令和2年9月

きものよきもの

なんでもそうなのでしょうけど、きものに関しては

「わかりにくい」
「どのように習得していいか悩む」

など、複雑なイメージが付きまといますよね。

それは、伝統文化だと言いつつも、時代とともに変化していることや、解釈の仕方によって理解が異なることが多いのも事実だからでしょう。
日常から離れていることも事実ですし、また、地方により慣習が違うなど、より複雑でくらくらするような違いもあります。

きもののハードルを感じるような書き出しになってしまいましたが、思うに、それは食と似ている気がするんです。

食材もものすごい種類があり、料理をおぼえようとするとどこから手を付けたらいいか、また教える側にもすごい差があり、極力簡単に教える人もいれば、隅々まで手を抜かず教える人もいます。
地方色も豊かで、全く理解できない食べ物だってありますよね。ケンミンショーを見ているとびっくりすることだらけです。

それでもみんな、そういうものだと受け入れてはいませんか?
きものの場合、すっとそうならないことが多いような気がしています。

何を言いたいのか、というと、つまり、白か黒を決めてほしい人が多い気がしてなりません。
そこには濃いグレーもあって薄いグレーもある。
白と黒の間以外にもたくさんの色もある。でも、はっきりしてよってことが多いために、無理やりはっきりした形で答えを出す本や先生が多く、また複雑になっているような…、底なし沼みたいです。笑

でも実際は違いますよね。

お料理と同じで経験を積み重ね、その辺のむずかしさを自分で克服していくところに楽しみや深みが出てくるのだと思うのです。

突然話は変わりますが、今までにない発想でワッフル織りの綿の居敷当てを発売しています。
どういうわけか今年に入って、結構売れています。
そんな中、お客様でもメーカーでも、和裁師さんでも時々、
「こんな居敷ではお尻が裂けても仕方ない」
と言われることがあります。

では聞きますが、居敷当てをきちんとあてれば、生地のスリップは防げると本気で思っているのでしょうか?
自分で検証してみたのでしょうか。
つまり、その料理、作ってみたのでしょうか?
お料理だって、自分で作って食べてみないと自信を持って美味しいとか美味しくないとか、本来は言えませんよね?

きもの業界に限らずですが、自分で試してもいないものを教わった通りにとか、聞いたままに口にする人のなんと多いことか。
もし、ワッフルの居敷当てから平織りの居敷当てに変えて、身が裂けなくなった人がいたら、それはもちろん謝りますし弁済だってします。
私は検証の結果、この居敷当てを安価で便利だと確信して、発売をしております。

この度、動画にもしました。
生地の良しあしを見分ける方法の一つにも役立ちますので、どうかご覧ください。