シワ=糸の折れ。仕組みを知れば怖くない 着物にアイロンをかける方法
蒸気の力で糸をふくらませてシワをとる
いざ着ようと取り出したら着物や帯がシワになっていた‥‥なんてことはないでしょうか。また、着た後にも座りジワなどがついてしまったり、ということもあります。
でも着物にアイロンをかけるのってドキドキしますよね。正絹の着物はデリケート。直接アイロンをあててしまうのはもちろんNG。
でも低温で当て布をしてかけても、なんだかうまくシワもとれないし、かといってスチームやスプレーもできないし、どうしたらいいのと思ったことはありませんか?
まずはシワがとれる仕組みを理解してください。
アイロンでぐっと押してプレスをしてシワをのばすのではなく、「糸をふくらませて、シワをとる」という考え方で、アイロンをかけてほしいのです。
プレスでもシワはとれますが、そうすると生地の風合いを損ねてしまうことも。
だからプレスではなく、ふんわりと蒸気の力で元の状態に戻す、というイメージを持ってほしいのです。
そのためには、熱い蒸気を布にあてることが必要になります。蒸気が糸がふくらませて、元の形に戻すのです。
工場などのアイロンはスチームのタンクが離れているため、水がアイロンからたれたりすることはありませんが、家庭用のアイロンのスチーム機能では、水のボタ落ちで着物をシミにしてしまう可能性もあります。
そこで、スチーム機能を使わずに、湿らせたタオルとアイロンを使います。
タオル2枚を使ったアイロンのかけかた
用意するものは
・キレイに洗った白いタオル2枚(のりのきいてない洗いざらしがよい)
・アイロン
・アイロン台
タオルは組織が複雑で、蒸気をまんべんなくいきわたらせてくれますし、万一水がボタ落ちしてもうまく吸い取ってくれます。平織りの手ぬぐいやさらしではなく、必ずタオルを使ってください。
やり方は
1)着物のシワをとりたい部分をアイロン台にのせる
2)乾いたタオルを二重にしてシワのうえにあてる
3)そのタオルの上に濡らして固くしぼったタオルを置く
4)高温のアイロンを濡れたタオルの上で軽くすべらせる。押し当てたりしないで、蒸気が着物のシワにあたるようにする。このとき丸くすべらせて、きわをぼかすようにすると、跡がつきにくい。
5)着物に蒸気があたったら、そのまま少し蒸らす
6)濡れたタオルをはずし、その下の乾いたタオル(蒸気で湿っている)の上をアイロンの重みだけですっと乾かすようにすべらせる(中温でもよい)。
7)二重になっているタオルの1枚をはずし、下のタオルにも同じようにアイロンをかける。※蒸気でしめったタオルを乾かすイメージで。背縫いなどの縫い目にはアイロンをあてないよう注意。
8)タオルを外し、シワがとれた状態で乾かす
さて、いかがでしょうか? この技は帯にも使えます。
動画はこちらです。
着物のシワの取り方
着たままでもシワがとれちゃう!?
さてここからは、ズボラ女将のすごい裏技紹介をしちゃいます。それはなんと、「着物を着ちゃってからシワに気がついたから、着たままでシワをとっちゃう」という究極奥義。確かに、着てから襟元にシワがあって「あちゃー」っとなることもありますよね。
それをなんとかしてしまう、つまり着たままアイロンをかける!というスゴ技です(@@)
(真似するときは、くれぐれも動画の説明をよくよくお聞きになり、個人の責任でお願いします!)
衝撃映像(笑)ばかりに気をとられがちですが、もともとアイロンが嫌いだった女将が、悉皆の「筋消し」に向かい合って研究してたどり着いたアイロン理論をしっかり解説し、普通のアイロンのかけ方もちゃんとご説明した動画はこちらです。
ずぼら女将が教える…