令和2年11月

きものよきもの

一年で一番大きい店舗催事「創業祭」が無事に終了いたしました。
店舗のほかに自宅スペースも使用し行う催事はこれだけ、全員一丸となってのイベントです。
ですから、この催事が成功するかコケるかは売り上げ如何より、社員の士気に関わる大事なことなのです。

今年の創業祭、結果的に言えば大成功でした。
コロナの影響がどう出るか案じていたのですが、つまりはみんなある意味、お出かけやお買い物がしたくてウズウズしていたとも言えるのではないでしょうか。
弊店はきものや帯だけでなく雑貨なども扱っているので、お店の方も賑わったみたいでスタッフ全員の心地良い疲れと安堵の顔を見ることが出来て、心から嬉しかったです。
本当に本当に本当に有り難い限りです。
 
震災の時に強く感じたことがあります。
しばらくの間、それがぐるぐると頭の中を巡っていた時期がありました。
それは「人はパンのみで生くるにあらず」という聖書の言葉です。
あの未曽有の時、ご飯だけはなんとか手に入りました。
日本って本当にいい国だと何度も何度も思いました。
でも、ひと月が過ぎ、ふた月目とだんだん被災地としての時間が重なっていくにつれて、みんなどんよりしてきたのです。
「…なんで私、こんな服を着ているんだろう…」
「私のお気に入りだった湯飲み茶わん、今頃どこを泳いでいるのかなぁ…」

意識するともなく、みんなそんなことをつぶやき始めました。
お腹は満たされていても心は満たされないのです。
日常的に自分の好きなもの、好きな時間に囲まれている暮しがどんなに有り難いものだったか、ベタな言葉ですが無くして初めて分かるものなんですね。

この度のコロナもまさにそれ、だったのだと思います。
神様は人が芯から気づくまで、このような試練をくださるのだと感じています。
感謝という言葉はよく使われるし、きっとどなたにも感謝の気持ちはあるのだと思います。
でも、その深さにはそれぞればらつきがあるのではないでしょうか。
自分の思いが本当に深いものか、検証するいい機会が苦難なのだと今回も確信しました。
心の奥底から感謝です、これを読んで下さっている皆様へも…