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令和4年8月

八月を迎えました。
八月と言えば盆月です、帰省する方も多いのではないでしょうか?
お墓参りしなくては!てことが自然と身に付いている方が多い日本人ですが、コロナのことや少子化のこともあり、その感覚も時代と共に大きく変化している気がします。私が旅立つ頃にはお墓なんてものも集約されるか、形式が変わるんだろうなぁと漠然と考えています。
ところで先月、十八年半暮らしを共にした愛猫「忍(にん)」が旅立ちました。身近なものを見送ったのは本当に久しぶりで少々堪えています。老衰で、春から食欲が落ち痩せ始め、それに伴う体力の低下でよろよろとした歩き方になった時にはどうしたものか、私には珍しくオロオロしてしまいました。
病院に連れていくことはもちろん考えましたが、こよなく家が好きで、さらにはとても臆病な子なので止めました。そのかわりに知人のアニマルコミュニケーターさんに忍の気持ちを三度にわたって聞いてもらいました。要約すると彼の言葉はこうでした。

苦しくないよ、これは順番だからね(生死のこと)
お母さんがしてくれることはなんでも嬉しい。でも心配はしてほしくないんだ。心配しないで、それより抱きしめて大好きだと言って。あと少しはまだ甘えさせてもらうよ。
大丈夫、もう少しは大丈夫だから安心して出張行って。
あ、母さんにつたえて、何かするときには深呼吸をしてねと。母さんは僕が止めても、ちっともいうこと聞かないんだもん。
ちょっと疲れた、あ、でも、まだもう少しね(出張から帰る二日前)

そして、出張から帰る私を待っていたように、帰宅から二時間後、静かに息を引き取りました。
うちには三匹の愛猫が居ましたが、彼には人格を感じていました。精神的な格が猫にもあるならば、きっと高いだろうと思っていたので、彼の達観した言葉はいちいち納得でした。
ペットロスの苦しみに少しでもお役に立ちたいと思い、二年前にペット用の棺(ノアと言います)と上質な繊維の装束(びゃくえと言います)を作りました。棺はベッドとして使用することを目的としていて総桐材の組み立て式です。居心地によい慣れ親しんだ住処で旅立てたら安心ではないかなと思ったからです。そして、上質な繊維とは絹と綿です。
初めて、それを使って見送りました。きちんと丁寧に、敬意を込めたお見送りに役立ててほしいと作りましたが、その思いはあながち間違ってはいないと実感しました。