呉服屋と悉皆屋の違い
2006年6月15日
昨日のブログに
「悉皆屋と呉服屋の違いって何?」というコメントをいただきましたので、僭越ではありますがその違いについてご説明いたします、オッホン(^o^)

呉服屋さんは完全なる小売業に属していて、流通してきた着物や帯を売る、というお仕事なのです。当然値踏みもするし生地や加工方法についてたくさんの着物関連知識は持ち合わせているわけです。
では悉皆屋、ですが、これは小売業にはあたりません。サービス業にあたります。主な仕事としては白生地から染め出すという「誂え」や、丸洗い、洗い張り、しみ抜きといったメンテナンス全般を扱うお仕事なのです。
もちろん自分で施術するのではなく職人とお客様の橋渡しということですが、この橋渡しをするのに多くの知識と経験が必要になってくるのです。たとえば同じ釜に入れても生地によって色の入りは違うわけですがそれがわからないとお見立ては出来ません。このシミは抜けるのか、抜けないのか、この生地の品質はどうか、痛んでいるかいないか、などなどさまざまな見立てが必要になってきます。
呉服屋に悉皆は出来ない、と言った意味は、そういった知識や経験もさることながら、実は、呉服屋の商売を先に経験してしまうと悉皆のお仕事というのは途方もない労力をかけるわりには儲からない、つまり「おいしくないお仕事」なわけで、出来ないというよりはやりたくないお仕事ということになるのです。
そこを克服して、しっかりと悉皆をなさっている呉服屋さんももちろんありますが、その面倒をはしょるとお客様に迷惑がかかるというなんとも皮肉なことも……。
基本的に流通ルートも違うので関わる工場も違います。努力で切り開く方もいらっしゃいますから一口には言えませんが、元から先まで棲み分けが出来ている業界なのです。
ま、そう考えれば悉皆屋をメインに呉服も扱っているうちのようなお店が一番おいしいってことになるのでしょうか……(^-^)
※写真はイメージです