アイロンで簡単、キレイに!帯のシワの取り方
帯のシワを自宅でも取りたいと思ったことありませんか。
たとえば、
次のシーズンまで使わない夏帯を片づけようと思ったら、シワが気になった。
飾り結びをして、お太鼓部分にシワができてしまった。
袋帯の手先とたれ先を間違ってしまい、シワがついてしまった。
など。
今回は、自宅で帯にアイロンがけをする方法をご紹介します。
時間と手間をかけてシワが取れると楽しい
きものや帯など、絹にアイロンがけをするやり方として、低温で当て布をしてアイロンがけする方法を、よく聞きます。
実はこの方法、シワを取るためには、いっさい効果がありません。
たかはし調べでは、このやり方でシワ取りの効果がありましたという人に出会ったこともありませんし、実際にやってみてもシワが取れたことがありません。
やはり、せっかく時間をかけて、手間をかけて、何の効果も得られないのはつまらないです。時間と手間をかけて、効果があればこそ楽しいですよね。
アイロンがけについて、仕上げ加工や、ガード加工、洗い張りを専門で行う、きものの整理屋さんの何人かにリサーチをしたところ、アイロンの中温までだったら直でアイロンがけしても、テリが出ないといわれています。
ただ、はじめて自宅でアイロンがけとなったら、怖いと思う方もいらっしゃると思います。
まずは当て布なしの低温からやってみましょう。
シワ取り前の準備・アイロン台とアイロン底
アイロンがけする前の準備として重要なのは、アイロン台とアイロン底がキレイになっていることです。
アイロン台が汚れていると、その汚れが生地に移ってしまう場合があります。もしアイロン台が汚れていたら、アイロン台の上に白い手ぬぐいをかけて使い始めるといいと思います。
同じように、アイロンの底に黒ずみやカルキの粉など、汚れが付いていると、その汚れが生地についてしまいます。
たとえば、スチームの吹き出し口がカルキで埋まっていると、そのカルキが生地についてしまったりします。もし拭いても取れない場合は、アイロンの買い替えがおすすめです。
アイロン底の汚れを取るコツとしては、アイロンを熱くしておいて、濡れた雑巾でジュッといわせながら拭くと、アイロン底の掃除ができます。熱を加えているので、かなりキレイに取れます。たぶん相当ひどい汚れでない限りは、濡れた雑巾で拭くだけで大丈夫だと思います。
さらに重曹やセスキ炭酸ソーダなどを絞った雑巾でやれば、もっとキレイに取れるかもしれません。詳しい内容はネット検索などで調べてください。
アイロンの底とアイロン台はキレイな状態でアイロンがけしましょう。
当て布なしの「絹」モードでのアイロンがけ
芯入れ仕立ての袋帯の手の部分を広げています。帯を結んだとき、背中で三角に折り上げたあたりのシワがついています。
たいがい、裏も表も同じようにシワがついていますが、裏側からアイロンがけします。
このアイロンだと「絹」モード(ティファールアイロンでは約120℃)に設定していますが、経験上での温度は大体130℃ぐらいだと思っています。
帯に直にアイロンをかけてみます。紗の生地でとくに帯は一番シワが伸びにくい感じがします。重さはあまりかけずにアイロンの重さぐらいでかけています。
ちょっとシワが軽くなっています。
手前側のみアイロンをかけました。かけてない側に比べると、熱をかけただけでもだいぶシワが取れています。
水を使わずにシワが取れるのであれば、直にアイロンがけで済ませます。市販されているアイロンの「絹」モードは、直接アイロンがけしても大丈夫な温度に設定されています。
もし直接、アイロンをかけるのが怖い場合には、当て布をすることになりますが、本来はそれにともなって温度を上げないとシワ取りの効果は出ないと思います。
二つ折りのタオルを重ねてアイロンの蒸気がけ
当て布なしでのアイロンがけで、シワが少し残っているので、当て布をした上からアイロンの蒸気をあてます。
あてる蒸気の粒子が大きいとシミになりやすいです。そして、一番怖いのはボテ漏れ(アイロンから水滴がポタッと落ちること)です。
生地に水滴が落ちてしまうと確実にシミになります。
アイロンの中がキレイであっても水のシミがつきますし、もし中に汚れなどが溜まっていると、水と一緒に汚れも出てくるので、なおさら怖いです。
万が一、ボテ漏れしても、タオル二枚だと水分が生地にいくのを防げます。手ぬぐいだと薄いので直接水分が帯までいくので怖いですね。もしボテ漏れしたら、帯の上のタオルをすぐに取ってください。
帯の上に二つ折りのタオルを乗せて、その上からアイロンを浮かせた状態で蒸気をかけます。
火傷しないように気をつけながら、実際に触って帯に湿気が伝わっているかを確認します。
湿気が伝わっただけで繊維が膨らんでいる状態になります。シワで折れている繊維がふーって膨らんできていると思ってください。それによってシワが軽減されます。
蒸気を切って「絹」モードにし、直にアイロンをかけます。ほとんどアイロンの重みだけで、絹の繊維を潰さないようにアイロンをかけます。
キレイにシワが取れました。
帯の表側も、かけていない側に比べて相当シワが軽減されています。
裏側と同じように、表側も二つ折りのタオルを重ねてその上からアイロンを浮かせて蒸気をかけます。
使用しているティファールアイロンは、スタンドに水を貯めて、アイロン本体には水が貯まっていないので、ボテ漏れしにくいと思います。
それでもボテ漏れすることがあるので、二つ折りのタオルを重ねれば安心です。
タオルの上で蒸気をかけて、湿度と温度をタオルと帯の間に手を入れて確認して、温度と湿度がきちんとかかっているという状態にしてあげるといいです。
これだけでほぼシワが取れた感じになります。その後、蒸気を出さずにアイロンで乾かすぐらいの感じで、少し力を入れてかけます。
きものに比べて帯は生地がしっかり厚いし、織りも密になっていることもあって、シワが伸びにくいです。その点では、完全にスパッとキレイにならなくても、ボコボコしたところがなくなればいいと思います。
たとえば、飾り結びをした袋帯に、お太鼓部分にシワができてしまったという場合は、丁寧にシワを取る必要があるかもしれません。
そのときは、業者に出して工業用のプレス機でアイロンをかけてもらった方がキレイに仕上がります。帯とシワの状態に応じて使い分けましょう。
アイロンで蒸気をかけるとき、一番気をつけることはボテ漏れです。必ず二つ折りのタオルをかけて蒸気をかけるようにしましょう。
二つ折りのタオル+濡れたおしぼりにアイロンがけ
きもののアイロンがけと同じように、乾いた二つ折りのタオルの上に、濡れたおしぼりを重ねて、蒸気を出さずアイロンの熱だけをかけるのが一番安心な方法だと思います。
当て布しないアイロンがけよりもちょっと手間がかかるのですが、きもののアイロンがけをご覧になってください。
▼きもののアイロンがけの方法はこちらをご覧ください。
https://k-takahasi.com/blog/2023/08/11498/
アイロンの「絹」モードであれば直にかけても焦げやテリを作ったことは一度も経験ないですし、専門である整理屋さんも大丈夫だとは言っていましたが、あくまでもご自身の判断でやってみてください。
女将によるアイロンがけで帯のシワ取りをする動画はこちらをご覧ください。
【自分で簡単!アイロンで綺麗に!帯のシワ、取ります】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…
涼やかさとラクチンと美しさを叶える前結び用帯板
夏の帯まわり、少しでも暑さを感じずにいられたら…と思ったことはありませんか。
帯を透け感や通気性のある素材を選んだとしても、帯板で体感の暑さは変わらないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
帯板は本当にたくさんの種類がありますし、いろいろ使い勝手も違って、それぞれお好みもあると思います。そんな中で、「べっぴん帯板…
正絹の帯揚げを手軽に自宅で洗濯する方法
気になる汚れが付いてしまったり、しわくちゃになった帯揚げ、どのようにお手入れしていますか?
※女将のInstagramより
こちらの投稿はご覧になられたでしょうか。洗濯した後の帯揚げを、ロフトの手すりに干したのを撮影し、SNSに写真を投稿しました。
するとコメント欄に「盛大に洗っていますね」、「洗ってもいいんですか?」など、ご意見をいただきました。
今回は、帯揚げの洗い方の注意点についてお伝えしていきます。
洗濯桶で絹の帯揚げを洗う場合の順番とは
SNSで投稿した写真にある帯揚げのうち6枚の帯揚げを並べています。
これらの帯揚げを洗濯桶で洗う場合、どの順番で洗っていくのかを順番に並べたものです。
まず、薄い色から洗いますが、ピンクの帯揚げでも初めて洗うときは、ピンクでも色が少し泣くと思っています。色が泣くというのは、染料の色が落ちることをいいます。
色移りするほどではありませんが、色が出てきたりするので、黄色味のクリームなど、色が淡いものから先に洗います。色が混ざって濁ってもいいと思える色の帯揚げであれば後に洗っても構いません。
たとえば、画像の真ん中にある帯揚げのような色の場合、何の色が移ってもあまり気にならないと思います。
洗濯に使う水がきれいなうちは淡い色の帯揚げを押し洗いして、次にもう少し色のある帯揚げを入れて、最後に色が濃い目の帯揚げを入れて洗います。
とくに藍色や黒っぽい色は別物として、最後に洗います。墨汁を水に入れたように水が黒くなるからです。そして、その後は何も洗いません。
洗うと水に染料が出ている分、洗う前と比べると多少色が抜けているはずですが、単体で見る分には何回洗っても分からないと思います。ただ、ほかの帯揚げへの色移りを防ぐために注意するといいでしょう。
絹の帯揚げを洗うときの洗剤は何を使う?
帯揚げを洗う際、洗剤は何を使えばいいのでしょうか。
市販されている洗剤で構わないのですが、気をつけた方がいいことがあります。それは、洗剤に漂白剤や蛍光剤が入っていないかを確認することです。漂白剤や蛍光剤が入っている洗剤は、色が変わってしまうことがあるため、避けた方がいいです。
絹やウールを洗ってもいいとされている洗剤、たとえば、おしゃれ着洗い用に市販されている洗剤を使うと安心だと思います。
おしゃれ着洗い用の洗剤の場合、ピリングという生地の繊維が絡むことで縮む現象が起きないように、リンス効果を発揮するものが入っています。洗った後に生地が硬くなる心配がありません。
女将が愛用している「海へ」という洗剤
この洗剤は合成洗剤ですが、すべての原料が自然環境に存在する微生物によって分解されるので、海に戻るというものです。洗った後、すすぎ不要なので水の節約にもなるため、とてもいいです。
ただ、ピリング防止剤が入っていないので、最初の洗い上がりは質感としてはちょっと硬く感じると思います。生地の質が落ちているわけではありませんし、細かく毛羽だった繊維が抜ければ絹の柔らかい質感は戻るので、気にしなければ気にしなくても大丈夫です。
触った感じがゴワゴワしたような感じになるので、気になる場合はヘアコンディショナーを仕上げに使うといいです。
指先にちょっと取って、40℃くらいのお湯を洗面器に入れて完全に溶かして、帯揚げをちょっと入れてさっと1回水ですすいでください。すると柔らかい質感になります。
洗った後は、帯揚げが伸びない程度にギュッと絞り、洗濯機に重ならないように入れて6分間脱水をします。脱水するとシワになるものもありますが、アイロンをかけるので大丈夫です。
帯揚げの幅や長さが縮んでも、使い勝手が変わらない場合は、問題ないと思います。しかし、シワシワの帯揚げは、使う時にテンションが下がってしまいませんか。
帯揚げのシワを取るためと、幅が狭すぎると使いにくさを感じることもあるので、アイロンで幅出しを行います。
帯揚げのアイロンがけの方法
帯揚げを洗った後、脱水6分をかけているので、水でダラダラになることはありません。しかしまだ濡れているので、触るとヒヤッとして冷たいです。この状態の帯揚げにアイロンがけをしていきます。
洗う前は、A4用紙の縦ぐらいの幅でしたが、脱水後は1.5cmぐらい縮んでいます。シボが立っている織り構造のため、縦にはあまり縮むことは少ないです。絞りの帯揚げだとすごく縮むこともありますし、縮緬地の場合には半分ぐらいに縮むこともあります。
1.5cm程度の縮みであれば、幅を戻さなくても使い勝手に影響はないと思います。
たとえば、ぴったりふたつに折って使っていた帯揚げがふたつに折って使えなくて気持ち悪いということであれば、幅を戻した方がいいですし、ちょっとずらして使えば一緒と思うのであれば、そのままの幅でもいいですよね。
また、薄い生地の帯揚げの場合、縮むことによって密度が増してペラペラ感が薄れるので、縮めた方がいい場合もあります。洗うたびに縮み続けるわけではなく、2~3回洗うとそれ以上は縮みません。
洗った後の帯揚げを伸ばした方がいいか、伸ばさなくてもいいのかは長さも含めて考えるといいと思います。もともとの長さが余計だなと思ったら、縮んだままで伸ばさないようにします。絞りの帯揚げを洗って縮んだまま使った方が楽ということもあります。
自分の帯揚げの使い方に合わせてアイロンがけをされるといいと思いますが、アイロンで帯揚げを乾かすと非常に気持ちがいいので、ぜひ、やってみてください。
アイロンがけする前に、アイロンの底とアイロン台をキレイにすることをおすすめします。アイロンの底が汚れたままアイロンがけしてしまうと、絹にその汚れが移ってしまうからです。
まず、濡れた厚地のタオルを用意し、できるだけ手から離して持ちます。そして、あらかじめ中温にしたアイロンの底をタオルで拭きます。
濡れたタオルに汚れが移らないぐらいにしっかりと取ってしまえば、絹に汚れがつく心配はありません。もし、アイロンの底汚れが取れにくい場合、洗剤を使うと取れると思います。
アイロン台も大きいものが楽ですが、汚れがある場合には手ぬぐいやさらしを引いてから、アイロンがけをします。
アイロンの底とアイロン台が準備できたら、帯揚げの裏側からアイロンをかけていきましょう。
アイロンの温度は中温でかけます。
1回縦にアイロンをかけた後、帯揚げの幅を上下にアイロンがけをします。幅が一定にはなりませんが気にせずかけます。
アイロンの先端で帯揚げの端に山ができるのが気になる場合は、アイロンの横腹を押し出すようにかけていくといいです。
最後に端を軽く引っ張りながら、真っ直ぐになるようにアイロンをかけていきます。
帯揚げが濡れているので途中で変なシワがついてもすぐに取ることができます。
帯揚げの裏側半分をかけ終わったら、その上に帯揚げの半分をのせて、ふたつ折りにします。
アイロンで伸ばした裏側と比べると、洗濯後にどのぐらい縮んでいたのかがよくわかると思います。
裏側と同じようにアイロンがけをしていくと、幅が少しずつ出てきますし、乾きも半分乾いていきます。帯揚げの片側を押さえてアイロンで幅を伸ばしていきます。
帯揚げが濡れている間は、テリがきません。テリは生地が火傷したような状態なので、濡れている限り、火傷は起きません。
帯揚げの幅がだいたい揃ったら、ふたつに折って山になっていた部分にアイロンをかけて伸ばして幅を揃えていきます。
全体がきれいになってきても、乾きが足りないとシワが戻ったりするため、さらにアイロンをかけて乾かし、半乾きの状態にします。半乾きの状態で干すときれいに仕上がります。
アイロン台に濡れたものを置いたので、アイロン台にアイロンをかけて湿気を飛ばします。
もし、帯揚げが濡れたままアイロンをかけるのが嫌だという場合は、上手に半乾きまで乾かした後にアイロンをかけるといいです。その方がアイロンがけが楽です。
ただ、帯揚げを半乾きにするのが難しいです。干している帯揚げを、だいたい15分置きに触ってこまめに確認する必要があります。帯揚げの生地の種類によっては、早いものだと10分でも乾いてしまったりすることもあります。完全に乾いてしまうとシワが取れにくくなりますし、面倒くさくなってしまうと思います。
半乾きをきちんと適切に見定められるのであればいいのですが、脱水6分かけて直接アイロンをかける方が幅を伸ばすのも楽です。アイロンで幅を伸ばさなくてもいい帯揚げの場合、半乾きにしてからアイロンをかけるというのもありだと思います。
このようにして自宅で洗濯する場合、色落ちや色移りしても構わない帯揚げだけにしてください。たとえば、輪出しのように白地に赤い花が染めてあるものは必ず色移りします。また、色の濃いものや激しいものは、色移りしても構わないという覚悟がない場合は、水洗いはやめた方がいいです。
洗っても問題ないなと思う帯揚げがありましたら、ご自宅での洗濯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
女将による詳しい説明は、こちらの動画をご覧ください。
【初心者さん必見!女将的、帯揚げを一番楽に洗う方法!帯揚げを自宅で洗おう!】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…
涼しげすっきりキレイにゆかたを着るコツ
「きものを着られなくても、ゆかたぐらいは自分で着られます」と、聞くことがあります。
実は、ゆかたくらい難しいものはありません。ゆかたをすっきりキレイに着るには、コツがいります。なぜかというと、体のラインがあらわになりますし、ごまかしが効かないからです。
ゆかたでも衿元に衿を入れたらシャキーンとしますが、ゆかた一枚だとクニャクニャしてしまいます。綿素材だとシワがないようにアイロンをかけていないとかっこ悪いです。結構、いろいろ難しいこともありますよね。
今回は、ゆかたをキレイに着るコツ、すっきり涼しげに見せるコツをお伝えしたいと思います。
ゆかたの衿元の理想はふんわりシャキッと
ゆかただと衿がクタクタすることがありませんか。
たかはしでは、メッシュのやわらかい衿芯を入れています。
この衿芯以外でもよいのですが、薄くて短くてやわらかい衿芯がゆかたには向いていると思います。
ゆかたの衿元はふんわりだけどシャキッとする感じが理想かなと思っています。
実は、お手持ちのゆかたでも衿芯を通すことができます。
たかはしでは、下前の内側を必ず開けて仕立ててもらっています。そのため、たかはしのお客様はかけ衿の内側から衿芯を入れられることをわかっています。
もし、開いていない場合には、縫い目を解きます。
既製品のゆかただと、折り返している場合があるので、内側に切り込みを入れて割きます。
たとえば、小ばさみなどでチョチョチョチョと切っていくか、カッターでブスブス切って開けるかします。
内側で解ける分には全然問題ありません。生地をつまんでいるだけのかけ衿がいっぱい出回っているので、下前の内側に衿芯を入れる穴を開けるとよいです。
下前の内側から衿芯を入れていきます。
なぜかというと、衿芯の長さが余る場合、衿芯が浴衣から飛び出て見えてしまっても、上前で見えなくなるからです。
衿は襦袢よりゆるいので簡単に入っていきます。かけ衿の突き当りまで衿を入れていきます。
衿芯を入れることで衿がシャキッとしますし、クタクタしているよりも、すっきり見えます。
ゆかたに衿芯を入れることをおすすめします。
裾をちょっと短めに着るのが涼しげ
ゆかたの下を合わせるときは、特にコツはありませんがひとつだけポイントがあります。
ゆかたをちょっと短めに着ると涼しいです。
特に素足の場合は短い方がいいです。足元が涼やかに見えますし、実際涼しいです。
きものの場合、裾が床にすれすれぐらいで着ますが、ゆかたの場合は床から裾を1.5~2cmくらい浮かして着ると涼しげです。足元が見えると風も入りやすくて涼しいので、下は短めで着るとよいと思います。
生地を体から離して覆うようにする
上身ごろを合わせる場合、綿や綿麻など生地の摩擦力が大きいので、衿を合わせるために生地を引っ張ってくると、生地の歪みが合わせた中にすごく溜まります。
そのため、いったん後ろトントン前トントンすることで生地目を整えます。
衿元を合わせるとき、下前の生地を引きずらずに、いったん体から離してから胸を覆うようにします。上前の生地も同じ。
生地の摩擦力が高い綿や綿麻のきものの場合、そのまま引きずるのではなく、体からいったん離して胸を覆うようにします。
また、生地目を考えて生地を下に引いたり、おはしょりを整えてピタッと折ることを心がけるとすっきりと着られると思います。
ご紹介したコツをおさえておくと、摩擦力でイラッとすることもなく、相当すっきりキレイに着られると思いますので、ぜひ、やってみてください。
女将による解説はこちらの動画をご覧ください。
【コレを知ってれば、涼し気スッキリ着姿!ゆかたをスッキリ着るコツ】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…
初心者でもできる、きもののたたみシワを防ぐ簡単なコツ
きものをたんすから出したら、嫌なところにたたみシワが…。ということを、経験されたことがあるのではないでしょうか。
そんなたたみシワを防ぐ、基本のきもののたたみ方をお伝えします。
きものを着る前の日に準備するのではなく、当日の朝にきものを出すという方には、特におすすめのテクニックです。きものを出した時、「シワにアイロンかけなきゃ」となるのは、本当に嫌ですよね。
今回ご紹介する方法は、後でシワにならないように注意して、丁寧にたたむようにしているので、きものが何枚か重なっていても、極力シワができにくいたたみ方です。ぜひ、ご活用いただければ幸いです。
きものを出したときアイロンがけ不要にするために
画像はきものをたたんでいる時の目線に近い状態で、たたみ方をご説明します。
きもの初心者さんにもすごくいいと思いますが、ベテランさんもご自身のきもので思い当たることがあったら、ぜひ一緒にやってみてください。
基本的に、内側にゆるみがあるきものが着やすいきものです。
内側の裾あたりの中に芯が入っているので段差がでてしまいます。どうしてもピタッと平らな状態にはならないこともあります。それでも、できるだけシワにならないように、まず右側の脇線で折ります。
折った後、裾側を押さえて、裾側から肩に向かって手で布を寄せるようになでつけます。
なでつけるのは、裾側から肩へ一方方向です。
その後、衽(おくみ)線で折り返します。
きものの場合、折り跡が付いているので、本来はそんなに難しいことはありません。そのまま同じ折り跡を折っていきましょう。
次に、衽と衽を合わせます。ここがひとつの肝です。
脇線で合わせるのではなく、衽を折ったら、衽と衽をこっつんと合わせて、ピタッときちんと合わせます。
右手で裾側に重みをかけて押さえながら、裾側から肩に向かって生地を寄せていきます。
裾にシワができると格好悪いので、右手でしっかりと押さえたまま、左手で生地を真ん中に寄せていきましょう。
脇線を手前に連れてきます。
背中心の折れがピタッと合わさるはずです。
同じように裾側を右手で押さえて、裾の方にたまっている生地を肩に向かって寄せていきます。
裾はなるべくきっちり合わせた状態で、肩に向かってくるくると折り込みます。
折り込んだ後、折り込んで丸めたものを右手側にクーッと引きます。丸まっているので中の生地は動きません。
次に衿、袖まわりをたたみます。まず、下側になる袖を入れますが、袖の肩の部分とたもとの先を持ち、キュッと引きます。
パンッと生地を張ります。
バサッと身ごろの下に入れます。
下に入った袖がよれていないことを確認しましょう。
次は衿を整えていきます。
衿先を右手で押さえて、左手でシワを伸ばしていきます。
衿の下にシワができやすいので、衿の下にスーッと手を入れて生地のたるみを伸ばします。
衽線で折れているので、右手で衿先を押さえて衿の折山を持ちキュッと上に引きます。
同じように、衿の折山を合わせて、二枚重ねた衿の折山を持ち、上にプンッと引きます。
上側になる袖を手前に持ってきますが、今はまだ生地だまりが残っています。この時点では、生地だまりがあっていいです。
背中心の折山も真っ直ぐに整えたら、生地だまりがある部分をたたいてならしていきます。たたくと生地が広がって、馴染んでいきます。
よく衿の部分を折るのが大変と言われます。
きちんと衿折がなっていない場合、たたみにくいです。
衿折がきちんとしているものは、もともとの折れ線と同じように整えていけば、衿の中もきちんと折れていきます。
衿が中に入っていると、背中の折れ線の角度が鋭角になってきますが、この角度はきものの生地や、仕立て屋さんによって違ってくると思います。
たとえば、衿がすべて同じように重なっていると背中の折れ線の角度が鋭角になります。
繰越から三角がでるような折り方をすると、背中の折れ線の角度が浅めになります。
生地によっては硬いものだとつりが出たりするので、その場合は角度が深い方が良い場合もあります。衿折の線が薄くても見極めて、背中心を持って引くようにすると衿が中に入ってきます。
衿を整えたら全体を触ってみて生地のボコボコがないようにならしていきます。
ならした後、左手を袖山側に置いて、布を衿先に向かって寄せていきます。
衿先あたりに生地溜まりができます。
衿先のあたりに右手を置いて、左手で裾側を持ちます。内側はまだブカブカしている状態です。
左手で丸めた裾を広げながら袖山側に重ね合わせます。ブカブカはまだ、内側にあります。
内側と外側では生地の厚みもある分、内側の生地が余るのは当然です。右手の折り返しに指を入れて、生地のたるみがないように左側の裾を一枚ずつ引っぱります。
一枚ずつ裾を引くと、裾の重なりがズレるのがわかると思います。地厚なものほど、ズレは大きくなります。裾をズラしておくことで折り返しの内側の線が一本で済みます。
裾線を合わせて折ってしまうと内側のたるみで折り返しの線が三本ぐらいシワがよります。折線が一本だと割と気になりませんし、シワくちゃにならなくて済みます。内側の生地の余りをしっかり引っ張るのが大事です。
今回ご紹介した方法は、できるだけアイロンがけしなくて済むたたみ方でもあります。
たたみ方の説明に使ったきものは、二年ぐらい着ていないきものです。上にきものを重ねていたので、生地の厚みによる段差がある部分にはシワが入りました。しかし、深いシワでなければ、簡単にアイロンで取ることができますので、やはりキレイにたたむことが大事だと思います。
たたんだきものを持ち運ぶときは?
きものを持ち運びするとき、たとう紙に入れたままたたむ方が多いのではないでしょうか。実はその方法だと、きものにもシワができるし、たとう紙もぐちゃぐちゃになります。
持ち運びするときのおすすめは、たとう紙の上にきものを乗せてたたむ方法です。
たとう紙の上にきものを乗せたら、たとえば、帯揚げや丸めたタオルなどを折り返す部分に置いてから、たとう紙ごときものを折ります。
もう一方も折って三つ折りにします。
この状態で風呂敷で包むときものもシワになりにくいし、たとう紙も傷つきにくいです。
少々のことではシワにならないので、たとえば、紙袋に入れて持つこともできます。持ち運びのときに、試してみてください。
女将流・擬音語たっぷりのきもののたたみ方の動画はこちらの動画をご覧ください。
【簡単なコツで、きもののイヤなたたみシワを防ぐ!初心者も知っておきたいマニアックなこと】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…
きものコーデの決め手!帯揚げの選び方
きもののコーディネートで、きものと帯が決まっても、帯揚げや半衿、帯締めなどの小物選びに迷ってしまうことはありませんか?
きもの姿をまとめる重要なアイテムのひとつ、帯揚げ選びのコツをお伝えします。
生地の良いものを選ぶのがポイント
帯揚げや半衿を選ぶとしたら、生地が良いものをおすすめします。
帯揚げも半衿もリーズナブルなものもありますが、どちらも生地が薄手のものは避けた方がよいです。
帯揚げは格好つけるのは結構、大変ですよね。とくに、テロテロしたペラペラ薄い綸子だとボリュームが出ないので、帯揚げの結び目が小さくなってしまいます。
半衿も安くて薄い生地だと厚みが出ないために、首もとが寂しげに見えてしまいます。
また、耐用性の面でも違ってきます。薄手の絹はすごく切れやすいです。経糸が左右に引っ張られて緯糸だけになることを身がひけると言いますが、衿もとで擦れるだけでも織りがあまかったり薄いものはすぐに身がひけてしまいます。その状態になると半衿を付けてもしっとりきませんよね。
帯締めに関しては、楽しめるのであれば、色だけで選んでも良いこともあります。
もちろん、組みの良いものの方が締まりが良い場合もありますし、どうも滑りやすいと感じる場合は、糸の問題もあるかもしれません。
ものすごく酷い帯締めはないと思いますし、もちろん質の良いものはよいです。リーズナブルなものでも掘り出し物があったり、意外と使いやすいものがあったりします。
帯揚げと半衿だけは品物で選んでいただきたいです。
日常きもので使い勝手の良い色を厳選
丹後ちりめんの織元、ワタマサさんの生地をたかはしオリジナルで染め出しした帯揚げを色選びの参考までに、ご紹介します。
画面の左手にある半衿は、帯揚げの生地と柄が同じで、白生地の状態のものです。生地の織りがすごく良いので、最初は半衿を付けるのが大変なくらい厚手です。同じ半衿を三度楽しむ方法もあるので、参考にしてみてください。
▼一枚の半衿を倍長く使える付け方の工夫
https://k-takahasi.com/blog/2024/02/12109/
今回、オリジナルで染め出した帯揚げは、意外と市場に出回っていない色味で、使い心地がよいと思っています。特に濃い色の帯揚げは、コーディネートのアクセントとして効果的な色味ですが、マットな質感に抑えています。
画像だと分かりにくいかもしれませんが、パッと目を惹くような青色です。
黒っぽいきものに合わせると、アクセントになると思いませんか。
濃い紫色の帯揚げも質感がマットですし、とても合わせやすいと思います。
こちらの色は、全体の調和を取ってくれるような色になっていると思います。
このグレーのような少しこっくりした色は、涼しくなり過ぎずに爽やかな印象になるような色味です。
白の帯揚げは、仏事にもよく使いますし、お茶会にもよく使います。お茶会だと白っぽい色の方が品よく見えます。ちょっと式典的な場だったり、改まった席での食事会などカジュアルダウンしきらない方がいい場では、帯揚げを白っぽくするだけで雰囲気が変わります。
白は色としては強く、なかでも真っ白なものは、お慶びごとの場での礼装用に向いています。白に少し色が入っている帯揚げなら、礼装感が強くなり過ぎずに敬意を表すことができると思います。
帯揚げのコーデが決まらないときの、色選びの参考になると嬉しいです。
女将の帯揚げのこだわりポイントはこちらの動画をご覧ください。
【きものコーデの決め手!帯揚げはこう決める!女将の帯揚げこだわりポイント】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
更新情報はInstagramで発信していく予定です。
Instagramを登録されている方は、是非「たかはしきもの工房…