太って見える着付けで再確認した紐の性質【きもの初心者必見】
たかはしに入社する何年も前から、たかはし製品を愛用していたきもの美人になりたい小野寺ペコ吉です。愛用していた、などというと、まるで着物を着慣れた人のようですが、なんのなんの。
反省はするが学習しない、という私の得意技で、何度、着物を着ようとも、今ひとつ着慣れた風情を醸し出せないまま年月ばかりが流れておりました。
それでもなんとか着物を着られているのは、やはり、かゆいところに手が届くたかはしの和装小物があったから。自社商品を誉めるのは手前みそではありますが、着付けのハードルをググッと下げてくれる相棒たちは、本当に手放せない存在なのです。
でも、なぜかうそつき衿が、ぶかぶかと浮いてしまう時があったり、腰回りがボコボコともたつきがちで、そもそものガッツリ体型が、輪をかけて相撲の関取が歩いているような着姿になることが多く、ずっと悩んでいました。
※ちなみに気仙沼弁では、大きくぶかぶかの状態をガフガフになる、と言います。
「帯がうまくできなくてぇ〜(>_<)」とか、「朝バタバタしていてぇ〜((+_+))」とか、言い訳にも疲れ果てました。
そもそもの着付けがまったくなっていないのもありますが、それにしても衿のガフガフと、腰回りのどっしり感をなんとかしたいな〜と、常々、思っていたのです。
女将が伝授!美しい着姿の土台とは?
先日、たかはしで小袋帯の結び方講習会があった時のこと。
帯結び以前に、会場にあらわれた私の着姿が気になった女将が、見るに見かねて「いーから、いったん着物を脱いでみて」と、相撲取りペコ吉を救わんと、名乗り出てくれました。
ごっつぁんです。
一番の問題点は、私自身が気仙沼の豊かな大地に育まれて、だいぶ肥大化したことです(/ω\)
「そんなことはわかってるから!」と、事もなげに女将にかたづけられつつ、着付けがなってない原因をひとつひとつ丁寧に教えてもらいました!
◎ペコ吉の着付け問題点 BEST4◎
- そもそも満点スリップをいい加減に着ている。
- さらに、うそつき衿のつけ方が違う。
- そのうえ、裾よけをしっかり引っ張れていない。
- とにかく、おはしょりをいい加減に処理している。
おぬし、それでもたかはしの社員なのかー!
なにひとつ、合っていないではないかー!
もはや、返す言葉も、お詫びの言葉も、なにも浮かびません。
骨の髄まで怠け者で(気仙沼弁では、かばねやむ、と言います)、いかなる時も、だいたいそうだったんじゃないか、という大まかな理解で物事を乗り越えようとする私の雑な性格が、関取着付けになった要因のようです。
もともと、たかはしのうそつき衿は、ズボラ女将が手抜きをするための便利なアイテムでしたが、ペコ吉のズボラさ加減は、商品開発時の想定の範囲を遥かに超えたものでした……。
ザ・スーパー・ズボラ社員 ペコ吉。
女将のように、ス〜ッと衣紋がぬけているきもの美人に憧れるあまり、衣紋のことしか考えられなかった私にとって、襦袢がわりの満点スリップは、着てりゃいい、という程度。ハリウッド女優さんがガウンのように着物を羽織る感じで、ファサ〜ッといい加減に体にひっかけて、適当な位置でシュッとしばる感じから着付けをスタートしていました。
そりゃグズグズになります。ごもっともです。
肌着は、建物でいうところの基礎部分。肌着の段階でほぼ、着姿が決まる、ということは、女将から何度も聞いていたことでした。
おのれペコ吉、聞いていたのに、なぜ実行せぬのじゃ〜!(# ゚Д゚)
それでも辛抱強く、何度でもポイントを説明してくれる女将の話は、実にシンプル。
自分自身の備忘録も含め、一番のポイントかなと感じた名言を書き留めておきます。
『まっすぐのものに、まっすぐのものはピタッとはまる。』
紐は細いところに滑る
裾よけやスリップといった肌着はもちろん、着物も帯も平面なものです。
それに引き換え、人間の体はお腹や腰、胸元など、でっぱったり、ひっこんだり、デコボコしていています。なので、肌着や補正などでなるべく凹凸をなくしてあげることで、着物はピタッと体に添い、シュッとした着姿になるわけです。
では、いかにして平面にするのか。
デコボコの整え方は十人十色。
立派な腹肉と腰肉を蓄えている私の場合は、自前の肉を使ってデコボコをならします。
腰肉をギュ〜ッと真ん中に寄せるように、ほぼ贅肉で両脇に流れがちな胸元も脇から中央にむかって寄せて上げてきものブラの中におさめる。
胸から腰にかけてのラインを、できるだけまっすぐになるように、平らになるように整えるイメージをもって、肌着を身につけ、補正する。
女将が着付けを教える際に、よく使う言葉に「理屈で考える」というフレーズがあります。
今回もまさにその通り。
太っちょを自負する私に限って、腰のくびれなんて無きに等しいと思っていました。
しかし、女将いわく
「どんな人でも、やっぱり腰は多少なりとも細くなっているの。そこに、まっすぐなものを巻いたら、当然、ずり上がって、細く見せたいところに布だまりができてしまうんだよ。」
わ、私にもくびれが!?( ;∀;) (感動するのは、そこじゃない)
たとえば、タマゴに輪ゴムをかけるとします。
細長くとがったほうを上にした状態で、上から輪ゴムをかけると、スルッと細いほうに(上に)抜けてしまいます。
つまり、この状況が私の腰まわりで発生していたわけです。
ギュッとしばったつもりの紐でも、細くなっているほうにずれてしまうのは、たしかに当然といえば当然。それが腰・腹部分であれば、上にズリッとずれれば、着物は裾に向かって広がってしまい、布だまりが腰まわりにモコモコして腹肉が倍増して見え、着姿は限りなく関取に近づいてしまうわけです。
女将、ごっつぁんです! そぅいうことかー! そうだったんだ!!
きもの美人への第一歩、平らにまっすぐに
茶筒のように、つるんと平らな胴回りをイメージしつつ、満点スリップの衿が半衿からのぞかないように、しっかり引いて、うそつき衿も仕上がりをイメージしながら、着付けの途中で何度でも引いてたるみを解消し、裾よけで腰肉をググッと真ん中に引き寄せる。
つるんとでこぼこのない状態が肌着の段階でできてしまえば、着物を着付ける時に、へんな引っ掛かりもなく、我ながらスムーズに進みました。
おはしょりの処理が上手にできていなかったのは、腰まわりがデコボコしたままだったことも原因かもしれません。するんとした状態であれば、布だまりがないように、ひとつひとつ手をいれながら、おはしょりの下前は上に引き上げてすっきり見せることも。落ち着いてできました!
すっきりしました〜。
紐は細いほうに逃げる。
そんな当たり前の理屈を、まさか着物の着付けで再確認するとは。
驚きとともに、奥深い着物の世界に、ますますハマりそうでワナワナしているペコ吉でありました。
最後に
美しい着姿の土台を作るための詳しい方法は、女将のこちらの動画をご覧ください。
【ポイント一つだけ!女将のひもの結び方】
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