になることがいっぱいあります。ですので、何があっても良いよねと思っています。
もし、怖く言ってしまっている場合は、ぜひ優しく言ってあげてください。もし、「あなたそれじゃダメよ」と言ってしまうなら、「こうするといいと思うんだよね」と伝え方をデザインすることで、きもの警察ではなくきもの師匠になるのではないでしょうか。
きものについて教わるなら、優しい先輩、優しい頼りになる先輩に言われた方がいいですよね。
これからは、きもの警察という言葉を、愛を持って捉えていきたいなということで語ってみました。
きもの愛たっぷりの女将による動画はこちらの動画をご覧ください。
【愛すべき、きもの警察!たかはし女将、きもの警察を語る】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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名古屋帯を締めた後の簡単な直し方
名古屋帯を締めた後、形が決まらなくて簡単に直したいとか、外出先で帯を直したいと思ったことありませんか。
たとえば、
・思っていたよりタレが長くなってしまった
・お太鼓の大きさがいつもよりもブカブカして大きすぎる
・ドアノブに引っかけてお太鼓が崩れてしまった
など、帯を締めた後で直したいということがあるのではないでしょうか。
今回は、外出先で帯を直したいと思ったときにも、慌てずに簡単に帯を直す方法をお伝えします。
名古屋帯のタレが短いときの対処
名古屋帯のお太鼓結びは、お太鼓が一重なので、袋帯よりも頭を使わなくてもイメージが湧きやすいと思います。
お太鼓の中の手先の下に輪っかがあります。この輪っかが帯の余分ですが、タレを引っ張ると落ちてくるだけになります。
まず、お太鼓の真ん中を下からつかみます。
できれば親指は帯締めのあたりまで到達するぐらいキュッと深く握り込みます。もう片方の手で、タレの真ん中をつかんで、クーっと下に引き下ろします。
お太鼓の中で輪っかになっている部分が落ちて短くなっていくだけなので、いくらでも引き下ろすことができます。長さに余裕がないと、これ以上下ろせないというのはもちろんあります。
タレの真ん中でちょうどいいくらいの長さにしたら、お太鼓を整えてタレの長さを確認します。必ず左右両方を確認します。
一方は長さが出ているけど、もう一方は出ていないということがあるためです。
たとえば、左側の長さが短かった場合、真ん中より左側寄りを握って、タレを引っ張って左側の長さを調整します。
タレの長さが左右で揃っているのがいいとも限らなくて、ちょっと曲がっているのも味わいだったりします。タレの真ん中が長くて両端が短いのも、お尻に沿うような感じも素敵だと思います。
単純にタレをまっすぐにするなら、タレの長さを調整するときは、かならず左右から見て調整するのがいいと思います。
名古屋帯のタレが長いときの対処
まずお太鼓の中にある手先をプルンと外側に折るのがおすすめです。プルンと折るとお太鼓の中の輪っかが見えるようになるので、その輪っかに指を入れるとお太鼓側か体側かが手で確認できると思います。
体側の一枚を引っ張ると、タレが上がってきます。
左右両方でタレの長さを調整します。
もしうまく上がらない場合は、帯締めがしっかり入りすぎている可能性があるので、心持ち帯締めをちょっとだけ緩めます。帯締めに緩みがあると帯が動きやすくなるので、簡単に調整しやすくなります。
タレの長さを調整すると、一緒にお太鼓まで上がってきてしまうのが心配なときは、クリップでお太鼓の下線と手先を一緒に挟むと便利です。
たとえば、お太鼓が上がってしまっても押さえて引き下ろすことができますし、お太鼓の下線が変わったり、一緒につられて中に入ってお太鼓自体が小さくなるという心配はないと思います。
名古屋帯のお太鼓が小さすぎたときの対処
お太鼓の中に余分が入っているわけなので、お太鼓の内側に親指を入れて人差し指で挟んで、内側から外に向かってクリンと返すように引っ張ってくると、お太鼓の大きさを調整することができます。
手先を戻してお太鼓の大きさを確認し、お太鼓の下線の角がブワーンと浮いていると緩慢な感じがするので、お太鼓の下線にあたるくらい手先も下げてあげます。
帯締めが上の方だけ押さえているような状態になるので、帯締めもタレの真ん中くらいになるように下げて、必要であれば帯締めを締めなおします。
後ろ側の帯締めの位置は下げておきながら、帯前の帯締めは帯の真ん中あたりになるように上げておきます。
帯前で帯締めの位置が低すぎると、帯締めが落ちている感じだったり、疲れた印象になったりしますが、帯締めの位置が真ん中に上がっているとスッキリとした印象になります。後ろ側の帯締めはちょうど手先の真ん中付近を締めるようになるといいのかなと思います。
名古屋帯のお太鼓が大きすぎたときの対処
お太鼓の中の手先をめくって倒すと中に輪っかがあります。輪っかの外側の一枚をつかんで引っ張るとお太鼓が上がってくるわけです。
もし、どこまでお太鼓を上げたらいいのか心配な場合は、クリップを使います。
お太鼓を上げたい位置でお太鼓の下線をクリップで留めます。
お太鼓の中の輪っかに指を引っかけて、外側を意識してカツンと止まるまで持ち上げます。
クリップで持ち上げた余分が奥に入って、余分だけがお太鼓の中に入っていくので、きちっとお太鼓の下線が合うわけです。
一番は、仮ひもを入れてお太鼓を作り直すのがいいですが、外出先で気づいたときはそうもいかないですよね。
たとえば、お手洗いに行ったときに「あらら」と気づいたり。そういう時にできる対処法です。
お太鼓の中の手先の下に輪っかがあって、輪っかを上げればタレ先もお太鼓も全部上がってくるわけです。二枚を一気に持ち上げた後、お太鼓を下ろしてからタレ先を引き出すのが一番簡単です。
一気に上げるのが心配な場合は、お太鼓の大きさを決めたらクリップで留めておき、お太鼓の中の輪っかで大きさを調整するようにするといいかなと思います。
タレ先の両端を引っ張ると、タレの真ん中が上がっていて両端が下がっているような形になるので、お好みにもよりますが、今の感覚だとあまりかっこよくないかと。
タレ先を調整するときは、先に真ん中を引っ張るとまっすぐもしくは真ん中が下がって両端がふわっと上がるような感じになって、端っこの雰囲気が優しい印象になると思います。
一発でお太鼓の形を決められたら一番いいのですが、帯締めが緩かったり、ドアノブなどに引っかけてしまったりして、後からお太鼓を直すときは、慌てなくて済むようにこれを知っておくとよいと思います。
自分できちんと結んだときも、手先をペロンとひっくり返して、この輪っかを調整すればいいんだなと考えておいて、直す癖をつけるためにも、練習のときにご確認いただけたらと思います。
外出先での帯直しで、きものでお出かけのハードルが下がりそうな女将による動画はこちらをご覧ください。
【名古屋帯の簡単手直し!締めた後のカンタンな帯の直し方「名古屋帯編」】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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和装肌着の洗濯、ネットに入れる?入れない?
普段、ご自宅での洗濯で和装肌着や補整用品・着付け小物など、どのように洗濯されていますか?
たとえば、たかはしでは麻綿を使っているため、綿がよれないためにはどうすればいいかというご質問をいただくことがあります。その際、洗濯ネットを使わない方もいれば、何でも洗濯ネットに入れる方もいます。
もちろん、洗濯ネットに何を入れて洗濯するのかの基準は人それぞれでよいと思いますが、女将流の洗濯ネットを使う基準について、お伝えしていきます。
洗濯ネットを使うメリットとデメリット
たかはしの商品の場合、ひもが長いものが多いです。
たとえば、肌着をそのまま洗濯すると、洗濯物がひもに絡まってしまいますので、ひもが長いものを洗濯ネットに入れることで、ほかの洗濯物と絡みにくくなります。
一般的に、ドラム式の洗濯機より、縦型の洗濯機は生地の摩耗が大きいため傷みやすいといわれていますが、その分、汚れ落ちがよいです。
洗濯ネットに入れるメリットとしては、生地の表面の摩耗を防ぎ、毛羽立ちを抑えることができます。天然素材のものや、型崩れを防ぎたいものには、洗濯ネットが有効です。
洗濯ネットを使うかどうかのポイントは、ひもが長いもの、表面の色が綺麗なものや、発色がよいもの、型崩れさせたくないものなどです。また、金具が付いている場合は、ほかの洗濯物に悪さをしないようにするためにも、洗濯ネットに入れることで守られると思います。
逆に、洗濯ネットに入れるデメリットは、汚れ落ちが弱くなることです。
洗濯ネットに入れると、洗濯物が動きにくくなるため、汚れが落ちにくくなります。そのため、部分的に汚れがひどいものは、先に石鹸をつけて予洗いするなどの配慮が必要です。
たかはし商品の洗濯、ネットを使う?使わない?
たかはしの商品についてですが、脱着テープが付いているもの、とくにうそつき袖などは、脱着テープのオス側がほかの洗濯物に悪さをするので、ネットに入れることをおすすめします。
メス側はやわらかいので当たってもほかの洗濯物に悪さはしません。
脱着テープの硬い部分があらわになっているものは、単体で洗濯ネットに入れるとよいです。汚れ落ちのよさや、ほかの洗濯物と絡まないようにするためや、洗濯ネットの袋が傷つく場合を想定して同じ洗濯ネットを使うのもおすすめです。
また、「満点腰すっきりパッドスキニー」は、意外と洗濯ネットに入れなくても大丈夫です。オスの面積が大きいものは貼り付く力が強いので、テープがきちんと貼り付けてあれば、洗っている間にはがれることがありません。表面が毛羽立つこともない素材なので、汚れ落ちのよさを優先するなら洗濯ネットに入れなくても大丈夫です。もし心配な場合には、洗濯ネットを使うとよいです。
「洗えるメッシュ帯枕…
べっぴん帯板メッシュ前結び用は回しやすい?
帯を前結びするためのメッシュの帯板を探して、たかはしの「べっぴん帯板メッシュ前結び用(以降、メッシュ前結び用)」にたどり着いた方もいらっしゃると思います。
お使いいただいたお客様の声の一部をご紹介させていただくと、
脱着テープが横なので、つけやすかったです。
しっかり止めることができますし、帯を回しても帯板の位置が変わりません。
さすがメッシュ!ちゃんと蒸れが軽減していている感じがします。
帯板に芯棒が入っており、簡単に帯が前下りになり、着姿が本当に綺麗になります。
など、嬉しいお声をいただいております。
その一方で、「帯板ごと回ってしまう」「帯板ごと回すのか、帯だけを回すのか、よくわからなかった」などのお声もありました。
今回は、メッシュ前結び用の使い方のポイントや注意点をお伝えします。
帯を回しやすいメッシュ前結び用の特長
メッシュ前結び用は、横方向に滑る作りにして、帯板とベルトがなるべく同じ幅にならないように考えて作りました。そのため、後ろ側が細くて頼りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際に使っていただけると、骨盤に帯板が当たらない心地よさを実感いただけると思います。
メッシュ前結び用は外側も内側も横滑りしますが、縦には動きにくい作りになっているので、帯を重ねてしまえば落ちることはあまりないと思います。サテンの生地よりも帯の収まりがいいのではないでしょうか。
メッシュ前結び用の内側には、裏ワザ芯棒が二本入っていますが、抜いて一本の状態にしてつけても全然構いません。
裏ワザ芯棒を二本入れた場合、帯の前下がり具合がどのぐらいになるのかご自身の着姿を見て、調節してみてください。
メッシュ前結び用のつけ方のポイント
つけ方のポイントは、大きくふたつあります。
ひとつは、あらかじめベルトを巻いておき、帯板を貼ると簡単でよいと思います。
帯板のベルトを体の前側で貼ってしまうと、留めた後に帯板をズルズルと動かすことが手間になってしまいます。
メッシュ前結び用は、ベルトをフックに引っかけるタイプではないので、帯板を見なくてもできるくらい簡単です。
もうひとつは、ゴムベルトを伸ばさずに、苦しくない程度のところでとめることです。
ゴムベルトを伸ばしてつけたとき、つけた直後は苦しくなかったとしても、つけている時間が長くなってくると、だんだん苦しくなってくる場合があります。
帯が落ちなければいいので、苦しくない程度に貼ってください。
細身の方も想定していますが、ゴムベルトを少し長めに作ってあります。
もし、ゴムベルトが長すぎるという場合、帯板とゴムベルトの付け根部分を、調整したい長さに応じてタックを取って縫いとめてください。とても使い勝手がよくなります。
何センチくらいで縫いとめるのかは、いったん安全ピンなどでとめて、ちょうどよい長さを決めるとよいと思います。
ゴムベルトのタックを帯板の裏側に入れ込んであげるといいです。帯を回して滑らせる方向を考えると、高い方から低い方に滑る分には引っかかりも少ないからです。
もし、Mサイズでも長い場合や、Lサイズを間違って買って長すぎてゆるいという場合は、縫って長さを調整してみてください。
メッシュ前結び用で帯を回してみる
あらかじめ巻いたゴムベルトに、体の脇で帯板を留めます。
浴衣にLサイズをつけていますが、たぶんMサイズでも問題なかったと思います。袷のきものに合わせたとき、Lサイズの一番短いところが自分のサイズだと思っていましたが、生地が一枚だけになるとウエストまわりもだいぶ違いますね。
この上に、半幅帯で浪人結びの変形のような帯結びをしていきますが、ここでは帯結びの詳しい説明は省きます。
▼半幅帯の詳しい結び方はこちら
おうち着物に。クリップ使いで一日中崩れない半幅帯結び
帯を巻いて回してきたら、体の脇でキュッと締めます。前結びして帯を回す場合でも、締めるときにはゆるくはせず、程よくきちんと締めます。
結び終えたら、帯板をつかまずに帯だけをつかんで右手側に帯を回していきます。すごく簡単です。
もしお太鼓を作って帯締めをしても回せるくらい簡単です。仮ひもやふっくんでいったん止めても良いです。
まとめ
メッシュ前結び用を体につけて、帯だけを回します。横滑りするよう目を使って作っているので、帯を回しやすいです。
もしゴムベルトが長い場合にはカスタマイズをして、ちょうど良い長さに縫って調整してください。
帯板が骨盤に当たらないようにしているので、帯をハの字に落としていけます。
腰に帯を引っかけるので、ゆるゆるとした感じで楽ちんに着られます。とくに夏の暑い時期にはゆるゆるとした感じで着ていただけるとよいと思います。
帯が前結び派の方は、ぜひ試してみてください。
女将によるメッシュ前結び用の使い方の動画はこちらをご覧ください。
【帯、前結び派の疑問を解決!べっぴん帯板メッシュ前結び用は、本当に回しやすいの?】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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痛いコーリンベルトを痛くない神に変える方法
きものの着付けで、コーリンベルトが体に当たって痛いと思っていても、ガマンしていませんか。
とても便利で役に立つコーリンベルトですが、痛いと感じている方が意外と多いようで、とある有名きもの屋さんの女将が吐露してくれたときのこと。
有名きもの屋さんの女将:「実は私ねコーリンベルトが痛いのよ。」
たかはし女将:「えー?!痛いの我慢してずっと着ているの大変だよね?」
有名きもの屋さんの女将:「でも、みんな我慢しているんでしょう?」
たかはし女将:「いやいや私は我慢できませんので、体に当たるところにはつけてないんです。」
有名きもの屋さんの女将:「どこにつけてもコーリンベルトの効果があるの?」
たかはし女将:「十分にありますよ。」
ということで今回は、痛いコーリンベルトを痛くない神に変える方法をお伝えします。
コーリンベルトが痛い原因と回避する留め位置
コーリンベルトは、腰ひもを締めた後、衿折りをして広衿を押さえながら留めていくのが一般的だと思います。
コーリンベルトが痛いという方は、アンダーバストの下辺りを留めているのではないでしょうか。留め具がちょうど肋骨に当たるために痛いのだと思います。
たとえば、肋骨と肋骨の間で留め具がうまく骨に当たらずに逃れるときもあれば、当たるときもあるということを経験されている方もいらっしゃるかもしれません。
そういう不安定さも起こらないように、絶対に肋骨に留め具が当たらないところに留めます。だいたい、肋骨と骨盤の間の腰ひもを締めるあたりに留めるといいです。
コーリンベルトを留める位置を下げると、胸元が開いてしまうのではないかと不安に思われるかもしれません。
たかはしスタイルの着付けでは、胸元を締めませんので、胸ひもも伊達締めも使いません。
引く力をコーリンベルトに与える留め方
どのように留めるのかというと、引く力をコーリンベルトに与えて留めます。
衿元を下に引っ張りこむイメージで衿をグッと押さえて、腰ひものあたりでコーリンベルトを留めます。
腰ひものところは、お肉ですし満点腰スッキリスキニーパッドを使っている場合、コーリンベルトの当たりもまったく感じないわけです。そのため、痛くて苦しいことにはなりません。
日常きものは我慢して着るものではないと思っています。
礼装のときは、二時間お座りしていれば済むのであれば、多少のことは我慢できるかもしれません。
しかし、一日中歩いたり走ったり、手を伸ばしたり寝転んだり、いろんなことをする中で、着付けが痛みや苦しさにならないように考えています。
たかはしスタイルという着方教室では、日常きものに特化した着付けについてお伝えしますが、コーリンベルトのつけ方もそのいい例です。
コーリンベルトを使うと、衿がきちんと折ることができ、背中のシワが取りやすくてとても便利ですが、痛いのは避けたいところです。
もし同じように痛みを感じている方がいたら、試しに腰のところにコーリンベルトを留めてみてください。
そして、コーリンベルトを短めにしてください。留めて体にピタッと当たっても全然痛くないけど、きちんと生地に当たっているくらいの強さが理想です。
背中のシワをおさえられますし、衿がきちんと引っ張られます。ぎゅうぎゅうになると衿がつまってくるのは胸下で留めているときと同じです。
ほどよくきちんと押さえて体についてるくらいの強さを自分なりに模索してみましょう。非常に楽チンでコーリンベルトが神になります、
ぜひやってみてください。
コーリンベルトが痛いを解決する女将の動画はこちらをご覧ください。
【コーリンベルトが痛いを解決!初心者さんにも直ぐ出来る!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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衿元の着くずれを起こす本当の原因
衿元がプカプカ浮くことは、きものの着付けのお悩みとして現場でもよく耳にします。
衿元をピタッと着付けたはずなのに、着ているうちに衿元が浮いたり、ヨレヨレしてきたり、上半身全体が緩んでくるという経験があるのではないでしょうか。
今回は、なぜ衿がプカプカ浮いてしまうのかを解説していきます。
衿元が浮く原因は胸元以外にある
暑さ対策や衿の汚れ防止のためには、衿がやや浮いている方が良いこともあります。衿がぎゅっと入っていると暑いですし、衿がすぐ汚れやすいのです。
もし、意識して衿元をピタッと着付けたり、浮かして着付けたりができるのであれば、衿元が浮くことがお悩みになっていないと思います。
衿元が浮いている場合、実際には上半身全体が緩んでしまっている状態です。衣紋が被ってきたり、布が前に入ってきたり、それだけでも緩んでしまいます。
着付けるたびに衿元が着くずれる場合、改善するには補整が大事なポイントです。
衿元の着くずれが起こる場合は胸元に補整を入れる、と聞いたことがあるかもしれません。
実は、衿元が浮く原因は胸元ではなく、お腹や腰肉、帯下に来る部分にあります。
たとえば、帯下のお腹まわりがキレイに整っていても、立ち座りした時など、お腹が少しぽこんと出たりしませんか。その下腹によって帯が押し上げられていると思います。
これは中年以降になって、体型が変化してきたときに気づいたことでした。なぜか帯が浮いてきて、気づくたびに帯を引き下げていたからです。以前は着くずれなかったのに、補整が悪いのか、何が悪いのかを考えたところ、お腹のお肉に押されて帯が動くことに思い当たりました。
同じような現象を大きい帯板をつけた場合に、経験された方もいらっしゃるかもしれません。
大きな帯板をつけると、帯板が骨盤にぶつかって痛かったり、帯板ごとお肉にぶつかって帯が上に上がってしまうことがあります。腰肉や、お腹のお肉に傾斜があるために、帯が上に滑りあがってしまうのです。
すると、生地が押されて、上半身全部が動いてしまいます。そして、上半身が緩んで衿元が浮いてしまいます。
つまり衿元を浮かす原因は、立ち座りによって腰まわりやお腹まわりのお肉が帯を動かすことで上半身全体がゆるみ、衿がゆるむと考えています。
衿元が浮かないようにする一番の方法は?
胸元の谷が埋まっておらず、衿が滑って入っていく場合や、きものの中に襦袢が潜ってしまい、衿のV字の重なりが狭くなって着くずれる場合、身幅が足りず生地が引っ張られる場合など、衿元の着くずれに対して胸元の補整が必要な場合もあります。
しかし、衿元が着くずれる一番の原因は、お腹まわりだと考えます。思い当たる方はぜひ、ご自身の体でも検証してみてください。
体はすべて滑り台なので、その滑り台に捕まらない着付けをしていくことが、衿元プカプカをなくす一番効果的な方法ではないかと思います。
そのためには、腰まわりやお腹まわりを裾よけや補整肌着などでキュッと締めて、お腹の緩みを引き締めるようにします。できるだけ傾斜を無くすようにすると帯が上に滑るのを防げると思います。
ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
女将の実体験も交えた解説はこちらの動画をご覧ください。
【きものの衿元の一番のお悩みを解説!衿元崩れる原因はココ⁉】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
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