シワのないきれいな衣紋になる衿芯の選び方と入れ方
衿芯の選び方、入れ方
衿芯(カラー芯)にはいろんなタイプのものがありますね。
三河芯を縫いつけて使う方法もありますが、たかはしきもの工房のモットーは「きものをやさしく、たのしく、おもしろく」。
少しでも楽な方法を日々探しております!
なので半衿をつけたら、衿芯を入れるようにしているのですが、このときいくら半衿のえもんの内側のカーブのところを気をつけて縫っても、衿芯が沿っていなかったり、入れる方向が間違ったりしているとシワが入ってしまうことがあります。
半衿はお顔の近くで目立ちますし、衣紋の後ろの内側も、結構人に見られているもの。
シワシワ、ぐだぐだよりは、ぴしっとしていたら美人度もアップします!
今回は、そんな半衿がシワにならないような衿芯の選び方、入れ方、そしてシワになってしまったときの応急処置、裏技をご紹介します。
衿芯は幅広タイプを選ぶ
ます衿芯の選び方ですが、付けた半衿のえもんの部分の幅になるべくぴったりの幅のものを選ぶのがポイント。
たかはしではよく「幅広衿芯」をおすすめしていますが、半衿の幅ぴったりで中で衿芯が泳がなければ、シワもなくなります。
衿芯の入れ方と入れにくいとき
次に衿芯の入れ方。
襦袢の内側の半衿に入れていきます。
ポイントは、衿が縦にまっすぐになるようにして差し込んでいくこと。
こうすると横にするよりスムーズに入って行きます。
このとき、幅広の衿芯を選ぶと、途中のえもんの部分でぴったりすぎてつっかえてしまうことがあります。
半衿の生地もピンと張って縫いつけてあるため、このようなことが起こります。
ありますよね! 急いでいるのに! 衿芯が通らない(キーーー!)というとき。
こうなったら、詰まったところの手前で衿芯をたわませます。
そのまま半衿の布を衿芯をすべらせて送っていきます。
一番きついカーブのところを抜けるとスムーズに通って行くようになります。
衿芯がやわらかすぎて、たわませてもふにゃっとなって布がすべらない場合は、送った衿芯を抑えて、半衿の先のほうをひっぱって進めていきます。
また、それも難しい場合は、半衿から衿芯を差し込んだ入り口の部分で少したわむくらいに衿芯を入れ、半衿をしごいて布を送り、衿芯を入れて行く方法もあります。
衿芯を入れるコツ
動画はこちらになります。(動画では当社のうそつき衿を使っていますが、襦袢でも同じやり方で大丈夫です)
応急処置!半衿のたるみを取る裏技
衿芯を入れてもなんだか、半衿がゆるゆるたるたる、ぶかぶかな感じになってしまった時‥‥。
それは半衿の付け方に問題があります。
でも! 付け直すのは大変。そんな時の対処法をご紹介します。
片方の半衿の、衿芯の端のすぐ下を安全ピンで留めます(縫い留めてもいいです)。
そうしたら、衿芯を押すようにしてしごいて、生地をピンと張ります。
膝に衣紋の部分をあてて衿芯を押し、手前に半衿をぐぐっと引っ張るとよく引けます。
ひっぱったまま、さきほど安全ピンでとめた側と反対側の同じ部分を安全ピンで留めます。
こうすると生地がぴーんと張ってきれいになりますよ。
また、衣紋の部分のシワが気になるときは、衿芯の幅と半衿の幅があっていなくて、半衿の布が余っているのも原因。
余っている部分を抑えて、衿芯の幅のところで12、3センチ縫い留めてしまえばピン!と張ります。
このとき縫い目は小さめに。目立たないように留めます。
衿芯を縫ってしまわないように気をつけてください。
これで半衿を付け直すよりもはるかに楽に衿の生地をピシっとさせることができますよ。
衿のたるみの直し方
動画はこちらです。
いかがでしたでしょうか。裏技は、半衿がうまくつけられなかった〜なんてとき、本当にお役立ちですのでそんな時にはぜひお試しください。
これからも、ちょっとしたお役立ち情報をお伝えしていきますので、お楽しみに!
たかはしきもの工房女将、髙橋和江の新刊でました!
しきたりきものと日常きものをわけて考えれば、きもの生活がぐんと楽になります!
きものの不安をスッキリ解決!…
きものの迷子を防ぐ先人の知恵「渋札」とは?【きもの初心者必見】
こんにちは。たかはし新人&きもの初心者の佐藤めぐみです。
既にご存じの方はもちろん、こちらの新人ブログ記事をご覧になった方なら、着物にはご自宅で洗える着物もあることをご存じかと思います。
【きもの初心者必見】自分で洗えるきものもある?!
しかし、ご自宅では洗えない着物は、悉皆屋をはじめとしたプロにお願いしますよね。
ちょっとだけ想像してみてください。
もしもプロにお願いしたあなたの着物が迷子になってしまったら・・・。
「大切な着物だからこそお願いしたのに(泣)」と、めちゃくちゃ困りますよね。
そんな着物の迷子を防ぐため、先人の知恵により古くから使われている必須のアイテム(道具)!
今回の新人ブログは「渋札(シブフダ)」についてお伝えしてまいります。
茶色いこより「渋札」とは?
ある日のたかはしにて、店長が茶色の紙で「こより」を何枚も作っていたのです。
※上が茶色い紙をよった後のもの、下がよる前のもの
私にとっての「こより」は、鼻をツンツンしてくしゃみを出すティッシュ製のもの(;'∀')
これまで見たことがなく、何に使うのか気になったので教えてもらいました。
茶色い「こより」のお名前は「渋札」。
教えていただいた内容を、次にまとめました。
素材
和紙に柿渋をひいた渋紙
形
細長の三角形(市販品に複数種のサイズあり)
作り方
三角形の細く尖っている部分をよって細い「こより」状にします
用途
(悉皆業での場合)
お客様からお預かりした着物1枚1枚の表地、八掛、胴裏などに渋札をつけ、着物をほどいた場合でも生地が迷子にならないようにします。
渋札にはお客様のお名前の他に、伝票番号や染色や洗濯などの処理法を記載し、加工指示書の役割もあります。
この「渋札」は悉皆業には必須のアイテムの一つとのことですが、「そもそも悉皆業とは?」どんな仕事をする職業なのか、あらためてご紹介していきます。
たかはしのはじまりでもある悉皆業とは?
悉皆には、「すべて、残らず」という意味があるように、着物に関するあらゆる相談を受けてくれるところが悉皆業です。
「”しっかい”は、”やっかい”」という言葉があるそうで、さまざまな問題に的確に対処しなければなりません。
お店により対応範囲に違いがありますし、仕事の一部としては、
…
楽な着付けで衿浮きが直せる。日常きもののおはしょり術
「日常きもの」で優先すべきこと
着付けって、最初は習った通りにいつも同じやりかたをしてしまいますが、実は正解はひとつではないんです。普段着の「日常きもの」と礼装などの「しきたりきもの」で違うもの。
自分がそのときなにを優先するか、で変わるものなのです。
ほぼ毎日きもので過ごす女将の普段の着付けは、日常きものですから、礼装や撮影とは違ってキレイさを最優先するのではなく
楽である
早く着られる
1日中着ていても着崩れたように見えない、手直しできる
というようなことを優先している着付けです。
一日着ていると一番気になるのが衿元の崩れではないでしょうか。動いているし、手を伸ばしたり立ったり座ったりしているとどうしても衿元は動いてしまいます。動かないために紐や伊達締めで高い位置でぎゅうぎゅう締め付けておいては、楽に過ごせませんよね。
動いても、直せる着方をしておくのが実は重要なんです。
いわゆる「衿浮き」を直すために、大きなポイントになるものは「おはしょり」の処理なのです。今回はその2つのポイントについてご紹介します。
おはしょりが長い場合
おはしょりが長くてもう少し短くしたいという時や、ナナメになっているからと持ち上げて紐をかけるやり方は、仕上がりが大変きれいです。ですが、これをしてしまうと、「おはしょりを引いて衿元のゆるみを直す」ということができなくなります。なので
1.腰紐を2つに分けて、位置を高くすることでおはしょりを短くする(このとき左側の布を紐の間にひき入れると、おはしょりもまっすぐになる)
2.腰紐より高い位置に少し広い幅の紐、もしくはゴムベルトなどをして長さを調整する
逆におはしょりが短い場合は、なるべく下のほうに腰紐を結ぶか、着丈を少し諦めるかどちらかとなります。
下前のおはしょりの処理
上前の衿は、右脇のおはしょりを引けば緩んでも直りますが、下前の衿は引きにくいもの。そもそも見えないからつかみにくいし、おはしょりを一重にしてすっきりさせるため、下前の衿を上に持ち上げるやりかたをしている方が多いのではないでしょうか?
それはそれでよいのですが、ちょっと違うやり方を試してみてください。
下前の衿を引いて直すために、衿がひけるように上にあげないで、下まで下げて途中でコーリンベルトをして、右脇に向かって上におりあげていきます。
そうすると、下前の衿を引くためのとっかかりが左脇に残るのです。
そして、右脇は整う程度に下げるため、下前のおはしょりは放物線を描くような形になり、ぽっこりが気になるお腹の部分は一重で、でも下前の衿は引けるという裏技です。
これはなかなか説明しづらいのですが、できると、なるほどなと思いますし、右脇のおはしょりの部分、モシャモシャ、となっていたものもすっきり解決しますので、ぜひ動画を参考にトライしていただきたいやり方です。
これで衿元を引いて緩みを直せるので、一日中着て動く日常きものにはおすすめの方法です。
【ちょっとマニアック!日常きものに便利なおはしょり術】たかはしきもの工房「ズボラ女将の和装の常識を斬る!」
こちらは、女将の「てほどき七緒 十人十色の『補整』術」(プレジデント社)のP70にも、「衿浮きお直し技」として紹介しているものです。
動画とあわせてご覧になっていただけるとよりご納得いただけるかと思います。
書籍といえば、この2月に女将の4冊目の本「きものの不安をスッキリ解決!」(河出書房新社)が発売となりました。(記事下リンクあり)
こちらには礼装などの「しきたりきもの」と普段着としての「日常きもの」について、いろんな疑問への髙橋和江の答えが詰まっています。日常きものは、楽にたのしくかんたんに。しきたりきものについても知識を持っておけば、いろんな不安はなくなるはず。いままで、ここまで着物のしきたりに触れながら、「日常きもの」について深く掘り下げた本はあまりなかったのではないでしょうか。
もちろんいろんな考えかたがありますから、答えはひとつではありませんが、着物に対するひとつの考え方として参考にしていただけると思います。よろしかったらぜひ!こちらもお手に取っていただければ幸いです。
日常着物をもっと楽に、たのしく、かんたんに。ズボラ女将の日常着物術、これからもお楽しみに!
紹介した商品
高橋和江さんの十人十色の「補整」術
¥1,760(税込)
きものの不安をスッキリ解決!
¥1,815(税込)
Instagramでブログの更新情報を配信します。
Instagramをご登録されている方は、ぜひ「たかはしきもの工房…
"着回し"って体格差があっても大丈夫?!【きもの初心者必見】
こんにちは。
今回も、なんとか4回目を迎えました鷹木です。
年を越したばかりだと思っていたら、あっという間に3月が来ますね(^^;
年明け1月の大イベント‟成人式“は今年は残念ながら中止になってしまった県や地域もある中、気仙沼市は‟延期”という選択でしたから、楽しみを持って!待っていて頂ければいいなと思います!(^^)!
成人式、もちろん私にもありました。
十数年前…(…
令和3年2月
今月末、河出書房新社さんから『きものの不安をスッキリ解決!』というタイトルの本を出版します。(2021.2.12発売)
本当は昨年の10月発売で動いていたのですが、いざ書い…
オリジナル商品のお問合せ紹介 vol.7【満点腰すっきりパッドスキニー】
今回は「満点腰すっきりパッドスキニー」のお問い合わせ内容をご紹介していきたいと思います!
Q1.どの商品と組み合わせるのがいいですか?
A.基本的に当店では全ての商品と合わせていただく事をおすすめしております。
「腰すっきりパッドスキニー」は、補整以外にもたくさんの機能がございます。
…